最終章 ⑴

 入学式は大きな体育館だった。僕は寮で知りあった数人の仲間と出ていた。慎二も一緒だ。寮の連中は最後列に陣取るのが慣例ということだった。何故か寮長という人も居た。


 式が終わりかけた時、前の方の席に、僕は見慣れた後ろ姿を見た。あの長い髪の毛は、絢だ。間違いない、束ねた髪の毛を前に出している。似ていると思ったが、見間違いか、でも、きっと、間違うわけがない。絢だ。


 式が終わって、直ぐに前に行ったが、もう、その娘の姿は無かった。校内を探し回ったが見つからなかった。ここに居るわけがないし、まぼろしだったのか。


 その日の夜、早速歓迎会があった。


「ここは、昔ながらのバンカラ気質がまだ残っているんだ」先輩が言っている、


 と言いながら酒を注いでくる。未成年とか関係ないみたい。これも土地柄だと言っていた。こんな経験は僕も初めてだ。多分誰もが戸惑うだろう。でも、自分でも多少豪快になっている気がした



* (この物語は未成年者の飲酒を推奨するものではありません)

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