5-⑷

 先に寮の方から行った。寮長という人が出てきてくれて、部屋に案内してくれた。宅急便で送っておいた荷物も入れてくれていた。


「2人部屋なんだけど、もう一人は申し込みだけして、あとの受付をしてないから、そのままなんだけど、多分もう来ないと思う。他の大学に受かったので、そっちに行ったんじゃあないかな。とりあえず、一人部屋だ」


 荷物を片付けていると、


「よろしく、俺、となりの部屋の

石本慎二いしもと しんじ 試験の時、後ろの席だったの覚えているかな? 昼休憩の時、話し掛けたんだけど」


「ウン 何となく覚えている。元気良かったよね 僕は水島もとし よろしく」


「あっそうそう だから、同じ海洋だよね。ちょうど良かった。これから、海洋学部のキャンパスに行こうと思ってたんだ。行こうよ、一緒に。 ここの本部キャンパスは近いから、直ぐ行けるしね あっちを見に行こうよ そうだ 同じ大阪だろう 大阪弁でかめへんな」


 良いんだけど、僕は、そこまでの方言じゃぁないぞ、と思っていた。だけど、この強引そうな奴が、最初の友人になるのかと思った。


 電車で小一時間かかったが、南国ぽく、ヤシの木が校門近くには並んでる。広々とした敷地で、奥の方には、農場らしきものも遠くまであった。2年になると、こっちに移るのか―


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