5-⑶

 先生の家を出て、直ぐに絢に電話した。が、なぜか通じなかった。お母さんに言って絢の家に電話するように頼み込んだ。「嫌ヨ」と、言って居たが・・

電話している母を見ていると、しきりに頭を下げて


「本当に申し訳ございません。ごめんなさい。」


 とか、しきりに頭を下げていた。なにをそんなに謝っているのだろう。


「向こうのお母さんが言うのには、あの娘は一人娘みたいなものですし、最初は猛反対したのですけど・・。結局、上の息子もアメリカから帰ってきてくれるというし、最後は、主人も、後で後悔させないためにも、本人の思うようさせようと納得しましたの。あの娘を信じて、旅をさせるつもりです。もう、旅立ちましたがと言っていたわよ」


「多分、もう居ないわよ。 そうおっしゃっているんだから、それ以上聞けないじゃーない」と笑いながら言っていた。

 

 海外留学にでも行ったのだろうか、もう、居ないって、どういうことだろう・・・。

すべてを後悔していたが、大学に向かう日が来た。

 

 お母さんが「向こうできっと、いいお友達に出会うわよ。大切にしなさいよ。落ち着いたら、遊びに行くからね。私もお友達連れて行くから」


 といい加減なこと言って送り出してくれた。

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