113.集りの成果は

 私とメルティナは、アルフィアとファルーシャが去ってから密会を行っていた。

 今回の集まりの目的は、あの二人を元気にするためである。その目的が果たせたのかどうか、二人で話し合うことにしたのだ。


「メルティナは、どうだったと思う?」

「そうですね……話している限りでは、お二人は普通に楽しんでいたように思いますが……」

「そうだよね。私も、そう思う」


 二人は、今回の女子会を楽しんでいたと思う。笑顔も見せていたし、それは間違いないはずだ。

 だが、自室に戻ってからまたシャザームのことを思い出して、落ち込むという可能性もある。そこは、少々気になる所だ。


「結局、そういうことを聞くタイミングはなかったし……」

「まあ、直接聞くというのは、色々と難易度が高いことですから、仕方ないと思います」

「そうだよね……」


 二人の根底にある悩みは、中々解決できるものではない。

 そもそも、それを聞くのも難しいので、今回の集会でそれはやめておいた。

 とりあえず、私達は二人にめいいっぱい楽しんでもらうことにしたのだ。今日の所は、それで良かったのではないかと思っている。


「これからも、こういう女子会的なものを開催してもいいかな? そうすることで、二人もあのことをだんだんと忘れていけると思うし……いざとなったら、そこで聞けるし」

「ええ、それはもちろん構いません。私も、楽しかったですから」


 私達にできることは、二人と友達として過ごすことだろう。

 そうすることで、二人はシャザームのことを忘れられる。その負い目に押し潰されそうになった時、相談に乗れる。

 そういう風な関係になるために、これからも定期的にこの女子会は開催していこうと思う。それが、一番いいはずだ。


「……」

「メルティナ、どうかしたの?」

「あ、いえ、なんでもありません」


 そこで、メルティナは少し暗い顔をしていた。彼女がこういう顔をする時は、なんでもないことはない。何かが絶対にあるはずだ。


「どうかしたんだよね?」

「それは……はい」


 私が少し強めに迫ると、メルティナはゆっくりと頷いた。

 やはり、彼女は先程の言葉に何か特別な感情を覚えたようだ。それが何なのかは、聞いておく必要があるだろう。


「それで、どうしたの?」

「その……シズカさんは、いつまでこちらの世界にいられるのかと、そう思いまして……」

「それは……確かに、そうだね」


 メルティナの言葉に、私は気付いた。

 確かに彼女の言う通りだ。私は、いつまでこちらの世界にいられるかわからない。そのため、あのような女子会が後何回開催できるのが、わからないのだ。

 それは、寂しいことである。だが、仕方ないことだ。私は、こちらの世界の住人ではない。いつかは、自らの世界に帰らなければならないのである。

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