112.二つの世界の繋がり

「結局の所、皆あんまり進展している訳ではないということかな?」

「ええ、そういうことみたいね」


 私の結論に、アルフィアはゆっくりと頷いてくれた。

 結局の所、私達は恋愛面において特に進展はないということだ。なんというか、少し寂しいような気もするが、それはきっとこれから変わっていくことなのだろう。


「そういえば、ずっと聞きたかったことなのですが、シズカさんはこちらの世界のことを物語で知ったのですよね?」

「え? うん、そうだよ」

「それは、どういうものだったのですか?」


 そこで、ファルーシャがそんな質問をしてきた。

 私は、ゲーム『Magical stories』で知った。それは、皆に伝えていることだ。

 だが、その内容を詳細に伝えてはいない。それが、彼女は気になっているようだ。


「どういうものか、か……えっと、ファルーシャは時が巻き戻る前のことは、覚えているんだよね?」

「ええ、ある程度は覚えています」

「私がゲームで見たのは、その内容と同じようなものだったと思うよ。メルティナとバルクド様が恋に落ちて、アルファアがそれに嫉妬して……そういう流れだった」

「そうなのですね……」


 私の言葉に、ファルーシャは少し考えるような表情をしていた。どうやら、何か気になることがあるようだ。


「どうかしたの?」

「いえ、その……シズカさんの知っているその物語の中に、シャザームがいたのか気になって」

「それは……」


 ファルーシャの言葉に、私は考える。確かに、それは少し気になることだったからだ。

 あのゲームとこの世界は、まったく同じ道を歩んでいる。ということは、あのゲームにもシャザームはいたのかもしれない。

 だが、ゲームにてそんな描写はなかった。裏設定で、そういうものがあるのかもしれないが、そこまでは私にはわからないことである。


「ごめん、それはわからないや。私もそのゲームのことを全部知っているという訳ではないんだ」

「あ、いえ、謝らないでください。別に、シズカさんが悪いということではありませんから」


 私は少し後悔していた。どうして、私はあのゲームを全部やっていなかったのだろうかと。

 そうすれば、何か大事なことがわかったかもしれない。そう思うと、自分の行動が色々と嫌になる。

 あちらの世界に戻った時、私はゲームをしなかった。皆のことを思い出してしまうと、そうすることを避けてしまったのだ。

 だが、もう一度こちらの世界に来ることを考えれば、プレイしておくべきだっただろう。


「まあ、別にいいじゃない。そのゲームとこの世界がどこまで繋がっているかなんて、わからないんだから」

「そうですよね」


 アルフィアの言葉に、ファルーシャはゆっくりと頷いた。

 しかし、私は気になっていた。あのゲームとこの世界の繋がりとは、一体なんなのだろうか。

 それは、ずっとわからないことである。何か不思議な力でも、働いたとでもいうのだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る