第575話「俺を見ろ」(ジャネット視点/レア視点)





「『ビーストソウル』! 『捨て身』! からの『大切断』!」


 ジャネットの腕の鎌が黄金龍の胴を切り裂く。

 攻撃を加えるとすぐに跨っていたグリフォンの手綱を引き、離脱した。『使役』した眷属であるし、離脱するだけならふんわりと伝わるので別に手綱を引く必要はないのだが、雰囲気だ。


 かつてはこのコンボの締めには『ランスチャージ』をメインで使っていたが、鎌で突き攻撃は難しいため『大切断』に変更していた。

 さらに、以前よりも自前の鎌も強化されている。

 より大きく、鋭くなり、棘も増えた。ただ棘が増えたせいで攻撃力は上がったものの、切れ味は落ちてしまった。もともとカマキリの鎌は切るためのものではなく挟むためのものなので仕方がないといえば仕方がない。


 しかし強化されたジャネットの鉄板コンボでも、まともにダメージを与える事は出来なかった。

 一応切り裂く事は出来ているが、皮膚を貫通するような気配もないし、すぐに塞がって見えなくなってしまう。

 再生でもしているのかと思っていたが、そうではなかったのは後でわかった。

 どうやらピッタリと閉じたせいで傷口が見えなくなっていただけらしい。切り口が綺麗だったせいだ。鎌の切れ味は悪くなったが、『大切断』を使った場合の切れ味は攻撃力がボーナスに乗る。

 なぜわかったのかと言えば、その後ちゃんと再生して本当に傷が消えたからだ。セプテムたちが落とした首でさえも。


「あっ! また再生した!」


「前回の再生からのインターバルは!?」


「5分かな? おおよそだけど」


「てことは5分で全部削りきれって? 無理じゃない?」


 さすがにそんな事はない、はずだ。

 おそらく何か、やり方が間違っている。


 あのセプテムが武器まで持ち出して攻撃しているというのに、黄金龍のLPはあまり減っている様子がない。

 それでも最初のころに比べればLPの光も薄らいできているが、1割も削れていないだろう。

 セプテムの攻撃力は詳しくは不明だが、ジャネットたちが考えているよりもずっと高いはずだ。

 それでもこの程度しか削れないとなると、首を落としてダメージを稼ぐやり方は間違っていると判断せざるを得ない。


 しかし、である。

 セプテムはそれですでに敵のLPを1割に届かないまでも、何となく減らしてしまっている。

 頑張ればこのまま力押しで何とかなってしまうのでは、と思わなくもない。

 再生するとは言ってもLPまで回復するわけではない。

 単純に傷が消えたり、失われた首が生えてくるだけだ。


「でもさ。仮にこのまま押し切れるとして、それって私たち居る意味ある?」


 マーガレットが口を尖らせた。

 全くその通りである。

 これでせめてセプテムの攻撃の補助でもしていれば話は別だが、彼女はそんなものを必要としていない。


 これでは、プレイヤーなど居ても居なくても同じだ。

 ここへの移動のコストも考えれば、むしろ無駄に世話をかけただけである。

 それだったら、大人しく世界中に現れた罅と端末の処理をしていた方がはるかにましだった。


 しかし、そんなことは初めからわかっていた。

 いかに強くなったとはいえ、ジャネットがセプテムら幹部級と肩を並べて戦うのは難しい。

 それでも、何か少しでも役に立てればとの思いで付いてきた。


 それは眼下で黄金龍の首と死闘を繰り広げている災厄神国ハガレニクセンのメンバーも同じだろう。

 その近くで戦っている他のプレイヤーはどうだか知らないが、ただ見学するためだけにここに来たという者は少ないはずだ。あるいはもし居てもすでに強制送還されている。


 皆、どんな形でもいいから黄金龍討伐に貢献したくてここに来ている。


 しかし、普通に戦うだけでは何の役にも立ちはしない。


 あのプレイヤーたちも黄金龍の頭部と戦ってはいるが、上方でセプテムたちが毎秒何本というペースで首を落としているというのに、足元でそのうちの一本一本とちまちま戦っていたからといって何になるというのか。


 ジャネットたちも、他のプレイヤーたちも、この戦いで何の役にも立てていない。


 どうすればいいのか。

 どうすれば、ひとり戦うセプテムの役に立てるのか。


「いやオクトー様とかノウェム様とかラルヴァ様とかも戦ってるし」


「何も言ってないでしょ」


「目が言ってるよ。てか目がイッてるよ。マーガレットとちょっとかぶってるから自重したほうがよくない?」


 仲間たちと話してもいい案は出ない。


 そんな中、ノウェムが黄金龍の首のひとつを捕まえて振り回し、その口から放たれた黄金のブレスが辺りを舐め回した。

 その一筋が黄金龍自身の身体を直撃し、あれほど強固だった胴部に焼け焦げた傷をつけた。


「……え。もしかしてあれが正規の攻略法? それはそれで無理じゃない?」


「セプテム様かオクトー様なら出来るかもだけど……。プレイヤーには無理み」


「てかセプテム様もオクトー様もチラ見して何事も無かったかのように攻撃続けてるんだけど。スルースキル高えな」


 マーガレットたちはノウェムの型破りな行動に気を取られているが、ジャネットが気になったのはブレスによってこじ開けられた黄金龍の裂け目だった。

 身体が大きいセプテムたちは気にしていないようだが、あれだけの隙間が開いていれば人間サイズなら内部に侵入する事も不可能ではない。

 現に人間サイズのまま戦っているラルヴァが興味深げに裂け目を覗き込んでいた。


「ジャ姉何見て……あっ」


 入った。


「え? あれ入っていいやつなの?」


「いや、駄目なら入らないんじゃないの?」


 不審げに見るマーガレットとアリソン。

 しかしエリザベスだけは目を輝かせている。


「……入れるのねあれ」


「え? 入るの?」


「無理無理無理無理! 無理寄りの無理!」


 2人は全力で拒絶している。

 気持ちはわかる。

 しかしこれで何か役に立てるのなら、ジャネットたちも入ってみるべきなのではないだろうか。


「……マーガレット、アリソン。セプテム様とオクトー様のお役に立てるかもしれないのよ」


「ぐっ……。いや、でも……」


「かもしれない、で突入するにはちょっと乙女には辛い選択というか……」


 確かにジャネットも別に好んでイソギンチャクの中に入りたいと考えているわけではない。

 だがそこに可能性があるのなら──


「あっ」


「今度は何? エリザベス」


「閉じちゃった」


 黄金龍の再生が発動し、幹に刻まれた傷口は塞がれてしまった。


「……まあ、次の機会を待つということで」


 なお、ラルヴァが出てきた様子はなかった。





***





「やべえ、ヴァニキが飲み込まれた!」


 丈夫ではがれにくいが叫んだ。

 知らない単語だ。物なのか人なのかもわからない。


「……もしかして、マグナメル・ラルヴァの事?」


 明太リストがそう言った。

 なるほど、マグナメルム・ラルヴァの兄貴、略してヴァニキというわけか。わかるかそんなもの。


「決まってんだろ!」


「決まってねえだろ……」


 丈夫ではがれにくいに同調して熱くなるジーンズに、ギルが疲れたように言う。


 ウェインたちは今、ハガレニクセンのメンバーや他のパーティと連携して黄金龍の頭部と戦闘していた。

 たった今、そのうちのひとつを倒したところだ。


 複数パーティで連携していると言っても、以前に火山島で黄金龍の端末と戦った時ほどの人数はいない。

 しかしあの時よりウェインたちの実力も上がっている事と、見た目はそっくりでも頭部ひとつだけなら端末ほどの力がない事から、すでに何体かの討伐に成功していた。いや、これ単体は生物ではなく頭部なので、何本かの破壊と言った方が正しいか。


 黄金龍はわざわざ頭部を差し向ける程度にはプレイヤーたちを意識している。

 しかし一度に差し向けられる数はそう多くはない。

 ウェインたちのように、いくつかのパーティごとに連携して十分に対処できる程度の数しかやってこない。

 それ以外のほとんどは遥か上空でセプテムやオクトー、ノウェムと戦っている。いや、見ている限りではノウェムは戦っているのか遊んでいるのかよくわからないが。


 プレイヤーたちに少数の頭部を割いているのは、プレイヤーを殲滅するというよりは一応相手をしてやっているという感じだ。自由にされると鬱陶しいが、積極的に倒さなければならないほどの脅威も感じていない、というような。


「どうする!? ヴァニキを助けないと!」


「どうするったって、どうするんだよ!」


 ハガレニクセンのメンバーが動揺している。頼りにしていた幹部が戦線を離脱してしまったとなれば当然ではある。

 しかし、ラルヴァはマグナメルムの幹部ではあるが、今は共に黄金龍と戦う仲間でもある。

 悔しいが、プレイヤーが黄金龍にとってまるで脅威にならない以上、マグナメルムの幹部という特級戦力の一角が失われたのはまずい。

 本当に救出が可能なら、それはやるべきだ。

 そのための作戦を考える必要がある。


「なあ、みんな──」


 ここは力を合わせ、マグナメルム・ラルヴァの救出作戦を考えよう。

 そう言おうとしたウェインだったが、それは誰かの上げた声に遮られてしまった。


「──あっ! ラルヴァが飲み込まれたところに誰か向かってるぞ!」


「あれは──水晶姫か!? 姫と愉快な仲間たちだ!」


「いやエルフさんと愉快な仲間たちだろ!」


「いやエルフさんは今ハイ・エルフさんだろ!」


「言うて別にリネームしたわけじゃないんじゃね?」


 すでに状況は動いているようだった。

 確かに、冷静に考えれば戦闘中に呑気に作戦会議など出来るはずがない。


「仕方ない。俺たちも行くぞ」


「……ああ」


 ヨーイチに促され、ウェインたちも黄金龍へ近づいていくことにした。

 ウェインが鎧獣騎をそちらに向けると、新たな黄金龍の頭部が向かってくるのが見える。

 聖リーガンが「後は頼んだ」とばかりに他のパーティに目配せをした。


「──ちょ、ちょっと待て、こっちはどうする!」


 目配せをされたプレイヤー──アマテインが狼狽する。


 思えば、アマテインとも知り合ってからかなり長くなる。

 最初のころは、雲の上の存在だった。

 第一陣のプレイヤーの中でも、名実ともにトップを走る男。

 そしてプレイヤーのアイドル、その手が暖かの相棒。


 第二回イベントで偶然知り合い、共闘し、認められ、一時は同じクランのメンバーでもあった。

 仲違いをしたというわけではないが、そのクランも解散する事になり、それからは別々の道を歩んできた。


 明確に意識した事はないが、元々、ウェインの目標のような存在だった男だ。

 その実力や人格については、もしかしたら誰より信頼しているかもしれない。


 だからウェインは万感の思いを込めて、託した。


「──ここは任せた。アマテインならやれる!」


「おいウェイン! 何いい顔して言ってるんだ! 主戦力引っこ抜いておいてそれはないだろう!」


「いいや、大丈夫だ。知ってるか? 俺たちベータテスターにとって、アマテインとその手が暖かって名前は──誰もが知ってる、英雄と聖女なんだ」


「知らないし、意味が分からん!」


「──仕方がありません。ここは任されましょう!」


「おい! お前も乗るなよ! おい!」





***





「──実に楽しそうではないかね。彼らは」


「いや、さすがに何言ってるのか全然聞こえないんだけど。ウルススには聞こえるの?」


「まあね。これもラタトスクの能力のひとつだ。『風の噂』と言ってね。何人なんびとたりとも、私の目の届く範囲で内緒話をする事はできない」


 レアの隣に腰かけた教授が得意げに胸を反らせた。

 隣と言うのはレア巨人の頭部のレア本体の隣であり、腰掛けているのはレア巨人の頭の上になる。


 開戦当初はブランの背中に隠れていた教授だったが、すぐにブランが『霧散化』したことでレアの頭部に移ってきた。

 曰く、「ここが一番安全そうだから」だそうだ。

 この男は決戦の場だというのに一体何をしに来たのだろう。


 ただ、まったく役に立っていないわけでもなかった。

 レアはハルバードを振りまわしながら、合間をみて色々な魔法やスキルも試していた。

 『暗黒魔法』の『致死レタリス』や『精神魔法』の『魅了』などだ。

 これは教授からの提案だった。


 ライラの話では黄金龍は状態異常に対する耐性が低いか、あるいはまったく持っていないらしい。

 であれば、もしそれらの魔法が効くようなら戦闘はすぐに終わる事になる。

 しかし残念ながら結果は失敗だった。状態異常への耐性がないといっても、さすがにそうした特殊なものは一切効かないようだった。

 抵抗された、という感じでもない。どちらかと言えば『ダーク・インプロージョン』を巨大な物に撃って不発に終わった時のような、成功したが効果がなかった感じのものだった。当然MPも減った。


 教授の分析によれば、『精神魔法』が効かないのはこの世界の生物と精神構造が違うと設定されているからではないかということだった。

 公式が敢えて「世界の外からやってきた」と言うくらいだ。たとえ本音では「ラスボスを操られてはたまらない」だったとしても、そのための理由付けとしてそう設定されているのは有りうる話だろう。

 『致死』が効かない理由についてはわからないが、これも先の考察と合わせると「この世界の生物とは死の概念が異なる」からとかだろうか。

 見ている限りではブランの『血の杭』も黄金龍のマナを吸収出来ていないようだし、もしかしたらそれも似たような理由からかもしれない。


 先日教授は「頭脳労働担当で」と口にしていたが、これなら確かに少しは働きを認めてやってもいいかもしれない。

 少なくとも前線で直接戦わせるよりは役に立っている。


 ついでに、と言ってはなんだが、以前に大天使戦で使った『賢者は心を支配し、愚者は隷属するAnimo imperabit sapiens,stultus serviet.』も試みた。

 『暗示』で黄金龍にわずかなデバフをかけ、それをとっかかりに支配しようとしたのだ。

 あのスキルも他とは一線を画している。もしかしたら通じるかも知れない。

 そう考えてのことだったが、そもそも発動まで持っていけなかった。

 『暗示』によるデバフの効果時間が異様に短いせいだ。1秒で解けてしまった。他のバフ系の魔法も使ってみたが、どれも決まって1秒で消えた。

 『賢者は心を支配し、愚者は隷属するAnimo imperabit sapiens,stultus serviet.』は他のスキルとは違い、その発動ワードを変更する事が出来ない。

 慣れないラテン語ということもあり、たった1秒で唱えきるのはレアを以てしても無理だった。そもそもレアは早口言葉があまり得意ではない。トチらずに言えるのはバスガス爆発くらいだ。ちなみにコツは「バスが酢爆発」と意識して発音する事である。


「しかし先ほどの、何やら妙なスキルには興味があるな。聞いた事もないタイプのスキルだ。あえて恥ずかしい長文を口にしようとしていたのは、単なる格好つけではないのだろう?」


 そう言われると無性に恥ずかしくなってくるが、そういうスキルなのだから仕方がない。

 別に腹いせというわけではないが、レアはあのスキルを教授に、というか他人に教える気はなかった。

 自分以外に使えるものを見た事がないためわからないが、あれは危険だ。おそらく条件さえ満たしてしまえばレアでも抵抗できない。


「自分で探しなよ」


「ふむ。そうしよう。やれやれ、やりたい事がどんどん増えていくな」


「それはなにより。でもこの戦いが終わってからにしてね」


「わかっているとも。この戦いが終わったら、私はスキルの研究をするのだ」


 教授が古来より伝わる死亡フラグをもじって言った。死にたいのだろうか。


「それより、ラルヴァだよ。飲まれちゃった、飲まれちゃったって言っていいのかわからないけど、とにかく取り込まれちゃったけど大丈夫なのかな」


「死んではいないようだよ。なら大丈夫なんじゃないかね」


「どうかな。例の──噂に聞く特殊な攻撃の話もある。生きているからと言って、無事とは限らない」


「心配なら──」


〈──フレンドチャットでも飛ばしてみればどうかね〉


「別に心配はしてないよ。自分から入って行ったんだし、何が起きても自己責任だ」


 気にはなるが、だからといって特別に何かをするつもりはない。


 黄金龍が行動を変えない限り、レアも戦い方を変えるつもりはなかった。

 6枚の翼を駆使して黄金龍の頭部の攻撃をいなしながら、隙を見てハルバードを振るう。

 いまだ黄金龍の生命力は9割も残っているが、それでもすでに1割は奪っているのだ。

 効率が良いとは言えないまでも、このまま続ければいつかは削りきれる。


 ライラたちも地道に黄金龍の頭部の破壊を続けている。

 ブランはちょっと謎の行動をとっているが、効果は高そうである。


 基本的に今レアたちがしているのは単純な力押しだ。

 しかし単純な力押しでもしこのまま押し切れたのなら、それはレアの、マグナメルムの力を証明できたと言っていいはずだ。


 とはいえ、だからと言って、より効率の良い戦術を求めていないわけではなかった。


 もし、もっと効率良くダメージを与えられる方法が見つかったのなら、迷いなくそれを実行するだろう。


 例えば、頭部でも胴体でもない、明確な「弱点部位」が見つかる、だとか。





 そして、その瞬間は不意に訪れた。


「あれ? なんか、マナが高まってるのが見えるな」


 位置は黄金龍の中心だ。

 黄金龍は全体がうっすらとマナを纏って見えているのだが、それとは違う明確な高まりが見える。


「ほう? 必殺技でも撃とうとしているのかな」


「そんな感じ……でも、これはまずいな」


「そこまでかね」


「うん。このままいくと事象融合クラスだ。直撃すればただでは済まないかも」


 とはいえレアが死亡するほどではないが。





 そのマナの高まりはレアの想像通り、事象融合クラスまで高まっていき。





 黄金龍の胴部が刹那、膨れ上がる。





 膨らみが止まったのは一瞬の事、その直後に内側から弾け飛んだ。


 中で何かが爆発したかのような、そんな有様だ。

 しかし正確には爆発ではなく、どちらかと言うと中から何かを射出、いや照射したのだろう。

 何者かが内部から、外に向けてビームのようなものを撃ったのだ。


 心当たりのある者はひとりしかいない。


「……ふむ。これはこれは。いやひとりで聞くようなものでもないな。よし、セプテム嬢にも聞かせてあげようじゃないか」


 教授が『風の噂』と呟くと、風に乗って覚えのある声が聞こえてきた。


「──ここだ……! ここがこいつの弱点だ……!」


 言うまでもない。バンブの声だ。


「ここに向かって……撃て……! 俺の力じゃ……足りねえらしい……!」


 しかし声は聞こえるが、ここに向かってと言われても、バンブが開けたらしい穴は深く、覗きこんでも奥まで見通せない。

 内部は黄金龍のマナが満たされており、『魔眼』でもよくわからなかった。


「よく狙え……! 俺を目印にしろ……! 俺を、俺を……、俺を、見ろ……!」





 その時だった。

 穴の奥で何かが光った。





 暗闇で煌々と緑色に輝くそれは、まぎれもないバンブの姿だった。






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