第421話「メルキオレ・デ・サンクティス」(別視点)
メルキオレ・デ・サンクティスはサンクティス王国に生まれた王子だった。
国王である両親は子宝に恵まれず、晩年になってからやっと生まれたのがメルキオレだ。
父王には側室などもいたようだが、それら全てを合わせても妊娠したのは正室の母だけだった。
そのためか、父も母もよく「メルキオレは世界に望まれて生まれてきた子なのだよ」と言っていた。
兄弟が居ないというのは王位を争う事がないという意味では良かったのかもしれないが、万が一の時の予備が無いという意味では国としては悩ましい事だった。
そのためメルキオレには国中の期待が重圧としてのしかかり、王になるべくして昼夜を問わず教育がほどこされる一方、決して倒れたりせぬよう体調にも細心の注意を払われ、一挙手一投足にいたるまで完全に管理された生活を送ってきた。
そんなだから、メルキオレは自分が選ばれた存在なのだと思っていた。
サンクティス王国の王になるべくして生まれ、それにふさわしい教育を受け、誰もが自分を何より大切なものとして扱う。
そのまま何事も起こらずに時が過ぎて行ったとしたら、メルキオレはサンクティス王国の歴史に名を残す名君か、あるいは暴君になっていただろう。
しかしある時、天空から黄金に光る何かが落下した。
サンクティス王国の王宮からでも見る事ができたその光の筋は、遠い北の地に落ちたようだった。
視覚的なものではないが、その何かが放つ黄金の輝きは刹那の間世界を覆い、誰もが北の地に何かが落ちた事がわかったという。
それから程なくして、世界は混乱の渦に飲み込まれた。
サンクティス王国から出た事がなかったメルキオレには、世界中で何が起きていたのかまではわからない。
ただ確実なのは、その直後、サンクティス王国は興奮した魔物たちによるスタンピードで滅び去ったということだけだ。
それまでは過酷な環境ながらも辛うじて保たれていた均衡が崩れさった。
メルキオレは選ばれし存在だ。死んでしまうわけにはいかない。メルキオレをかばって倒れた父も母も、これまで育ててくれた王国や国民たちも、ここでメルキオレが倒れる事は望んではいないはずだ。
何としてでも生き延びねばならない。
メルキオレは僅かな手勢だけを連れ、地底王国ケラ・マレフィクスに亡命する事になった。
不幸にも魔物の襲撃によって国と両親を一度に失い、命からがら逃げてきたメルキオレに同情したのか、地底王国からは城に程近い立派な屋敷が与えられた。
このケラ・マレフィクスは不思議な国だった。
国民たちにはさまざまな人種が混在しており、しかし互いに争う事がない。
お互いに違うところがあるということを自然に受け入れているように見えた。
サンクティス王国があったこの大陸においては、人類同士は種族が違っていても協力し合わなければ生きていけない。
とは言っても、生まれた時の能力や趣味嗜好、果ては寿命に至るまであらゆるものがバラバラの種族だ。そうしなければならないとしても簡単にはわだかまりなく振る舞えないのが人の業ではある。
そういった問題がこの地底王国には一切無かった。
最初はそれが素晴らしい事だと思っていた。
しかし、違った。
地底王国の民は互いに協力し合って生きているわけではない。
上から与えられた物をただ甘受して生きているだけなのだ。
協力して何かを成す必要などなく、不満はすぐに国が解消してくれるため争いごとも起きない。
そもそも、寿命や種族の違いなどを気にするほど深く考えている者も少ない。考えないよう国によって躾けられているのだ。
完全に管理された生活を送ってきたメルキオレには分かった。
地底王国ケラ・マレフィクスは、国全体がメルキオレと同じように管理された社会だ。
そして、客観的に見る事で初めて気付いた。
これは家畜の生き方だと。
言いようのない感情がメルキオレの中に湧きおこってきた。
しかし、それを言うべき相手は周りにはいなかった。周りには、メルキオレを家畜として養ってきた側近と、今まさに家畜として養われている地底王国民しかいない。
メルキオレは地底王国の王、ゼノビアに会う事にした。
一国の王族が亡命してきたというのに、姿を見せることさえ無かった王だ。会いたいからと言って簡単に会える存在ではないとは思っていたが、やはり結果は駄目だった。
しばらくはそんなもやもやを抱いて欝屈とした生活を送っていたが、転機は意外な形で訪れた。
大災害による被害が地底王国にも齎されたのだ。
何度も地震が起こり、人々は恐れ騒ぎ立て、閉鎖された地底王国は混迷の極みにあった。
しかしそれでも王は現れなかった。
本来であれば、国王としての義務や責任はどうしたと息巻いていたのだろうが、この時のメルキオレにはそんな事を気にする余裕はなかった。
与えられていた屋敷の地下の一部が、地震によって崩落したからである。
メルキオレは何かに吸い寄せられるようにその穴に入っていった。
そして出会った。
この地底王国を裏から支配していた、人類の裏切り者と。
そしてその裏切り者と対峙する、黄金の輝きを持つ神聖な蛇と。
人類の裏切り者とは邪王の事である。
これは故サンクティス王国の文献にあったものだが、邪王とはイービル・ヒューマンの王であるという。
そしてイービル・ヒューマンとは、はるかな太古、あまりに同族を殺し過ぎたという罪によって世界に罰を与えられ、どこか遠くの地に封印されたという伝承が残されている種族だった。サンクティス王国の伝承では、他の同様の種族であるダーク・エルフやリグレス・ドワーフらと共に、まとめて魔族と呼びならわされていた。
そんなイービル・ヒューマンの王が人類のシェルターである地底王国にいる。
メルキオレは直感した。
この邪王こそが、地底王国の民を家畜たらしめていた元凶なのだと。
人前に出て来られないのは当然だ。このような邪悪な姿では、いかにうまく国民を騙したとしてもすぐに尻尾をつかまれてしまう。ゆえに配下をうまく使い、この王国を裏から操ってきたのだ。
そんな邪王と対峙している、異様な気配を持つこの黄金の蛇こそ、世界が遣わした聖なるものの化身に違いない。
いや、これがもし、あの時北の大地に落ちてきた光の筋だったとすれば。
この黄金の輝きや尋常ならざる雰囲気から考えれば、もしかするとこれは太陽の化身であるのかもしれない。
地上のあらゆる穢れを焼き払うために、太陽が遣わした己の
それこそがこの黄金の蛇なのだ。
邪王は黄金の蛇に気を取られ、メルキオレが来たことに気付いてすらいない。
メルキオレは慎重に腰の剣を抜き、背後から邪王に近づくと、その背中に剣を突き立てた。
英才教育を受けてきたとはいえ、実戦経験もない聖人の一撃では邪王に傷ひとつ付けることも出来なかったが、その意識を逸らしてやることは出来た。
その一瞬で黄金の蛇は邪王の身体を拘束し、決着はついた。
しかし黄金の蛇の力だけでは邪王を完全に封じる事は出来なかった。
蛇は2頭に分裂し、1頭は近くに生えていた石のような樹木に巻き付いた。
すると樹木は瞬く間に成長していき、天井に空いていた空洞にぴたりと収まるほどにまで大きくなった。
そしてその樹の根元には枝分かれして出来た牢獄のようなものが現れ、拘束していた邪王をそこに捕らえた。
それまで邪王を拘束していた黄金の蛇はするするとメルキオレに近寄ってくると、その口を目がけて飛びかかり──
それからしばらく後、北の地に落ちた黄金龍の本体が何者かによって封印されてしまったことがわかった。
取り込んだ黄金龍の端末からそういう情報が伝わってきたためだ。この端末は他の端末や本体と情報をやり取りすることが出来る。意思疎通こそ出来ないものの──と言ってもまともな意思のようなものは黄金龍からは感じられないのだが──端末のいずれかが取得した情報は別の端末でも参照する事が可能だ。
黄金龍封印の瞬間、世界中を席巻していたほとんどの端末は本体からのエネルギーの供給を断たれ、消滅する事になった。
しかし、この地底王国のさらに地の底で魔戒樹と融合し、神木と化した端末はその限りではなかった。
エネルギーの供給源はすでに確保していたからだ。
捕らえた邪王とその眷属たちである。
そしてメルキオレもまた、その神木と同調する事でエネルギーを得る事が出来ていた。
黄金龍の端末と融合した事で、本来持っていた能力の中から『使役』関係だけは失われてしまったようだが、それ以上に新たに得る事が出来た力を思えば些細な問題である。
神木は捕らえた邪王や周囲の魂からエネルギーを吸い取り、その巨体を維持するのが精一杯の様子だったが、いつまでもそのままではない。
神木のこの不安定な状態はおそらく、黄金龍の端末を取り込んだ事で強制的に成長させられたせいだろう。本来必要な経験が全く足りていない状態なのだ。
それを適切に与えてやる事ができれば、つまり邪王たちから命を全て吸い尽くす事が出来れば、再びメルキオレの端末と融合を果たし、活動を開始する事が出来るはずだ。
その時こそ真の覚醒の時。
邪王のように人類に仇なす者たちを滅ぼし、この過酷な大地を人の領域とするのだ。
地の底から太陽の化身を昇らせ、新たな人類の夜明けとするのである。
*
その、悲願の時が来た。
多少トラブルはあったものの、結果的に計画は前倒し出来た。
いかに夜明けを迎えたとしても、メルキオレと太陽の化身の力だけで障害を排除したのでは家畜だった頃と何も変わらない。
人々もその手に武器をとり、自ら戦う必要がある。そのために、この大陸の人類全体の戦力を底上げするために、新たな技術を齎してくれた者がいた。
メルキオレの代わりに神木に魂を捧げてくれる者たちもいた。
この者たちについては最後の最後で人類を裏切る結果となったが、もう目的は果たした後だ。どうでも良い事である。
あとは地上にはびこる魔物どもを、国民と力を合わせて討伐し、この大陸の全体に人類の版図を広げてゆくだけだ。
*
「──真祖ヨ。ソシテ真祖ニ味方スル愚カ者ヨ。ソノ身ノ罪深サヲ噛ミ締メ、悔イ改メテ死ンデユケ」
不遜にもこの黄金怪樹サンクト・メルキオールの前に立ちはだかる者たちを
「──罪深さとか言うけれど、今きみが崩落させた城に住んでた人たちの事は無視なの? たぶんみんな死んじゃったと思うけど、それって罪深いことじゃないのかな」
白い魔物が小癪にも口答えをしてくる。
人間そっくりの姿をしてはいるが、このような異常な生命力を人が持ちうるはずがない。これはおそらく魔物が人間に化けているのだ。『真眼』を誤魔化す事は出来ない。魔物ではなかったとしても、真祖吸血鬼の味方をするのであれば人類の敵だ。生かしてはおけない。
確かに驚異的な生命力だが、殺しきれないというほどではない。
「……必要ナ犠牲ダッタ。我ノ覚醒ノ折ニハ予メ退避サセテオク予定ダッタノダガ、愚カナ協力者ノオ陰デ予想外ニ覚醒ガ早マッテシマッタ。城ノ者タチノ犠牲ヲ無ニセヌ為ニモ、ココデ人類ノ敵ヲ討チ滅ボシ、大陸ニ夜明ケヲ齎サネバナラヌ!」
黄金怪樹はその根を寄りあわせて作られた巨大な手を振り上げ、真祖と白い魔物を叩き潰した。
この黄金怪樹は、その身体のほとんどが魔戒樹によって構成されている。身体的な特徴はほぼ魔戒樹のものと同じだ。
魔戒樹は通常の樹と違い、本来根を張るべき部分が枝であり、天に向かって伸びているのが根である。
ゆえに邪王らを捉えていた檻は枝によって構成されていたものだ。
メルキオレとしての顔が上下逆に浮かび上がっているのもそのせいだ。樹そのもののあり方が天地反転しているのである。
しかし確かに叩き潰した、と思ったのだが、手を退けてみるとそこには何もなかった。
見れば少し離れた位置に、小脇に真祖を抱えた白い魔物が立っている。
逃げ足だけは一流であるようだ。
これを巨大な黄金怪樹の腕で捉えるのは容易ではない。
巨大な腕で捉える事が出来ないのなら、大きさを相手に合わせてやるだけだ。
この腕も何本もの根を寄りあわせて作ったものである。それをバラけさせ、1本1本個別に攻撃してやればよい。
その意志に従って腕はばらばらと解けてゆき、それぞれが個別に白い魔物を狙って振り下ろされた。
お互いが干渉するような愚かな事にはならない。すべての根の動きは緻密に管理されており、複雑に絡み合っているかのように見えながらも、それぞれは触れさえしていない。
小脇に真祖を抱えたままの状態では、さすがに面攻撃とでも言うべきこの攻撃を躱しきることは出来なかったらしい。白い魔物にダメージを与えたという確かな手応えが得られた。
ところが、『真眼』で確認できたところでは白い魔物が持つ5つの生命力のうちのひとつしか減らせていなかった。
たまたま偶然、ひとつの生命力だけに集中して攻撃が当たったというのだろうか。
時にはそのようなこともあるかもしれない。
黄金怪樹はもう一度根を振り上げ、再び無数の斬撃として白い魔物に振り下ろした。
しかしどういうわけか、今度は掠りもしなかった。
一体どうやったのか、白い魔物は振り下ろした根の上に立っている。
「──同じ攻撃を二度も連続して見舞ってくるとは。きみがどれだけ長く生きてきたのか知らないけれど、全く無駄な時間だったみたいだね。その攻撃はもう飽きた」
「戯言ヲ……!」
上からの振り下ろしが飽きたというなら、今度は下からの突き上げだ。
愚かにも白い魔物は根の上に乗っている。
まさに黄金怪樹の手のひらの上だと言えよう。
逃げられないよう、まずは周囲の根を螺旋を描くように上に伸ばし、白い魔物を囲い込んだ。そのまま上で根を絡ませ、即席の鳥籠を作り上げる。
そして下から根を突き上げ、鳥籠の中を隙間なく根の槍が突き刺した。
今度は確かに手応えがあった。
あったのだが、同時に有効打でないこともわかった。
槍は全て白い魔物に命中したが、貫通したものは一本もなかった。
それどころか、白い魔物に到達する直前で止められている。
5つの生命力のうち、いくつかの輝きが翳り始めているのはわかったが、依然としてまったく無傷の物もある。
あの生命力はもしや、白い魔物にとってはただの盾なのだろうか。
だとしたら、あれを削り切るまではいくら攻撃したところで勝負はつかない。
本当に不可視の盾で止めたのかどうか、確認しておこうとわずかに根を緩めたその刹那、するりと白い魔物が鳥籠から抜け出した。
再び捕らえようと広く根を展開するが、そのときにはもう包囲の外側にいた。
さらに一瞬の後、根を動かした意識の隙をついてか、白い魔物はいつの間にか黄金怪樹の根元にまで迫っていた。何らかのスキルを使って移動したのだろうか。
だが無駄だ。
黄金怪樹には瞳は無い。幹には確かにメルキオレの顔があり、眼も鼻も口もついてはいるが、すべて形だけだ。
黄金怪樹は周囲の状況を視覚に頼らず感知する事が出来る。そしてその知覚範囲の全てにかつてメルキオレだった者が持っていた『真眼』の効果が乗っている。
例え黄金怪樹の行動の間隙を突いたとしても、白い魔物が根元に移動した時にはその事はわかっている。
そしてすでに次の攻撃は放っていた。
白い魔物は何やら幹に攻撃しようとしていたようだが、黄金怪樹の無数の根が迫っている事に気付くと攻撃を中断し、回避行動に移った。そのまま幹を駆け登ると、メルキオレレリーフの鼻部分を蹴って遠くへ逃げた。
そして一旦距離をとった白い魔物は、それまでずっと抱えていた真祖を降ろした。
あの位置なら根が届かないとでも思っているのだろうか。
全く浅はかな事だ。
黄金怪樹の根はどこまでも伸びる。
本当にどこまでも伸びるわけではないのだが、少なくともこの地底王国の全域をカバーする程度なら造作もない。
多少距離を取ったところで攻撃するのは容易である。
「──逃ゲテモ無駄ダ。我ガ根ヲ食ラエ!」
解いた状態のままの根を伸ばし、無数の刺突攻撃として白い魔物を狙う。
「──『魔の剣』」
白い魔物が何かをつぶやくと、向かわせた根が全て細かく砕かれてしまった。
いや、砕かれたのではない。根は鉱物のような質感をしているためわかりにくいが、これは細切れにされている。
あの白い魔物は今の一瞬で何度も斬撃を繰り出したのだろう。
その手に持った、禍々しく漆黒に輝く刀で。
そこらの鉄では傷ひとつ付ける事もかなわない魔戒樹の根、いやそれをさらに進化させた黄金怪樹の根をあれほど容易く切り裂いてみせるとは、恐るべき切れ味である。
しかし黄金怪樹は切り捨てられた根の先を再生し、再び伸ばして見せ、白い魔物を威嚇した。
お前のした事は無駄だと思い知らせたのだ。
あの黒い刀のような武器はいつの間にか消えていた。もしかしたら維持しておくことが出来ないスキルなのかもしれない。あれが例えば発動ごとに消耗するのだとしたら好都合だ。体力勝負であればサイズが大きい方が圧倒的に有利である。この黄金怪樹が負ける道理はない。
黄金怪樹の攻撃は生命力を持つ不可視の盾に防がれてしまうが、白い魔物の攻撃で受ける傷などすぐにでも再生できる。
このまま続けていけば、いつかは白い魔物の盾を削り切る事も出来るだろう。
黄金の加護を得た今のメルキオールは飲食も睡眠も必要ない。
であればこの戦いの結果は見えている。
「諦メヨ。矮小ナ貴様ラニ勝チ目ナドナイ」
その言葉を聞いた白い魔物は力を抜いた。
黄金怪樹の言葉の通りに諦めた──わけではなかった。
「このまま根競べをしてもいいんだけど、時間の無駄だな。物事は合理的に進めないとね。
──黄金怪樹サンクト・メルキオール、だったかな。きみ、ちょっと上空を見てみなよ。まあ見えるのかどうか知らないけど」
気を逸らそうという作戦だろうか。
当然これも無駄である。
黄金怪樹にとっては、目の前の白い魔物に意識を集中させたまま上空の様子を探る事など造作もない。
上空、と言っても地底王国の上は岩盤によって塞がれている。
中心部にはさっきまで魔戒樹が貫いていた穴があるが、それのことだろうか。
と、そこで気がついた。
その穴から4つの目が地底王国を覗き込んでいた。
あれはドラゴンだろうか。このあたりまで来る事もあるレッサードラゴン系の魔物とはその大きさも威圧感もまるで違う。本物のドラゴンがそこにいる。
「──何ダ、アノ2頭ノどらごんハ──」
「2頭じゃなくて1頭だよ。いや、頭2つあるから2頭でいいのかな? まあとにかく1匹だ」
「マサカ、アレハ貴様ノ……」
「そう、あれはわたしのペットのユーベルだ。あの子はブレス攻撃が得意でね。トキシックブレスとプレイグブレスと言うのだけど、その2種のブレスを同時に広範囲にばら撒く事が出来る。効果は猛毒と疫病だ」
「愚カナ……。イクラ樹ノヨウニ見エヨウガ、我ガ身ハ鉱物系ノ魔戒樹ヲべーすニシテオル。毒モ疫病モ効キハセヌ」
「妙に硬いと思ったら鉱物系なのかそれ。じゃあ世界樹の亜種ってわけでもなかったのかな。まあいいや。
最初からきみを状態異常に出来るとは期待してない。その大きさだし、黄金龍の関係者に対してこの世界のキャラクター向けの状態異常が機能するのかも疑問だし。でも、きみは無事で済むかもしれないけど、地底王国の国民の皆様はどうかな。
こっちの大陸の人たちがどのくらいの性能なのかまだ調べてないから何とも言えないけど、たぶん数秒か、長くても数分でみんな死亡すると思うよ。
まあ、きみの言う必要な犠牲とやらに王国民のすべても含まれているのであれば、こんな脅しは無意味なことだけれどね」
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