第397話「ブラン無双」(ブラン視点)





 どうやらヴィンセントはディアスたちと再会できたらしい。


 ブランは満足感とともに3人を眺めた。

 余計な観客はいない方がいいかと考え、気を使ってヴァイスやアザレアたちも連れて席を外していたが、いい判断だったようだ。

 レアに伝えてタイミングを調整した甲斐があった。


 ヴィンセントは言葉を話せないのでディアスたちとのコミュニケーションは難しそうだが、旧い知り合いならその程度の問題は大した事もないだろう。

 なんなら皆に手話を教えてもいい。

 手話はブランがリアルで自慢できる数少ない特技である。


「──ブラン様。それはそうと、道すがら目にした異邦人たちについてお伝えした方がよろしいのでは」


「あ、そうだった! 伯爵伯爵、もうじきプレイヤーたちが来ますぜ!」


「ふむ。まあ、だろうな。少し防衛の手を緩めるよう指示しておいたからな。しかしブランよ、貴様、我には散々異邦人と言えと言っておきながら、自分が言えておらぬではないか。どこかでボロを出しても知らんぞ」


「あ、そうだった! もうじき異邦人たちが来ますぜ!」


「もう遅いわ。最初からそうしろ」


 塔は高い。


 屋上を目指すとしても、最初からその高度で飛んでくるのは無駄にエネルギーを使うし、危険もあるかもしれない。

 そのため行程のほとんどはもっと低い高度で飛行し、塔周辺に近づいたら屋上目指して高度を上げるというのが合理的だ。そうヴァイスが言っていた。

 ブランはそんなヴァイスに纏わりついていただけなので自分では飛んでいないが、それだけに実に暇な時間だった。

 塔周辺に近づいた際も、見るともなしに塔を見ていた。

 塔の窓からちらちらと中の様子が見えたのだが、その際に戦闘らしき光や音が感じられたのだ。


 塔の中はアンデッドしかいないため、本来窓など作る必要はない。

 しかしそれを言ったらそもそも階段さえも必要ない事になる。

 死者の魂を慰めるだけなら巨大な慰霊碑で十分だ。塔として内部に空間を作る意味はない。


 この塔は墓標であると同時に、侵入者であるプレイヤーたちを選別する巨大なふるいなのだ。


 塔の頂上へと至った者、伯爵が用意したアトラクションをクリアした者には情報を与え、西方大陸を目指すよう誘導する。

 仮にそこで伯爵を倒してしまうほどの者が現れたとしても、伯爵を真に滅ぼすためには西方大陸にいるという女主人を倒す必要がある。

 この地で伯爵が勢力を増せば増すほど、西方大陸の真祖吸血鬼の存在感が増していくというわけだ。


 というわけだったのだが、現在、伯爵が中央大陸でこれ以上目立つのは難しい。


 塔の建造は大いに話題になったと言えるが、直後に南のダンジョンが消し飛んでしまったせいで、その話題もすべてマグナメルムに浚われてしまった。

 そこで伯爵は仕方なく、プレイヤーを篩にかけるのはやめて、なるべく多くのプレイヤーを塔の屋上へ誘い片っ端から西方大陸の話をするという数撃ち作戦に切り替えたらしい。

 実に柔軟な事である。


「そう言えば伯爵、もうひとつ言っておくことがありました! わたしの事は人前ではノウェムって呼んでくださいね! マグナメルム・ノウェムです! まあ芸名みたいなもんっす」


「その事ならヴァイスより聞いておる。安心しろ。貴様と違って言い間違えたりはせぬ。……芸名?」


 伯爵が怪訝な顔をした。芸名という言葉がピンと来ていない様子だ。

 日常的に命のやり取りをするような世界である。芸人という職業はもしかしたら存在しないのかも知れない。

 いや人類社会にはあるのだとしても、まさか旅芸人があの高地の上の城まで来ることなど無かったのだろうし、伯爵は知らないのだろう。

 田舎に住む人が有名な喫茶のチェーン店に行った事がないのは仕方ないことだ。それは田舎の人が悪いわけではない。人口の少ない村や町にも進出する資本を捻出できないチェーン店の力不足なのだ。

 この場合で言えば、高地まで行けない旅芸人の営業不足である。

 ブランは優しい眼差しで伯爵を見た。


「おい、その妙な目付きをやめよ。また何かおかしなことを考えておるのだろう。言っておくが、芸名くらい知っておるぞ。なぜ急に芸人の話を始めたのか不思議に思っただけだ」


 そうこうしているうち、ブランの耳にうっすらと階段を駆け上がる複数の足音が聞こえてきた。

 他の者たちにも聞こえたようで、ぴたりと会話が止まる。


 ふと、屋上を見渡してみた。


 伯爵級、男爵級の吸血鬼とデスナイト。

 不死者の王が2体。

 そして真祖吸血鬼。


 この中から正しいダンジョンボスを特定できる者はいるのだろうか。

 ディアスとジークをヴィンセントに会わせるよう手引きしたのはブランだが、かえって伯爵の邪魔になってはいないだろうか。


 プレイヤーたちが多少頑張ったところでここにいるほとんどの者の種族さえわからないだろうが、誰かが『真眼』でも持っていれば、少なくとも一番LPが多い個体はわかるだろう。ブランの事だが。


 以前レアから、プレイヤーたちに対していくら「先にあっちと戦ってね」と言ったところで、無視してその場の最高戦力であるレアを狙ってきたと聞いたことがある。

 この場でも同じ事が起きるとしたら、真っ先に狙われるのはブランになる。


 また、プレイヤーたちの中での知名度も重要だ。

 ブランは顔や姿を晒して活動しているので、今来ているプレイヤーの中にも知っている者がいるかもしれない。

 その場合、狙われるのはブランか、以前に姿を借りたヴァイスになるだろう。

 もう廃れてしまった言葉だが、ユーメイゼイというやつだ。


「……んー。まあいっか」


 もともとここには伯爵を心配して来ている。

 考えづらい事だが、仮に伯爵がプレイヤーに倒されてしまうような事態になった場合、おそらくブランはそれを止めるだろう。

 最初から伯爵ではなくブランを狙ってくるというなら、むしろ対処がしやすいというものだ。


 大戦では軍隊規模の騎士団とプレイヤーの集団をも翻弄したブランである。

 通常編成のプレイヤーパーティのひとつやふたつ、どうということもない。









「屋上だ!」


「ここが終点か! 気をつけろ、ボスがいるかもしれん!」


「てか、いるぞボスが……って、おい……何人いるんだよ……」


 騒がしく屋上に現れたプレイヤーは5人だった。すべて男性だ。

 塔の中は通路や階段が狭いため、そのくらいの人数でないと戦いづらいとかいう書き込みを見かけたことがある。そのセオリーに則った編成なのだろう。

 その中で短弓を持ったプレイヤーがブランたちを目にして硬直した。

 『真眼』持ちの斥候はその彼のようだ。


 何か言ってやろうか、とも思ったがやめた。

 仮に彼らがブランをボスだと勘違いするのだとしても、あくまでここは伯爵が友人のために建てた墓標だ。

 ボスらしく振る舞うべきは伯爵である。


 そんなブランの思いを感じ取ってか、伯爵はわずかに笑みを浮かべると口を開いた。


「──ようこそ。我が友の墓標へ。我が用意した遊技場は楽しんでもらえたかな。異邦人たちよ」


 マントをばさりと翻し、紅い瞳を光らせる伯爵。

 気のせいか周囲の気温も少し下がったような気さえする。もともと雲の上なので気温は低いのだが。

 いや、気のせいではない。ブランの能力値がわずかに上昇したようだ。伯爵が味方と判断しているアンデッドに薄い範囲バフがかかったのだろう。

 その範囲バフが味方の戦意高揚と、敵への威圧感を演出しているのだ。


 その迫力ある光景にプレイヤーたちは息を呑んだ。


 伯爵の姿は凄みを感じる堂々たる態度である。

 ブランにとっては懐かしくさえある。この様子はかつて、古城の地下で見たあの姿そのままだ。

 最近は仲良くなれたためか、そういう雰囲気もかなり剥がれてしまっていたが、久しぶりに目にすると身が引き締まるような思いが湧きあがってくる。

 これぞ吸血鬼、これぞブランの目指す姿だ。

 ヒーローや怪獣やロボット乗りに多少の浮気はしたが、やはり原点はここである。


「よ、用意した……ってことは、この塔を出現させたのはお前か……! お前が塔のボスだな!」


「そっちの、マグナメルムとはどういう関係なんだ! 奴らの配下なのか!」


 ブランを指差してマグナメルムだと看破した者がいた。やはりノウェムの顔は売れているようだ。

 いや、ヴァイスに気づいた素振りを見せる者はいないので、もしかしたら赤いローブで判定しているのかもしれない。


 それにしてもお前とか奴らとか、礼儀がなっていないにも程がある。

 ブランが初めて伯爵に会ったときはどうだったろうか。

 もう少し控え目というか、むしろ卑屈な態度だった、ような気がする。


「ふうむ。やはり異邦人というのは身の程を知らぬようだな。まあいい。慣れておる。

 マグナメルムと言ったな。それはここにいるマグナメルム・ノウェムらの作った組織の事だな。彼女らと我は、そうだな。ひとことで言い表わすのは難しいが、簡単に言えば協力関係にある」


「協力……別の勢力だったのか!」


「ノウェムと関連はあるけど別のイベント、ってことか?」


「協力だの別勢力だのは後で考えればいい。それより今は、ここをどう切り抜けるかだ」


「ああ。簡単に勝てる相手じゃない──つうか、まず勝てる相手じゃないぞ」


 その通りだが、ブランは戦闘に参加するつもりはない。特にレアに命じられているわけでもないディアスやジークもそうだろう。

 彼らの相手をするのはとりあえずは伯爵勢力、ヴィンセントやヴァイス、そして伯爵本人である。


 もっとも伯爵の旗色が悪くなればブランは多分手を出してしまうだろうし、それどころかヴァイスがピンチでもつい手が出てしまうかもしれない。

 もしかしたらヴィンセントが不利になったらディアスたちも参戦するかもしれないし、いずれにしても結果的にプレイヤーの彼らに勝ち目はない。


 いや、それは実際に彼らが危機に陥ってから考えればいい事だ。

 最初からそう言ってしまうのは単にプレイヤーたちの絶望感を増すだけだし、伯爵の存在感も薄れてしまう。

 ブランは伯爵やプレイヤーたちに背を向け、屋上の端の方に歩いて行った。


「……ノ、ノウェムは戦闘には参加しない、ってことなのか?」


「くそ、高みの見物ってわけか……!」


「だが、好都合だぞ。余裕ぶってハーレムメンバーに戦わせようって腹だろうが、奴が参戦してくる前に何とか出来れば……」


 歩み去るブランの足が止まる。


 ちょっと良くわからない単語が出てきた。

 ハーレムメンバーとは何の事を言っているのか。


 答えを求めて見渡してみると、伯爵やヴァイスは感情の抜け落ちたような顔をしている。ああいう顔したキツネの写真を見たことがある。

 ディアスは顰め面で固く目を閉じ、ジークは泣きそうな八の字の眉毛になっていた。

 ヴィンセントは震えているが、短い付き合いでもわかる。あれは笑いをこらえている時の様子だ。


 もしかして、プレイヤーの目からは、この屋上の様子がブランの逆ハーレムに見えているのだろうか。


 確かにこの中ではブランは紅一点だし、誰も彼もタイプは違えどイケメン揃いである。ヴィンセントの素顔は知らないが。

 ブラン自身、相当な美形に成長したという自負もあるし、ブランそっくりの妹であるグラウも天使のように可憐だ。

 しかし、そんな、まさか自分がハーレム主人公になるだなんて。

 考えた事もなかった。


「……──まあ意外と悪くない気分だけど」


 ばっ、と音が聞こえるのではという勢いで全員がブランを見た。

 プレイヤーたちは不思議そうにしている。彼らにとっては当然のようにそう見えているのだろうし、ブランが何に対して悪くない気分だと言ったのかわからないのだろう。

 ヴィンセントはもう上半身ごと肩を震わせている。

 ディアスとジークは完全に無視する事に決めたようで、ブラン同様屋上の端に退避した。


「──下らぬ話はそこまでだ。異邦人たちよ、その力、我に見せてみよ──」


 伯爵が強引に話を切り、その言葉を合図にかヴィンセントが剣を抜いた。

 戦闘開始だ。





 先手を取ったのは剣を抜いていたヴィンセントだった。

 盾を構え、腰を低くして突進したヴィンセントは、プレイヤーの前衛の剣士にシールドチャージを敢行した。スキルを使用したのかどうかはわからない。ヴィンセントは喋らない。

 盾で跳ね飛ばすようにプレイヤーを押しのけ、隣にいたスカウトに斬りかかる。


「ぐおっ!」


 とっさに持っていた短弓で防ごうとしたようだが、残念ながら弓ごと斬られ、ダメージを負ったようだ。

 あの弓はもう使えまい。修復するにはそれなりのスキルが必要なはずだが、この塔周辺には生産系のキャラクターなどいないだろうしどうするのだろう。


 そのスカウトに『回復魔法』を飛ばそうとした後衛の魔法使いはヴァイスが牽制した。

 放たれたのは『ブレイズランス』だ。

 ヴァイスならもっと広範囲に高威力の魔法をばらまく事も出来るはずだが、屋上への被害を気にしているのか、それとも別の狙いがあるのか。


 押しのけられた剣士がスカウトのカバーに入ろうとヴィンセントの側面に剣を振るうが、これはヴィンセントの盾に防がれた。

 しかし盾に一瞬意識を割いた事でスカウトへの注意が逸れ、スカウトはダメージをこらえてバックステップで後退した。


 あと2人のプレイヤーは何をしていたのかと言えば、棒立ちのまま両手をばたつかせていた。

 3人に戦わせておいて遊んでいるとは余裕だなと思ったが、よく見ると足が屋上の床にめり込んでいる。

 いや、めり込んでいるのではなく、屋上の床から無数の亡者の手のようなものが現れ、彼らの足を拘束しているのだ。


 伯爵だ。彼が何かをしている。

 この塔はそもそも彼が生み出したものだし、そういう限定条件下で使える環境型の特殊なスキルか何かだろう。

 そういう戦い方もあるのか、と感心した。


「──その程度の亡者も振りほどけぬようでは、到底我には届かぬな」





 戦闘はそのまま、主にヴァイスと伯爵が妨害などの援護をし、ヴィンセントがメインで戦う形で進行していき、やがて5人全てのプレイヤーがヴィンセントの足元に倒れ伏すという結果に終わった。


 と言っても死んではいない。身体が残っているからだ。プレイヤーならば死んだらすぐに消えるはずである。


「異邦人とはこんなものか。思っていたほどではなかったな。その程度では、我が主への供物にはならん」


「……あ、あるじ……だと? お前の……親玉か……」


 プレイヤーのひとりが声を絞り出した。

 勝てないのなら、せめて会話によって情報を得ようという魂胆だ。

 それは伯爵もわかっているのだろうが、あえて乗ってやるようである。

 というより、もともとこちらが目的なのだろう。


「その通り。我が敬愛する主人だ。お前たちが多少は出来るようなら、始末して我が主への供物として捧げようと考えておったが……。これではな。

 そこらの国をいくつか滅ぼし、貴族を殺めた方が良さそうだ」


「なんの……ために……そんなこと……」


「我が主は城の外には滅多にお出でにならんのでな。臣下である我らがこうして、外に出て願いを叶えて差し上げねばならんというだけだ」


「城って……どこだよ……。あの高地にあるって噂のか……」


「お前の言う高地とはここより東にあるあれか? 主の城が高き場所にあるのは事実だが、そもそもこの大陸にはない。

 主の城は、西の海をこえた先にある魔物の楽園たる西の大陸。その中心に聳えておる。

 まあ、お前たち如きでは海を越えることさえままならぬだろうし、知っても仕方のない事であるがな。忘れよ」


 それならなんで丁寧に教えたの、と突っ込みたい気持ちでいっぱいだったが、なんとか堪えた。


 ふと視線を感じて顔を上げると、ディアスとジークがブランを見ていた。

 何か言う事を期待しているような目だ。

 そんな目をされても、ブランはレアと違って気の利いたことなど言えない。


「は、伯爵はさあ」


 口を開いたブランに伯爵がぎょっとしたような顔をし、ヴァイスが素早くブランの横に立った。

 余計な事を言ったら止めるつもりだろう。

 言わなきゃよかったと後悔し、恨めしげにディアスを睨んだが、すでに目を逸らされていた。梯子を外された気分だ。ずるい。


「伯爵はこの塔にいる限り、無敵なんですか? さっきの戦闘を見る限りじゃあ、本来の能力より大分強そうに見えたけど」


 これは正直な疑問でもある。

 伯爵は本来、真祖と比べても2枚か3枚は格落ちの魔物だ。

 しかし今の戦闘の様子では、弱めの災厄くらいなら倒してしまえそうでもあった。

 その理由として、塔の環境を利用したスキルや戦い方があるようだったし、この塔はもしかしたら墓標であると同時に伯爵の強化フィールドでもあるのかもしれない。

 篩の役目もあるようだし、機能詰込み過ぎである。


「──ほう。よく見ているな。その通り。この塔にいる限り、我は人間どもの言うところの、人類の敵とやらに匹敵する力を得る事が出来る」


 明らかにホッとした様子で伯爵が答えた。

 何とかフォローが出来たらしい。


「さて。そろそろおしゃべりは終わりだ。お前たち如き弱き者に、これ以上話しても何の意味もない。

 ──ヴィンセント」


 ──オオオオオ……


 かっこよく吠えたヴィンセントが剣を振り上げ、プレイヤーたちの首をひとりずつ斬りおとしていき、戦闘は終了した。


 下り階段のあたりでは順番待ちの次のパーティが様子を見ていたようだったが、その光景を見て引き返して行った。

 伯爵にとっては主目的は西方大陸の集客アピールなのだろうし、今のを聞いていたなら敢えて戦う必要はない。


 伯爵が西方大陸からの侵略目的でここに来ている可能性は十分示唆出来たと言える。

 何かと過激に考えがちなプレイヤーたちなら、これを機に西方大陸への逆侵略を考える者が一定数出てもおかしくない。









「異邦人というのは、協力して事に当たろうという考えはないのか? 引き返して行った者たちも、先に来ていた者たちに加勢しておればよかったものを。いずれにしても結果は変わるまいが」


「結果は変わらんだろうなーって見てて思ったから見学だけに留めたんじゃないっすかね。まあ人によりますよ。見ても力の差がわからんのもいるし、ダメ元でも向かってくるのもいるし、協力し合うのもいるし、足を引っ張り合うのもいるし」


 こういう別々のパーティで攻略を進めている場合、下手に加勢すると横殴り認定を受けてトラブルに発展する場合がある。

 見知った者同士なら助けるだろうが、全く知らない相手ならスルーするのが基本らしい。ブランもそのくらいの常識はこれまでのプレイの中で色々目にする事で身につけていた。


「ところで、伯爵のご主人さまってなんで自分の城にプレイヤー集めようとしてるんですか?」


 伯爵は少し考え、何かを答えようとしてやめ、また少し考える素振りを見せ、言った。


「──自分で聞きにゆけ。先に言っておくが、大した理由などないぞ。期待するなよ」






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