第243話「遺跡発掘調査隊」(別視点)
ペアレ王都の北に位置するプロスペレ遺跡には、古代に栄えた精霊王の遺産が眠っているとの情報があった。
この情報はペアレが誇る自慢の王城に残されている文献を調べることで得られたものだ。
精霊王の遺産自体は王城の宝物庫にもある。
秘遺物、アーティファクトと呼ばれる宝物群だ。
これは各国に均等に分け与えられていると伝承にはあったが、他国の宝物庫の中が見られるわけでもない。本当にきちんと分けられているのかなど調べようもない。
このアーティファクトの存在こそが、大陸に長きにわたって平和をもたらしているのだ。
お互いにアーティファクトを警戒するがゆえに、無用に争う事もない。均等に分けられているという伝承もそれに拍車をかけている。どこの国と喧嘩をするにしても、相手も自国と同じだけの切り札を保有しているのなら、お互いタダでは済まないからだ。
獣人の国、ペアレでは、長らくこのアーティファクトを持て余してきた。いや、戦争が起きたことがないのだから、それはどの国でも同じだったろう。
これがあるからこそのイーブンな関係だというのなら、アーティファクトは今となっては単に立場を対等にするためだけの慣例的な意味しか持たない。
つまり、どの国もこれを戦力として数える事はできない。
大陸には定期的に天使による襲撃がある。
さらに近年では、保管庫という不思議な能力を持つ、どこぞの国では異邦人などと呼ばれている者たちも増えてきていた。
彼らは時に獣人たちには理解できない理屈でもって行動し、しばしば面倒事や騒動を引き起こす。
また各地の魔物の住まう領域も、常に安定しているとは限らない。
つい半年ほど前にも、大陸各地の領域から魔物が溢れ出し、様々な街に甚大な被害をもたらしたばかりだ。
このペアレにおいても、ノイシュロスという街が丸ごと魔物に飲まれ、周辺の民が被害の少なかった隣国シェイプに逆恨みの襲撃を仕掛けたと聞いている。
ヒルス王国に至っては、その際に新たに誕生した第七の災厄によって滅ぼされてしまった。もっともそのビッグニュースのおかげでシェイプに対して謂れなき侵攻をかけた獣人のニュースが目立たずに済んだとも言えるが。
さらにそれからそう時を置かずしての天使の襲来、その際にまた新たに誕生した第八の災厄。
まさに激動の時代だ。
これらもすべて、例の異邦人とやらの増加に関係している可能性もある。
保管庫を持つ者は歴史上にたびたび登場してはいた。
しかしいずれもそれほど多い人数ではなく、ある意味で特別な存在と言えた。
ところが数十年前、一度に何千人もの保管庫持ちが確認された時期があった。
その時期というのはほんの数週間で終わりを告げ、その保管庫持ちの異邦人もいつの間にか煙のように消えていってしまった。
その際は特に事件らしい事件が起きたわけでもない。
ほとんどの国は重要な事だとは認識せずに、歴史書などにも記されてはいないだろう。
しかしペアレ王は違った。
時にエルフやヒューマンたちに「野生の勘」などと揶揄される、まさに動物的閃きで、これを新たな時代の幕開けだと感じていたのだ。
現在の大陸の平和は、例えるならば巨大な天秤に均等にアーティファクトを乗せた、そんな不安定な盤の上に成り立っていると言える。
これがいつまでも続くと考えるのは愚かしい事だ。ペアレ王はそう考えた。
新たな切り札が必要だ。
天秤を釣り合わせるための分銅と化している、アーティファクトに代わる何かが。
それも戦力として使用可能な何かが。
ペアレ王は他国に知られぬよう、密かに国内の探索を始めた。
明確に他国を敵と認識していたわけではない。ただ何となく、平和が脅かされるとなれば、その時は他国は頼れないと考えただけだ。
そして同時に他国に頼られたくないとも感じた。だから秘密裏に行なった。
本音を言えば、探索は大陸中を対象にしたかった。
しかし他国の領土でそれと知られずにアーティファクトのありそうな場所を調べるのは困難だ。
また距離的な問題もある。遠くなればなるほど緊密な連絡はとれなくなり、即応性も失われる。どのみち数ヶ月、数年単位のプロジェクトだが、悠長に構えていられるほど余裕があるとも思えない。
ゆえに対象を自国領内に絞り、アーティファクトのありそうな場所に信頼のおける者を放ったのだ。
行動を開始してから十数年。
大陸の均衡を保っていた天秤にはすでに、大量の異邦人という異物が注ぎ込まれてしまった。
さらに直後、天秤の杯のひとつ、ヒルス王国が失われた。
もはや猶予はない。
*
プロスペレ遺跡に派遣されたのはペアレ国王の第2子、シルヴェストルだった。
彼は王族、幻獣人由来のスキルによって、専属の騎士団を持っている。さらにこのスキルは一部の獣系の魔物を『使役』することができる。
隣国シェイプの貴族階級、エルダー・ドワーフはドワーフしか『使役』できないと聞いたことがある。
またウェルスのノーブル・ヒューマンもそうだ。彼らもヒューマンしか使役できないらしい。
ペアレは『使役』を持っている人数の絶対数こそ他国に比べ少ないが、その分1人1人が優れているのだと言える。
「シルヴェストル殿下。森に放った殿下の風虎たちが、数体、何者かに殺害されているようです」
「ふん? 草原の盗賊どもか? あいつらは全てパストの向こうに追い払ったと思っていたが」
「わかりません。死体には何か鋭利な刃物で切り刻まれたかのような傷跡がいくつも残されていました。中には、眼をそむけたくなるほど無残な姿になっていたものも……」
今回の作戦にあたり、かなりの数の風虎を連れてきていた。歴史上、これほどの数の魔物を支配した王族はいない。
この風虎は遠く南にあるポートリーで捕らえた魔物だ。
ペアレの王族は代々、王位継承順位に関わらず、一定の期間を傭兵として過ごすというしきたりがあるため、その際に赴いていたポートリーの魔物の領域にて捕らえたのである。
シルヴェストル自身にも相当な負担がかかる作業だったが、なんとか成し遂げることができた。
とはいえ、これだけの魔物を支配した王族が歴史上いないというだけであって、シルヴェストルが初めて成し遂げたというわけではない。
父であるペアレ国王も兄である第1王子も同様の数の魔物を支配している。
2人とも、傭兵として過ごした時代にそれぞれ旅した先の地で『使役』したものだ。
となれば自分だけ出来ないとはとても言えない。
こうしたことから、ペアレ王城内では今代の王族は歴史上最高の実力を持つ世代だとまことしやかに囁かれていた。
それも、父王がさらなる力を求めて新たなアーティファクトを入手する作戦を立てる決意を後押しする一因にもなっていた。
父は王都から離れるわけにはいかないが、今頃は兄王子もペアレ南部の遺跡を探索しているはずだ。
このプロスペレ遺跡、というか、遺跡の周囲に広がる森林には、太古より大型の猿型魔物が群れで生息していた。
彼らを駆逐するためには戦力が必要だ。
しかし領域1つを丸ごと制圧できるだけの人的リソースはペアレには無い。
そこで獰猛な魔物である風虎の生息地で数年にわたる修行を行ない、幻獣人特有の『使役』の効果を最大限に使って、多数の魔物を『使役』したのである。
幸い、エルフどもは魔物にはさほど興味がないようで、シルヴェストルに『使役』され群れとなった風虎を国外に持ち出す際にも特に何も言われたりはしなかった。ただ迷惑そうな視線を向けられただけだ。
シルヴェストルはこの戦力を以ってプロスペレ遺跡周辺を制圧し、領域を自身の支配下に治めたのだ。
大型の猿どもは全てを倒しきることはできなかったが、それでもボスを含めた残り数匹にまで減らすことは出来た。
ボス猿は生き残った数匹を連れて遺跡を去り、二度と戻ることはなかった。
その後散発的に森の中に湧く猿をすべて追い出すと、完全にこの遺跡はシルヴェストルのものとなった。
そうしてこの地を調べ始めてから、そろそろ1年を数えようとするところだが、未だに遺跡の内部に侵入さえ出来ていない。
遺跡の入口は強固な扉が守っており、この扉には何をしても開かず、傷1つ付けることも出来ないためだ。
これは南部の遺跡を探索している兄王子も同じであった。
また王都に残り、城に遺された書物から他の遺跡を洗い出している父王も成果が上がっていないと聞く。
おいそれと他人に任せられる仕事ではないため、王としての業務の合間に定期的に書庫へ行き、調べ物をしているはずだが、北部のここと、南部の遺跡を文献から見つけ出して以降、新たな手掛かりは見つかっていない。
「……いかに眷属は死ぬことはないとはいえ、そのように無残な姿にされてしまったとなれば、さすがに不快だな。森の中でやられていたということは、この森に侵入してきた者がいるということ。その侵入者は決して逃がすなよ。必ず私の前に連れて来い。生死は問わん」
「は。ただちに」
シルヴェストルの騎士はそう言って音もなく下がっていった。
風虎は森中に放ち、警戒に当たらせている。そして侵入者は見つけ次第、すぐさま殺すよう命じてある。
獣人の騎士であれば、2人1組などで警戒させ、侵入者を発見すれば片方は報告に戻らせ、もう片方が監視するといった柔軟な対応も出来るが、風虎は獣人ほど賢くないため、それは難しかった。
しかし獣人よりも風虎の方がはるかに優れた感覚器官や肉体能力を持っている。
現状ではこれが最善の配置だったはずだ。
「道楽者の異邦人が侵入してきたか? しかし、いかに異邦人とはいえ、風虎に1対1でそうそう勝てるものではない。だとしたら複数の異邦人による潜入か? いや、それほど人数が多ければすでにこちらも捕捉しているはずだ。
風虎にしか見つけられない程度の人数で、しかも
やれやれ。苦労して大猿を追い出したと思ったら、次は毛のない猿どもか」
この森にはこれまでほとんど異邦人は来た事がない。
パストの街からさらに北にあるルート村まで向かう者が、ときおり道を間違えてこちらに来てしまうくらいだ。その逆もある。
その都度風虎が追い払っていたが、これまで風虎とまともに戦えるほどの実力の者はいなかった。
他の地域にいた実力者が流れてきたという可能性もあるが、そんなものが何の用があってこのような辺境の田舎に来たというのか。
ありえそうな可能性と言えば、力試しか運試し。あるいはこれまで同様、道に迷ったか。
「殿下」
先ほどとは違う騎士だ。
この男は王都との定期連絡を任せている者だ。
「ご苦労だったな。何かあるか」
「は。陛下より最優先でのご命令を賜ってまいりました」
「何?」
「王城書庫の書物の全てが何者かにより盗みだされ、その行方は
「何だと?」
王城書庫の書物が盗まれた。
ただ事ではない。というか、まず王城に賊が侵入したこと自体これまで聞いたことがない。
しかし父やこの真面目な騎士が冗談でこのような事を言うとは到底考えられないし、事実なのだろう。
そして言い方からするに、下手人の姿さえ誰も見ておらず、どの方向へ去ったのかさえわからないようだ。
であれば、命令の通りとにかく怪しいものは片端からひっ捕らえて尋問するしかない。
とりわけ怪しいのは異邦人だ。奴らは保管庫を持っている。
物を盗みだす事にかけてあれほど適した才能はない。
「……曲者は異邦人か? もしや、今この遺跡に侵入している者と関わりが?」
もしそうであるのなら、おそらく敵の目的はシルヴェストルと同じ、遺跡に眠ると思われる手つかずのアーティファクトだ。
単なる力試しや、ましてや迷子や気まぐれで立ち寄ったなど有り得ない。
王都との定期連絡には数日を要する。
というのもこの定期連絡においては即応性よりも隠密性を重視させているからだ。ゆえに馬車のような目立つ移動手段は使わず、かつ盗賊などに目を付けられぬよう気配を殺して移動する。
王都からこちらへも同様にして戻ってきたところを見るに、最優先の命令とはいえども、すでに賊に逃げられてしまい行方が分からない以上、急ぐよりも確実に伝えるようにとの判断だろう。
しかし今回に関して言えばもう少し早く知りたかったところだ。もっともさすがの父王も、たまたま賊が逃げた方向が息子を派遣した遺跡の方向だとは夢にも思わなかったのだろうが。
「……今、この遺跡周辺に侵入している賊がいる。そやつらが、王城書庫で盗みを働いた下手人である可能性がある。
すでに人をやって捕えるよう指示をしてあるが、書庫で盗んだ書物を調べ、この遺跡のアーティファクトを狙ってきたのだとすれば、奴らの目的地はこの祠だろう。
お前も合流し、全騎士と風虎を動員して何としても侵入者を捕えろ。ただし殺すな」
「しかしそれでは、御身の安全が──」
「よい。緊急事態だ。父王の命令にもあろう。最優先とはそういう事だ」
「──はっ!」
侵入者など普通であれば殺せば解決するのだが、仮に異邦人であるのなら殺してしまえばどこかへ消えてしまい、2度と捕捉することができなくなる恐れがある。
ヒューマンやドワーフの「騎士」であってもそうだが、死んだ後にどこで復活するかわかったものではない。
少々の経験値の喪失と引き換えに拠点に情報を持ち帰られては堪ったものではないし、それが異邦人なら持ち帰られるのは情報だけでは済まなくなる。
本来主を守るべき、近衛の騎士たちまでも動員しての大捜索になるが、致し方ない。
この森は完全にシルヴェストルの勢力下にあるため、元々危険は少ない。敵性勢力と言えば今侵入してきている者たちくらいだ。護衛の戦力まで動員すると言っても、その侵入者の対応に差し向けるのなら合理的と言える。
なれば父王の命令の通り、最も優先すべきは不審な侵入者の正体を掴むことであり、シルヴェストルの安全ではない。
「どのみち、賊の狙いがこの場所ならば、賊を捕らえることこそが私の安全を守ることにもつながる。それにもしもの場合は、私がここで──」
「──王族らしくない見上げた心意気だね。感心した。いろいろ実験してみたかったが、やめておこう」
不意に聞き覚えのない女の声がした。
シルヴェストルとて戦いの経験豊富な王族である。
ペアレ王国全土で言っても、3番目の実力者と言ってもいい。
一瞬で意識を戦闘態勢に切り替え、敵を確認次第攻撃するつもりで立ち上がる。
「なにや──」
つ、まで発声できたかどうか。
まるで舞台に赤黒い緞帳を下されたかのように視界が失われ、一切の音も消える。
世界が回っているかのような不思議な感覚の後に、ごとりと頭に何かがぶつかる衝撃を感じ、シルヴェストルの意識は闇に落ちた。
*
「っは!」
目覚めたのは、遺跡内部に設営されたキャンプ地、その王族用の天幕の中だった。
意識を失った時のままだ。
ほんの数秒、眠っていただけであるかのようにさえ思える。
「なんだ……。何が起きた……」
意識を失う直前の不思議な感覚についてはよく覚えている。
まるで魂そのものを闇に飲まれてしまうかのような恐怖感とともに、あの瞬間の記憶が蘇ってくる。
もし、死というものを生あるうちに実感することがあるとしたら、あれがそうだと言われれば納得してしまうだろう。
あの時の不審な声は全く聞いたことのない女のものだった。そもそも騎士の中には女はいない。無用な争いを防ぐため、代々王族に付く騎士は必ず同性から選ぶよう決められている。
「何が起きたのだ……。全く訳がわからぬ」
寝ていても仕方がない。
まずは現状を把握する必要がある。
シルヴェストルは天幕を出て辺りをうかがった。
森の中は常に薄暗い。
遺跡の中心があるこの周辺は特にそうだ。
太陽が全く見えないため、その位置から時間を探ることはできないが、おおよその暗さから、あれから数時間が経過しているらしい事はわかった。
しかし問題はそんなことではなかった。
「……なんだ……これは……」
ほんのつい先ほどまで、シルヴェストルが意識を失う直前までそこに悠然と佇んでいた遺跡は、今は見る影もなかった。
この遺跡の扉は何をしても開かず、また傷1つ付けることができなかったため、おそらく何らかのアーティファクトであろうと結論付けられていた。
シルヴェストルたちはその扉を開くための条件を探る事に何ヶ月も費やしていた。当初、この周辺にいた盗賊たちの何名かも、生贄として命を利用した。もっともどうやったら生贄にできるかも不明だったため、無駄に血を流しただけに終わったが。
そうやって何ヶ月も開放に挑戦し続けた扉。
その扉自体には何ら変化はなかった。
扉は変わりがないが、しかしその周りの壁はひどいものだった。
何かに溶かされたかのような、つるつるとした外見の穴が壁に開けられている。まるで何か邪悪な生き物の巣であるかのようにも見える。
ここに現れた何者か、おそらくシルヴェストルの意識を一時的に奪った曲者にも、この扉を開けることは叶わなかったらしい。
しかしその者は扉を介さず遺跡に侵入する方法を見つけ出したのだ。
それがこの壁に開けられた穴である。
確かに扉には傷1つ付けることが出来なかったが、壁もそうだったのかどうかは試していない。
見た目、同じ材質に見えたので壁も同様だと考えていたが、これを見る限りでは違ったようだ。
仮に扉がアーティファクトであり、壁も同様だとすれば、つまり遺跡全体がアーティファクトであるという事になる。
そんな巨大なアーティファクトなど聞いたこともないし、ならば扉だけがそうだと考える方が自然だ。
この無残な壁を見る限りではそういうことだったのだろう。
力が抜けたシルヴェストルは知らず大地に膝を落とした。
この1年の苦労が一瞬で覆されたのだ。無理もない。
また状況から考えれば、シルヴェストルが、そしてペアレ王国が求めていたアーティファクトも、すでに曲者に奪われてしまっている可能性が高い。
この曲者の素性は不明だが、もしもどこかの国の紐付きであったとしたら問題どころの話ではない。
速やかに国に報告し、父王と対応を練らなければならない。
「──誰か! 誰かないか!」
配下の者たちがシルヴェストルの命を忠実に遂行しているのであれば、今頃森中に散って曲者を追っているはずだ。呼んでも誰も来ないだろう。
「くそ、やられた!」
どうやってかは不明だが、ペアレ王家の動きを察知し、王城の書物を盗みだすことでこちらの動きを抑制し、同時にこちらの狙いも絞り込む。そしてこのプロスペレ遺跡の存在を知り、シルヴェストルに先んじてアーティファクトを奪う。
おそらくこれが曲者の計画だ。そしてそれは達成されてしまったらしい。
書物が奪われたという報とほぼ同時にここが襲われたという事は、賊もまた徒歩で隠れて移動し、王都から近いこちらに狙いを絞って襲撃してきたということだろう。
であれば兄のいる南部の遺跡はまだ無事である公算が高い。今すぐ兄に伝えれば同じ過ちは繰り返さずに済むかも知れない。
が、その手段がない。
とにかく祈るしかなかった。
今すぐにでも遺跡の中を確認しに行きたいが、さすがに1人で出来ることではない。
シルヴェストルがこうして生きているのだから、眷属たちが死んでしまうことはないはずだ。今はどうかわからないが、しばらくすればここに戻ってくる。
荒らされた遺跡の調査はそれからだ。
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