第8話
「リアン、少しは考えてみてください。証拠が出てきたら、あなたは逮捕され、刑務所に送られることになります。そして、刑務所には、憲兵の手によって逮捕された人たちがたくさんいます。憲兵を憎んだり、逆恨みしている凶悪な人たちもたくさんいるでしょう。さて、憲兵であるあなたがそんな人たちがいる中に行けば、どうなるでしょうか? おや……、やっとあなたにも理解できたみたいですね、リアン。そうです。あなたはそんな人たちから、とても歓迎されるでしょうね。死んだ方がマシだと思うほどに。もしかしたら、その願いも叶えてくれるかもしれませんね。そこで取引です。あなたが自白すれば、独房で安全に過ごせるように取り計らいましょう。いかがです? 憲兵さん」
「あ、ああ、もし自白すれば、そのように取り計らうと約束しよう」
「だ、そうですよ。リアン、どうしますか?」
私はリアンの顔を見ました。
もう、答えは決まっているようです。
彼女は観念したような顔でこちらを見ていました。
*
リアンは逮捕されました。
罪を自白し、彼女の証言によって、証拠も発見されました。
動機は、義姉の財産を奪いたかったからだそうです。
姉からだけでなく、義姉からも奪うなんて、彼女はどこまで奪えば気が済むのでしょうか。
そんな彼女はもう刑務所の中にいるので、今後、私のものを奪うことはないので安心です。
婚約者、いえ、元婚約者のフィリップは、精神的なショックで寝込んでいるそうです。
まぁ、姉が殺されたうえに、その犯人が自分の妻だというのは、かなりのショックだったでしょう。
同情はしていませんけれど。
あれから、ずいぶんと時が流れました。
私はこれから婚約者とお出かけです。
妹に奪われる心配もないので、心の底から楽しむことができます。
私の婚約者を奪った妹は、それを機に転落人生を歩み始めたようです。まあ、自業自得なんですけれどね…… 下柳 @szmr
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