第7話
「さて、リアン、あなたにわかりやすく説明しましょう。あなたも含め、私たちは全員容疑者でした。しかし、あなたは憲兵隊に所属しています。普通に考えれば、誰も憲兵が人殺しをするとは思わないでしょう。今調査している憲兵の人たちも、無意識のうちにあなた以外の人が犯人だと考えていたと思います。そうですよね、憲兵さん?」
「え、ええ……、まぁ、そうですね。情けない話ですが、少なからず、彼女が犯人ではないという思い込みがありました」
「と、いうわけです。先ほどの私の推理には、確かに証拠はありません。しかし、あなたに疑いの目を向けるのには、十分な説得力がありました。これからの調査の対象の中心は、あなたになります。今まで以上に入念な調査が行われるでしょう。どれだけ時間がかかろうとも、証拠はいずれ見つかります。今回使用された毒物そのものがあなたの部屋から出てくればいいですが、それ以外でも、あなたが毒物を手に入れたルートなどから、証拠が見つかるのは時間の問題です」
「……ふん、私を精神的に揺さぶろうというわけね。その手には引っかからないわよ、お姉さま」
「そのわりには声が震えていますよ。ええ、あなたの言う通り、私はあなたを精神的に揺さぶろうとしています。でも今のは序の口で、ここからがが本番です。あなたは、自分の立場を忘れたわけではありませんよね。あなたは、憲兵です。それがどういうことか、わかっていますか?」
「わからないわ。お姉さま、何が言いたいの?」
「やれやれ、困りましたねぇ。少しは頭を使ってください。わざわざ説明してあげないと分からないのですか……。ちょっと失礼、喉が渇いたのでコーヒーを一杯……。ふぅ……、さて、話を再開します」
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