第6話
「確かにあなたの言う通りだ。あぁ、なんで我々憲兵は気付かなかったんだ! あの状態の遺体を一目見ただけで、毒殺だと判断するのはありえない。彼女を発見してから数秒で人工呼吸しようとしたのは、ごくごく自然な行動だ。むしろ、毒殺だと判断してそれを止める方が不自然だ!」
「ええ、おっしゃる通りです、憲兵さん。リアンの行動は不自然でした。あんなことができるのは、事前に毒殺だと分かっている犯人以外にはありえないのです。あなたは夫であるフィリップを守ろうと、とっさに叫んで止めましたが、それが仇となりましたね」
「ち……、違うわ! 私はやってない! 確かに私の行動は不自然だったかもしれないけど、完全に矛盾した行動とまでは言えないわ! そう、なんとなくよ……。なんとなく私は毒殺のような気がしただけよ! どう? べつに不自然ではないでしょう!?」
「往生際が悪いですねぇ。まぁ、想定内ですけれど」
「どうするんですか、お姉さん? 私が最初に言った通りじゃないですか。証拠もない話を聞いても、自白なんてしないって言ったのに……」
「憲兵さん、安心してください。ここからが本番です。先ほど私が言った通り、ここからは、取引を持ち掛けます」
「取引? そんなもの、乗らないわ。まぁ、正直に言うと、お姉さまの推理は見事だったわ。でも証拠がない以上、それはただの妄想に過ぎないのよ」
「頭の回転が遅いですねぇ。あなたはまだ状況が呑み込めていないのですか。あなたは、今から私が言う取引に応じるしか、残された道はないのですよ」
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