第5話「年下の求婚者」最終話
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私の予想に反して、その日の内に釣書が一枚届きました。
お相手はクリューゲル侯爵家の令息ロルフェ様、十二歳。
公爵家の庭にあるガゼボに行くと、栗色の髪の少年がおりました。
翡翠色の瞳の目鼻立ちの整った愛らしい顔立ちの少年。
「あら、あなたは……」
「また会えたね、お姉さん」
お見合い相手は、数日前カフェでのろけ話を聞いてくれた男の子でした。
恥ずかしい! よりにも寄って散々のろけ話を聞かせた相手がお見合いの相手なんて……!
あまりの恥ずかしさに、私はその場にへたり込んだ。
「どうしたの? 大丈夫?」
「うう……あまりの恥ずかしさに立っていられなくて」
「どうして?」
「だってあなたの前で散々アルフレッド様とののろけ話をして、その数日後婚約破棄されたんですよ。羞恥心で気絶しそうですわ……そのまま溶けて消えてしまいたいですわ」
「それは困るな、未来の花嫁がいなくなってしまう」
「はいっ?」
「お姉さんまだあの日傘持ってる?【カウントダウンするラブ日傘】だったかな?」
「持ってますけど……」
「その日傘って持ち主が思いを寄せる人から告白されるのを予知すると、カウントダウンを始めるんだよね?」
「その通りですわ」
「カウントダウンって一日単位なの? それとも時間単位?」
「最初は日単位で、残り一日になったら時間単位でカウントダウンされますわ」
「そうなんだ、じゃあこれから毎日お姉さんに告白をするね、もし【カウントダウンするラブ日傘】がカウントダウンを始めたら、お姉さんが僕のことを好きになったってことだよね? そのときは僕と結婚してくれる?」
「ええっ?」
「僕ね、あの日カフェで楽しそうに話しているお姉さんに恋をしちゃったみたいなんだ」
「ふぁっ?」
思わず間抜けな声が出てしまいました。
それから本当にロルフェ様は私に愛の告白をしてきました。
家族以外から「好き」と言われたことがなかったので、ロルフェ様から告白されるたびに私の顔は深紅に染まり、心臓がバクバクと音を立てました。
【カウントダウンするラブ日傘】がカウントダウンを始めるのは、ロルフェ様とお見合いしてから六カ月後のこと。
――終わり――
最後まで読んでくださりありがとうございました!
「カウントダウンするラブ日傘〜卒業パーティーで婚約破棄された傷物の私に年下の美少年が迫ってきます」 まほりろ @tukumosawa
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