第15話 夢
~結菜視点~
トンネル効果を利用するなどして、光速を超えるというのは、私たちにとっては悲願である。粒子状態になり、別の場所で再構築されて、結果的に光速を超えるという手法は以前からできるが、
無論、異世界、つまり、別の宇宙へ人体が、体感時間、1時間とかで移動するなどということを科学の力で成し遂げるには、人類は、少なくとも、まだ何百年という時間がかかるだろう。
私と若彦は二人で、百を超える世界に渡っている。体感時間では百年を超えるのだけど、地球上の時間はほぼ経過していないという。こういうことも神々の力があるから、現時点ではできるのだ。
因みに、最初に呼ばれて以降、私たちは異世界間を渡る合間などに何回か神々にお会いすることができており、そこでの交渉結果により、異世界に行った特典で、私は24時間とは別に、24時間が与えられることになっている。
この24時間は、実際の日本の時間で深夜1時から1時5分にあたり、その時間に寝ていることが条件で、この時間中に夢の世界で自由に遊び、学び、趣味に励むことができるようにしてもらえる約束になっている。インターネットなども使えるから、執筆活動をして、それを現実世界に持ち込むこともできるらしい。
無論、現実世界では5分なので、インターネットでのリアルタイムの
夢の世界には過去のすべての文献を集めたという図書館があるらしく、若彦はそこで日本のテレビに馴染んでいたらしい。テレビ番組や、地球のあらゆる主要な場面を収めた映像などもあり、一定程度のものは私も閲覧できるらしい。
現実の世界で起きた時に、この24時間を整理したものを夢として見せてもらえ、その夢の記憶をもとにデータを確認したら、執筆が進んでいるという夢のような生活が待っている。
話が逸れてしまった。こういうことができるのも、やはり現代技術はまだ難しく、神々の力なしでは難しい。それでもいずれは人間が科学の力で現実にできる日が来ると私は信じている。
~若彦視点~
自分は、体を分解して粒子に戻した後、その意識は神界に戻る。結菜は、粒子に戻すと、意識がない状態になり、体を再構築した後、眠りから覚めるように意識を取り戻すが、自分は粒子に戻すとともに意識は神界に移行する。
下界にて荒ぶる魂を鎮め、あるいは討伐しはじめて、しばらくは神界に戻ることができなくなっていた。粒子のコントロールができるようになると、分解しても再構築するかどうかを自分の意思でできるようになり、下界で受肉するまでの時間を空けることで神界に戻れるということに気がついたのは結菜と出会って3回目の世界でのことだった。
神界に戻れるようになった自分であったが、神々の中には自分が神界に居ることを鬱陶しく思っているものも居るようで、下界の鎮めるべき荒ぶる魂は多くあるのだからと下界での活動を勧めてくるものも多かった。
相手の思惑がどうであろうと、折角、下界行きを認めてくれているのであれば、自分に否はなかった。そのため、当分、旅を終えることはなかった。正直なところを言うと、結菜との旅は新しいことの発見で楽しかったのだ。
20回目の世界の後で、結菜に、神界に戻れるようになっていることと、結菜を
100回を超え、天浮橋を訪れるのも10回目になったとき、武南方神から、結菜を地球に一度戻し、5年ほど地球で知見を広めて貰った方が良いとの提案を受けた。自分が神界に居ることを鬱陶しく思っているのかと思っていた神々も、自分が1回戻るという話には、さほどの反対もしなかったので、話は早急に纏まった。
結菜も大学に行って研究者がやっている最新科学をしっかりと持って帰ってくると意気込んでおり、自分も、これ以上、結菜を連れて行くと地球に戻って順応するのが難しくなるであろうと考え同意した。
我々、神界に居るものにとっては5年という月日はあってないようなものだ。下界の100年は、神界の1年と時間感覚では変わらないのだから。まぁ、人間で言うところの年末年始の帰省といったところであろうか。
この期間中も、異世界転移の報酬である「夢の世界」は、天浮橋の中にある施設の一つで、そこに自分もよく行っていたから、そこで一緒に科学の知識を得るというのも一興であろう。
~24神将の視点~
「ケイがやられたようだな」
「奴は我ら24神将の中でも最弱」
「ふん、あれは24神将の面汚しよ」
「えっと、何このテンプレ?」
「結菜を引き上げ、機会を与えてもらっておきながら、あの
「左様左様、
「ケイは
「ケイ?あぁ、戦を知っているかというか、ただのミリオタよね。」
「奴め、威力偵察とか大口を叩きよって」
「対象の情報も満足に伝えれぬ愚物め」
「24神将とか、数多すぎでしょ。」
「春興東北殿は、この失態を許さぬ」
「ケイは死んで詫びた訳だ」
「温いな、死に逃げただけであろう」
「視察の
「エルだ」
「ケイの威力偵察は視察できたのか」
「否。俺が引き継ぐことになるとは想定していなかった」
「春興東北殿は対象の情報を欲している」
「が、威力偵察まで望んでいたかは」
「今も分からぬな」
「いずれにせよ、24神将として2度目の失態は避けねばならぬ」
「集中し、焦らず慎重に、そして急げ!これが春興東北殿の意向だ」
~24神将に紛れ込んだ3柱~
「若彦相手じゃ、無理ゲーってやつよね」
「24神将と言っても、ただの人が、春興東北殿から力を貰っただけだからね」
「この後、24神将が、出てきて、やられていく展開もあったみたいだけど…」
「それも安直だし、春興東北殿も望んでいないようだね」
「ま、ボクとしては、若彦が力をつけるのに役立ってくれるなら、何でも良いけど」
「春興東北殿は、若彦は観察対象?それとも駆逐対象?」
「ボクとしては、育成対象という線もあるかなと思ってる」
「
「とはいえ、春興東北殿は
「ケイが暴走して、それに巻き込まれたボクは通信兵までさせられて、6分も付き合わされちゃった。」
「次の幕開けは、いつになるのかな」
「下界に結菜が行っている間は静観かな」
「結菜をはじめ人類は、本当に面白い。いつか我々の世界にも到達するかも」
「それはそれで楽しい夢よね」
【※作者から】
まずは、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
この物語は、以前にも記載しましたとおり、自分自身が将来、改めて小説を書くときの備忘録として、物語として成立する最低限の内容に抑えて記載しています。
この物語については、また、知見を溜めてから、続きを書きたいと思うのですが、来月中に再開できるとか、そういう単位での目途は現時点では全く立っておりません。今まで読み専で、「作者さん次の更新早く」なんて思っていた自分をぶん殴ってやりたい気持ちです。
自分自身の備忘録なら、公開するなとお叱りを受けそうですが、本業が社畜(泣)で、執筆する時間もなかなかないのですが、いつか、しっかりとした物語として成立できる物語を別に書けたらというのが作者の夢でございます。
ここまでお読みいただいた読者様の夢が叶いますことを心からお祈りいたしまして、一端、お別れとさせていただきます。
どうも、ありがとうございました。
最強の君に贈る物語 3代目あくせら @tkawakami77
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