第8話   帰路



 メテオーラー伯爵に金庫を預けて、民への支払いをしてもらう事になった。


 今後の計画も話し、定期的にこの地を訪れる約束をした。


 耕した田畑にコルが種を撒き、エリザベートが慈愛の雨を降らせた。三日目に芽が出て、夜間だけ雨を降らせた。


 池には、魚を放流し、まずは繁殖させるように指示を出した。


 精霊王様の湖から流れる川には、加護がある。魚も増えるだろう。その川の水を使い人々は食事を作ったり、作物に水を与えたりしている。


 田畑も肥えてくる。人も健康になっていく。


 立派な苗ができた事を確認した。


 りんご園を作り、オレンジ園を作り、ぶどう園も作った。まだ小さな苗が実をならすのは先の話だが、いずれいい果物も生るだろう。


 他にもコルは果物の種を植えて、苗に育てた。


 果樹園をやりたいと申し出る者もいたので、それぞれに管理を頼んだ。


 農家をしたいと申し出る者が多く、川の近くは人気があった。


 住む家は、農家希望の者は近くに集落を作った。


 家は、山から木を伐採してきて作る者もいた。協力して作るように指示を出したので、集落に住む者は、協力して家を建てだした。


 家は王都に住み八百屋をやりたいと言い出す者も出てきた。


 騎士だった者もいて、そのまま騎士団に入隊する者も出てきた。


 肉屋だったと言う者もいたし、狩猟を生業にしていた者もいたが、時期的に狩りをする時期ではなくなってきた。


 春から店を開くために、店だけ手配して、河川工事に行く者もいた。


 民は、少しずつやりたいことを見つけていた。


 王都の空き店舗は順に埋まっていく。


 住処も王都の空き家は、順に埋まっていき、イリス地区の住人は、冬越しの準備が整い始めた。


 旅館を営みたいと言う者も出てきたので、その者に、旅館を与えた。まだ宿泊者はいないが、イリス地区が落ち着けば、旅行者も増えるだろう。今は掛け持ちで資金を貯めている。 


 王都に家を借り、河川工事に携わる者も多くいた。


 ここで、賃金に格差を付けた。


 肉体労働者には、それに見合う賃金を支払い、畑に水を与えるだけに者とは格差を付けた。


 イリス地区で一番、賃金がもらえるのは、医師と河川工事で、次に田畑を耕す者だ。田畑の管理だけの者は、一番、賃金が低くなる。


 医師だった者は僅かだが、残っていた。その者は王都に診療所を開いた。


 領主の元で診療所を開いた者もいたが、医師はやはり特別なので、特別手当を付けた。


 レストランは割安で、料理を提供するように指示を出した。お金のない者には、タダで食べさせるように指示を出している。料理人の賃金は、河川工事と同等だ。食材はシュタシス地区から支給する事になっている。


 今年の冬を乗り切る事ができれば、イリス地区は自立できる。


 騎士団は半月、民の様子を観察して、やっと帰路につくことができた。


 やはり貴族街にやって来た貴族達は、もう帰りたいと言い出して、結局、何の役にも立たずに、一緒にシュタシス地区に戻ることになった。


 プリムスとエルペスとは、半月、会うことはできなくなるエリザベートは、帰路についた騎士団を見送った。


 エリザベートは毎日、イリス地区に出かけて、作った池に水があるか確認して、国境を見て確認していった。


 国境の宿舎には騎士が派遣され、定期的に交代要員が派遣される予定である。


 見晴台は、木を伐採して、今は木を乾燥させている。順にできあがっていく予定だ。


 エリザベートは、リーネに跨がって、鉱山の位置を確認している。


 イリス地区にも鉱山がたくさんある。宝玉のある鉱山も見つかり、地図に印をつけて、偶然であった熊や猪を狩って、野草や薬草を摘む。


 野草と熊や猪は、毎日、食堂に届けて、民が飢えないように気遣った。




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