第3話   河川工事   1



 民を雇ったが、スコップや鍬、土を運ぶための道具がない。


 ミミス王国では、どのように土を耕していたのか聞くと、木でできた鍬を使っていたようだ。取り敢えず、ある物で掘り進めなければ、進まない。


 木でできた鍬では、深くまで掘るのは難しい。


 それでも、手で掘るよりマシなので、掘り進めてもらう。


 コルが言っていたように、川を作る場所に白い花が咲いていた。


 その花は目印なので、踏みつけたり千切ったりしないように注意をした。


 川は幅がかなり広い。深さもいるだろう。


 朝から始めた工事だが、なかなか進まない。


 川は五本作るようだが、まず、集まった人数で、二本の川に取りかかった。


 死体処理班で来た騎士達が一緒に工事をすると、作業率の違いで、民が怠けだす。なので、騎士団と民は別の川を掘り進める事にした。


 毎朝来ていた、エリザベートは、朝、来なかった。


 体調が悪いと言っていたので、無理をして来なくてもいいと思うが、エリザベートが色々手助けしてくれていたので、快適に暮らせていたのだと、エリザベートが来なくなって自覚した。


 エリザベートに頼りすぎていた。


 物資も水も。


 今日は魔道具を使った水を飲んだが、まず、味が違う。水に味があることを知らずにいたが、エリザベートが補充してくれていた水を飲むようになって、魔道具の水の不味さを知った。


 騎士達は毎朝、提供される肉がないことにショックを受けていた。


 朝、ダイニングルームを見ると、昨夜、食べたままの食器が残っていた。


 今夜は来てくれるだろうか?


 会いたいが、無理をさせたくはない。


 ミミス王国で捕らわれていたエリザベートは、痩せ細り、食べる量も少ない。


 保護してから、食事量は増えてきたが、まだ一人前を食べることができない。


 まだ痩せている体を見ると、無理をさせてはいけないと思うが、遠方まで自在に行き来できる事で、つい、頼ってしまう。


 きっと今夜、エリザベートが来たら、機材を持って来て欲しいと頼むだろう。


 好きで会いたいのか、便利だから会いたいのか、分からなくなる。


 どちらにしろ、彼女がいないと、モチベーションが下がることは間違いない。


 プリムスとエルペスと数人の護衛を兼ねた騎士達と、民を見守る。


 河川工事に、元貴族はまだ参加していない。


 貴族街から、まだ貴族が引っ越ししてないのも気に掛かる。期限は七日なので、残り5日はある。暫く様子を見るより仕方が無い。


 区画整理もしなくてはと、考える。


 この地区の地図を作るように、騎士に指示をだしたので、地図ができ次第、区画整理をする予定でいる。

 



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る