第5話 あいつだったら...
庭園に出ると准は柵の前に置いてある椅子に座り、
「はぁぁぁーー」
と大きなため息をついた。
どうしたらいいのだろう。と思った時だった。
「奈々だったら・・・」
とボソッと言った。
准はビックリした。口に出てしまったことよりも、そんな考えが出たことにとて
も驚いた。
自分でそんな考えが出るとは思わなかったのだ。
准は昔、考え込んでしまう自分によく、奈々子がアドバイスをしたりしてくれていたことを思い出した。
妹や親と喧嘩して、近くの公園で泣いてたりすると奈々子が探しにきてくれて、慰めてくれた。話も聞いてもらった。勝手に家を飛び出したから、どうしようか考え込んだときはアドバイスしてもらっていた。
でも、それだけじゃない。
悩み事、困ったこと、他にも色々と考え込む癖がある自分に奈々子はいつも、真剣に話を聞いてくれて、アドバイスしてくれていた。
情けないがそんな記憶が幾多とある。
だが、考え込むことがそれ以上にある中、自分で「奈々だったら」と考えたことがなかったことに准は気づいた。
まずは、自分自身でどうにかしよう。もしそれでもダメだったら、最終手段として、奈々の考え方を使って考えよう。と決めた。
准は早速、頭の中で自分の持ってるあらゆる解決方法を使って考えたが、どうしても受け入れてもらえなかったら。そんな不安が邪魔をしてしまう。
准はしょうがなく、最終手段として「奈々だったら」と考えることにした。
もし奈々だったら...
「そんなの簡単じゃない、話すに決まってるでしょ。だって今話さなかったとしても、いつかは、話さなきゃいけない時が来るんだから、早いか遅いかの違いじゃない。例え受け入れてもらえなかったとしても、受け入れてもらえるようにするばいい。まず准は、幼馴染の私のことを信じてないの?どれだけの時間を一緒に過ごした思ってるのよ。大体ね、君は考えすぎる癖があるんだよ。最近は治ってきたかな〜と思ったのにさ。考えてダメならまず動く!分かった⁉︎」
准は、奈々だったら絶対に言いそう・・・と思うと同時に、奈々の言う通りだ。とも思った。
『もし、奈々が俺のことを受け入れなかったら、受け入れてもらえるようにしよう。それに奈々なら、多くの時間を一緒に過ごした俺のことを受け入れる。そう信じなければ、俺の立場が幼馴染以下になってしまう。
幼馴染以下になるなんて絶対に嫌だ。考えてもしょうがない!』
准は心の中でそう思うと、椅子から立ち上がって
「決めた!」
そう言って、奈々子の母親の元に急いで向かった。
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