著者は、たとえるなら「実際の西ヨーロッパに獣人と吸血鬼とハーレムとご都合主義をぶち込んで中世になるまで煮込んだらこんな世界」、という、なろう系の類型(いわばテンプレ)に逆張りの真っ向勝負を挑んでいる。
中世とはそもそも『暗黒時代』とされた。広大な版図を誇ったローマ帝国が衰退し文明は退化、山賊や魔女狩りがはびこり、貧しく、暴力とキ⚪︎スト教が西欧を支配したとされる時代だ。何故かファンタジーというジャンルの舞台は中世ヨーロッパモデルが多く、さらに実際の中世ヨーロッパとはかけ離れたお気楽ワールドというのも常で、特にネット小説ではそれらが顕著で、ときおりネタ扱いされてもきた。
本小説の舞台、カナン大陸のモデルも(おそらくは)中世ヨーロッパなのだが、著者の中世ヨーロッパに対する解釈が思いっきり暗黒でまず、おもしろい。
そして、上述した「こんな世界」がもの凄い筆致で、かなりニッチな部分まで設定や世界観が作り込まれている。ディティールが追いつかないような箇所はユーモアでしっかりと穴埋めされていた。このユーモアセンスが抜群に狂っているのもまた最高だ。
この作品のレビューを書くにあたって、どこがどう好きなのかという言語化は甚だ難しい。そもそも自分は何を読んでいたのか?という疑問すら払拭出来ずにいる。異世界転生ものか?要素はあるが恐らくそのワードに期待される展開は中心に無いように思う。伝記、戦記ものだろうか。それもまたそのようではあるが根幹と言えるだろうか。医療ものか?そうであってそうでない。学園もの…は違う。恋愛ものでは断じてない。エロだろうか。いや、カクヨムというフィールドを加味しても表現が淡白に過ぎる。まさにグダグダな読後感とは正鵠を射る表現だ。だが、この作品を読むことを止める事は出来ない。好きだから。そこに理由はない。
そう、我々は今まさに新たな世界を“開発”されているのだ。意識を“拡張”されているのだ。“そんなものがそこに収まるわけがない”という固定概念を取り払ういいチャンスだ。試しにメイスを片手に読んでみてほしい。諸兄らに新たな“扉”が開かれる事を期待する。
〜クロスハウゼン・ハクナマタタ 著〜
同じ時間軸を視点変更で描写されるのでくどく感じる場合が
あります。テンポだけを求める人はつらいかもしれません。
ただ、ある意味「海外の反応」的にとらえると主人公の
規格外度合を他人視点で感じれるので美味しかったりもします。
全体的にコミカルな描写なんだけど歴史ものだけあって人が
簡単に退場していくので命の儚さも感じれます。
(退場する理由は結構笑えたり酷かったり)
また、医療チートな面もありますが筆者の方の知識がしっかり
しているのか納得もできます。
総評としては主人公を通して国の崩壊を追っていくつくりだが
主人公無双もあり充分なカタルシスも感じれます。
今のネット小説のなかでも上位を争う傑作だと思います。
注:下ネタも満載です。
(というかエロくない下ネタ文化・風俗がメインですw)
異世界転生するとなぜ女性はみな可愛く美しいのでしょうか?
概ね地球の中世程度の文明・文化レベルでありながら、なぜ快適に暮らせるのでしょうか?
「ファンタジー」といってしまえばそれまでですが、そこに疑問を持つところから始まった小説と思われます。
医療・軍事・政治についてはガチで重厚なストーリーを展開しながら生活レベルと価値観の違いから発する男女関係に関するパートは(変態の登場人物が多いこともあって)グダグダになるという奇妙かつ絶妙なバランスの上に成り立っている小説です。
ちなみに性描写がかなり多めですがちっともエロくありません(笑