世界の中心でこの小説を叫びたい

私はミステリーが決して得意ではありません。面白いミステリーを知らないだけかもしれませんが。ミステリーということは人が死んで、人が死ぬということは、絶対に完全なハッピーエンドにはならないからかもしれません。
鏡花は感情移入できる主人公ではありません。でも、とても愛おしい主人公です。彼女に幸せになって欲しい、ときっと誰もが思うでしょう。そういう、魅力がある主人公です。私はこれがミステリーである事に、読み進めるうちに絶望しました。あぁ、これは、ミステリーだから、完全なハッピーエンドはあり得ない。恐れと目が離せない心持ちで、次話へ、次話へ、とボタンを押しました。そして、その結末に胸が震えました。そうでした。ミステリーとは大どんでん返しなんですよ。これが、ミステリーの面白いところ。私の価値観さえも大どんでん返しされました。そういう、究極のハッピーエンドなミステリー小説だと思います。