―27― スキル獲得

 吸血鬼ユーディートに言わせれば、このダンジョンの深層には、スキルが手に入る宝箱が3つ存在してるらしい。

 そのうち1つが、俺が〈挑発〉を手に入れた宝箱だった。

 だから、俺が手に入れることができるスキルは後2つということになる。


「こんなところに隠し通路が?」


 吸血鬼ユーディートが壁に手をかざすと隠し通路が出現する。


「この先に宝箱がありますわよ」


 その言葉通り、通路の先には宝箱が置いてあった。

 入っていたのは透明なクリスタルだった。


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〈知恵の結晶〉を獲得しました。

 効果が強制的に発動します。


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 見たことがあるメッセージだ。

 確か、初めて宝箱を手にしたときも、そんなメッセージが表示された気がする。


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 以下のスキルから、獲得したいスキルを『1つ』選択してください。


 Sランク

〈アイテムボックス〉〈回復力強化〉〈魔力回復力強化〉〈威圧〉〈見切り〉〈予知〉


 Aランク

〈治癒魔術〉〈火系統魔術〉〈水系統魔術〉〈風系統魔術〉〈土系統魔術〉〈雷系統魔術〉〈錬金術〉〈呪術〉〈念話〉〈強化魔術〉


 Bランク

〈剣術〉〈弓術〉〈斧術〉〈槍術〉〈体術〉〈棒術〉


 Cランク

〈身体強化〉〈気配察知〉〈魔力生成〉〈火耐性〉〈水耐性〉〈風耐性〉〈土耐性〉〈切れ味強化〉〈命中率強化〉〈回避率強化〉〈暗視〉


 Dランク

〈鑑定〉〈筋力強化〉〈耐久力強化〉〈敏捷強化〉〈体力強化〉


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 以前見たスキルの一覧と似ているが、一部違うな。


「ユーディート様、どれを選ぶべきでしょうか?」

「まぁ、〈剣術〉スキルですかね。このスキルがないと話になりませんし」


 言われた通り、〈剣術〉スキルを選ぶ。


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 スキル〈剣術〉を獲得しました。


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 これで無事、〈剣術〉を入手できたようだ。〈威圧〉や〈見切り〉なんて、なかったと思う。


「それじゃあ、もう1つのスキルを手に入れにいきますわよ」


 ということで、二つ目のスキルが手に入る宝箱の置いてある場所に向かうことになった。


 二つ目のスキルはダンジョン最奥の近くにあった。


「この先に、このダンジョンのボスがいますわ」


 吸血鬼ユーディートの目線の先には、一際大きな扉があった。


「このボスを倒せば、ダンジョンの外に出られるんですよね」

「ええ、もちろんそうですわよね」

「ユーディート様も外に出るときには、ボスを倒す必要があるんですか……?」


 ふと、気になったので聞いてみる。

 ユーディートの作った隠れ家にはベッドやテーブルが置いてあった。つまり、頻繁に外に行っては買い物をしているということだ。


「ええ、そうですわね」

「ユーディート様なら、例えどんなボスでも簡単に倒せるんでしょうね」

「いえ、そうでもありませんわ」


 そう彼女は否定すると、一拍置いてからこう告げた。


「ここ50年近く、外に出ることができていませんわね」

「……え?」

「ここ最近、ボスの力は強くなっているようでして、わたくしでも倒すのが難しい現状ですわね」


 そう言って、彼女は歯がみしていた。


「はぁ」


 彼女で倒せないボスって、なんだそりゃ……と思った。

 

 二つ目の宝箱はボスのいる部屋の近くにある隠し通路の先にあった。


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〈英明の結晶〉を獲得しました。

 効果が強制的に発動します。


 △△△△△△△△△△△△△△△


〈英明の結晶〉? 聞いたことがないアイテムだな。


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 スキル〈属性付与〉を獲得しました。


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「あら、珍しいスキルを引きましたわね」

「えっと……」

「〈英明の結晶〉はその人にランダムなスキルを与えるアイテムですわ。とはいえ、困りましたわね。〈属性付与〉は魔術系統のスキルですので、〈魔力生成〉というスキルを獲得しないことには使えませんわね」

「つまり、外れってことですかね」

「まぁ、そう気負う必要もないでしょ。〈魔力生成〉に関してはいずれ獲得するつもりでいればいいのですから」

「わかりました……」


 そう言うってことは〈魔力生成〉を獲得する当てはあるってことだろうか。


「それじゃあ、明日から特訓を始めましょうか」


 そう言うことで、吸血鬼ユーディートによる特訓の日々が始まることになった。


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