―28― もっと大胆に攻めていいですわよ
「寄生剣
特訓の始まり、吸血鬼ユーディートはそう説明した。
「性質としては、わたくしにとっての血と似てますわね」
そう言って、ユーディートは左手を伸ばす。
「
そう呟いた途端、彼女の左手首から血でできた刃物が飛び出す。
「わたくしはこのように体内に流れている血を操ることができます。あなたも同様に体内にある傀儡回を自在に出し入れできるはずです」
「わかりました」
そう返事をした俺は目を閉じて、体内に流れているとされる傀儡回へと意識を回す。
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スキル〈寄生剣
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「え……?」
突然現れたメッセージに驚愕する。
「どうやら技能をスキルへと昇華できたようですね」
聞いたことがある。
例えば、毎日剣を振る特訓をすれば、スキル〈剣術〉を手に入ることがあると。スキルは生まれつき持っていることが多いとされているが、努力によって手に入らないわけでは決してない。
だから、こうしてスキルが手に入ったのも似たような理論だろう。
もう一度目を閉じる。
すると、体内に流れる傀儡回を感じることができる。
それを、体外に具現化させる。
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派生スキル〈黒の太刀〉を獲得しました。
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目を開けると、スキルを獲得したメッセージと共に、手に黒色の片手剣が握られていた。
「ひとまず、これで最低限戦えるようにはなりましたわね」
吸血鬼ユーディートがそう告げた。
「それじゃ、今から特訓を始めましょうか」
◆
その日から、吸血鬼ユーディートとの特訓が始まった。
「脇はもっと締めて、踏み込みも甘いですわ!」
「はい!」
ユーディート様と対面にて、血できた剣を振り回している。それに対し、俺は懸命に傀儡回で受け止めていた。
ユーディート様の打ち込みは重く、受け止めるだけで後方へと仰け反ってしまう。それでも、必死に食らいついた。
「魔物なんて恐れないで、もっと大胆に攻めていいですわよ」
「わかりました!」
ユーディート様との稽古だけではなく、対魔物との特訓もした。
今は、ダンジョンにいるA級難度の魔物、
もし、死にそうになったら、吸血鬼ユーディート様が助けてくれるということなので、安心して戦うことができる。
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魔物の討伐を確認しました。
スキルポイントを獲得しました。
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「よしっ」
思わずガッツポーズ。
傀儡回しを制御した状態で、初めて魔物を倒すことができた。
「ふむ、あなた随分と筋がいいですわね」
唐突に、ユーディートに褒められたので、思わず驚いてしまう。
「……そうですかね?」
正直、自分に戦いのセンスがあるなんて思わないんだが。
「ええ、まさかこの段階で、一人で倒せるなんて思っていませんでしたので。その、なんて言いますか、魔物の動きを読んで攻撃をかわすのに大変優れている気がしますわ。あなた、戦いの経験はありましたの?」
「いえ、ほとんどないです」
「だとしたら、生まれ持っての才能でしょうか」
と、褒められている中、内心、心当たりに行き当たった。
何度も死に戻りして、
魔物の攻撃を避けるということに関しては経験が豊富なので、それが戦闘でも生きているんだろう。
「スキルポイントが手に入ったことですし、スキルのレベル上げをしてみたら、いかがかしら?」
「……そうですね」
返事をしながら、ステータス画面を開く。
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〈キスカ〉
スキル1:セーブ&リセット
スキル2:挑発Lv1
スキル3:剣術Lv1
スキル4:属性付与Lv1
スキル5:寄生剣
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いつの間にか、5つのスキルスロットが全て埋まっているな。
最初は、〈セーブ&リセット〉だけだったことを思い出すと、なんだか感慨深い。
ちなみに、今持っているスキルポイントとレベルをあげるのに必要なスキルポイントを表示させてっと。
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所持スキルポイント:14
〈挑発Lv1〉
レベルアップに必要な残りスキルポイント:10
〈剣術Lv1〉
レベルアップに必要な残りスキルポイント:30
〈属性付与Lv1〉
レベルアップに必要な残りスキルポイント:50
〈寄生剣
レベルアップに必要な残りスキルポイント:70
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スキルごとにレベルアップに必要なポイントが異なるようだ。
〈挑発〉は10ポイントのみで、レベルをあげることができるのに対して、〈寄生剣
ついでに、〈寄生剣
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スキル:寄生剣
派生スキル
Lv1⇒黒の太刀
Lv2⇒???
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『Lv2⇒???』という欄に着目する。
レベルをさらに上げれば、派生スキルをさらに入手できるってことなのか?
興味深いな。
レベルをあげることで、どんな派生スキルが手に入るのか正直気になる。
とはいえ、レベル2にするにはスキルポイントが70も必要だし、正直後回しかな。
「どうでしたか?」
待っていてくれたユーディートがそう尋ねてくる。
「そうですね、まず〈剣術〉のレベルをあげたいので、スキルポイントを30まで貯めてみようと思います」
「確かに、それが一番無難な選択ですわね」
ということで、方針も決まったことだし、さらにスキルポイントをためるべく、魔物の討伐を開始した。
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