―06― 加速
「はっ」
目を開ける。
「グラァアアッッ!!」
目の前に一体の
見たことある光景だ。
どうやら最初に戻ってしまったようだ。
苦労してやっと宝箱のあるところまで辿り着いたというのに、それさえなかったことにされてしまった。
いや、そもそもあの宝箱は手に入れていいのだろうか?
宝箱を手に入れた途端、強制的に10体の
恐らく、全部の
「あっ」
考え事をしていたら、
次の瞬間には、死んでいた。
◆
「とはいえ、あの宝箱以外にこの状況を改善できる策はないよな」
宝箱を手にすれば、スキルを一つ獲得できる。
〈セーブ&リセット〉を除いたらスキルを持っていない俺にとっては、スキルを一つ手に入れるだけでも大きな進歩だ。
とはいえ、スキルを1つ手に入れたぐらいで、10体の
目の前にいる一体の
宝箱で手に入るスキルの一覧全てを覚えているわけではないが、あの中に10体の
まぁ、考えても仕方がない。
もう一度、宝箱のある部屋に行って、それから模索してみよう。
「ガゥッ!」
「やば……」
顔面が壁に叩きつけられて死んだ。
◆
「よしっ」
方針が決まったのなら、早速動こう。
まず、前方にしゃがんで一撃目をよける。
その次に左側に転がるようにステップ。そうすれば、次の攻撃もかわせる。
ぐしゃっ、と体がひしゃげる音がした。
何度も繰り返してきた動きなため、スマートに動けるようになってきたが、今度はそれが仇となってしまったらしい。
そのせいで、
早く動きすぎても駄目。
タイミングが非常にシビアだ。
◆
「くそっ」
死ぬ度に、激痛が全身を襲う。
だから、精神的な疲弊がすさまじい。
とはいえ、止まることは許されない。止まってしまえば、また殺される。
「よしっ」
今度こそ、
あとは、闇雲に突っ込んでくる
ガッ、と顔面を殴るも、目ではなく鼻に当たってしまった。
狙って目を攻撃するのを本当に難しい。
罠のある位置まで全力で走ったが、その前に
この調子で、また宝箱にたどり着くことなんてできるのかよ。
◆
試行回数およそ220回目。
「はっ、やっとここまでたどり着けた」
落とし穴にはまって、底にあるトゲをうまくかわした後だった。
この状況から、宝箱を開けるまでは魔物に襲われることはない。
しばしの休憩タイムだ。
俺は床に横になって、目をつむる。
久しぶりに、まぶたを閉じた気がする。
ずっと、この空間にいるのもいいのかもしれない。
なんてことを考えていたら、知らずして、俺は眠っていた。
「あっ」
目を覚ます。
どのくらい寝ていたんだろうか。
時間がわかるものがないから、全く見当がつかない。
ぐぅ~、とお腹が鳴ったことに気がつく。
そうか、ダンジョンに入ってから、一度も食事を口にしていたなければ、水も飲んでいない。
この空間に居続けたら、いずれ俺は餓死するってことか。
まぁ、復讐のためにダンジョンを脱出すると決意している以上、そんな選択をするつもりは微塵もないわけだが。
休憩は終わりだ。
前に進もう。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
以下のスキルから、獲得したいスキルを『1つ』選択してください。
Sランク
〈アイテムボックス〉〈回復力強化〉〈魔力回復力強化〉〈詠唱短縮〉〈加速〉〈隠密〉
Aランク
〈治癒魔術〉〈結界魔術〉〈火系統魔術〉〈水系統魔術〉〈風系統魔術〉〈土系統魔術〉〈錬金術〉〈使役魔術〉〈記憶力強化〉
Bランク
〈剣術〉〈弓術〉〈斧術〉〈槍術〉〈盾術〉〈体術〉〈ステータス偽装〉
Cランク
〈身体強化〉〈気配察知〉〈魔力生成〉〈火耐性〉〈水耐性〉〈風耐性〉〈土耐性〉〈毒耐性〉〈麻痺耐性〉〈呪い耐性〉
Dランク
〈鑑定〉〈挑発〉〈筋力強化〉〈耐久力強化〉〈敏捷強化〉〈体力強化〉〈視力強化〉〈聴覚強化〉
△△△△△△△△△△△△△△△
ふたたび宝箱を開き、スキルの選択画面を開く。
どのスキルを選ぼうか。
〈隠密〉は駄目だった。
この閉鎖された空間では、〈隠密〉を持っていようと、
そもそも、この部屋を出るには、
「よしっ、これだ」
俺の選んだスキルは――〈加速〉だった。
「「グォオオオオオオオオオオオオオッッッ!!」」
次の瞬間には、部屋の中に10体の
この選択が吉とでるか凶と出るか。
さぁ、戦いを始めようか。
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