第51話 王国襲撃

 作戦が開始され、異能部隊は王城近くまで移動した。

 そして時間が経ち、インカムに通信が入る。


[第一部隊、作戦開始します]


 その通信と共に、王都内に爆発音が響き渡る。

 そんな爆発音に人々は驚き、叫び声を上げながらあちらこちらへと逃げ惑う。


[第二部隊、作戦開始します]


 続いて通信が入り、先ほどとは違う方角で爆発音が鳴る。

 その爆発音を聞き、異能部隊は王城に向かって走り出す。


 ここまでが今回の作戦の第一段階。

 爆発音で王都内の戦力を分散させ、その隙に異能部隊、そして第三部隊がそれぞれ別の場所から王城内に侵入する。


「そこの者たち何用だ!」


「止まれ、さもなくば切るぞ!」


 異能部隊は門の警備をしている騎士たちに見つかり、剣を向けられる。だがそんなもので足を止める者は月影の中には一人もいない。


「セイラ、やるぞ!」


「イエス、マスター!」


 二人は青白い光を纏い、真は【真価武装】の大鎌を、セイラは【真価武装】のナイフを両手に持って、先行する。


「止まれと言っているのが聞こえないの、かっ!?……」


「な、なんだその鎌、っ!?……」


 真は大鎌を振るい、一瞬で騎士の意識を刈り取る。


「セイラ!」


「イエス、マスター」


 セイラは両手に持つナイフを振るい、門を切り刻む。


「よし、行くぞ!」


 門を破壊したことで、異能部隊は真正面から王城に侵入する。作戦第一段階は大成功だ。

 続いて作戦は第二段階に移る。


「敵襲!敵襲です!」


 侵入した王城内では、騎士たちの叫び声が絶えずに聞こえてくる。そんな中、侵入した異能部隊に気づき、すぐに騎士たちに囲まれる。


「あっという間に囲まれたね……」


「姉川さんは下がっていてください。俺たちが、というより真がやりますから」


 空は銃を手に取り、姉川を庇うように立つ。


「あぁ、任せておけ」


 真は顔と服を隠すために羽織っていた外套を脱ぎ捨て、大鎌を肩に構える。

 そんな真に対し、騎士たちは剣を構える。


「悪いが時間が無いんだ。手早く片付けさせてもらう」


 真は膝を曲げ足に力を溜め、騎士たちに向かって一気に走りだす。


「なっ!?……」


「うっ!?……」


 そしてすれ違いざまに大鎌を振るい、一瞬にして騎士たちの意識を刈り取る。


「……終了」


 真は大鎌を肩に置き、息を吐く。


「……それが異能の力か、えげつないな」


「真くん、さらに強くなってるね」


 真が異能を使って直接戦う場面を見たことない二人は、一瞬で騎士たちの意識を刈り取った真を見て、引き気味に笑う。


「増援が来る前にさっさと行くぞ」


 真を先頭に、異能部隊は城の中に入った。

 作戦の第二段階、成功。


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