第39話 異世界から帰還
黒い飛行機に車ごと乗り、異能部隊は異世界と地球を繋ぐ門が設置された場所に着いた。
「さすがに空からだと早いな」
一同は飛行機から降りる。そして真は周りの様子を見る。
「まさかここまで設営が進んでるとは思わなかったな」
門を発生させる装置の周りにはテントが立ち、車や飛行機が停められ、白衣や黒服を着た人たちが忙しそうに走り回っている。
「な、なんか凄いわね」
「これくらいで驚いていては月影ではやっていけませんよ」
「……なんか不安になってきた」
一同が装置の前まで進むと、白衣を着た女性が駆け寄ってくる。
「異能部隊の皆さまですね。少々お待ちください」
白衣の女性は門の近くにある装置を操作する。すると装置が起動し、世界を繋ぐ門が開く。
「門の安定を確認。……どうぞ門の先にお進みください」
白衣の女性に促され、異能部隊は門の中に入った。
_________
門を抜けると、白衣を着た人たちが走り回り、キーボードを叩き、ディスプレイと睨めっこをしている。
そんな中、門を抜けた真たちに近づいてくる男が一人。
「お父さん……」
「やぁ、いばら」
近づいてきていた男は月影トップ、忍田黒仁。
黒仁はいばらの前まで歩くと、その頭を撫でる。
「無事でよかった」
「うん。……って頭撫でるのはやめてよ。もう子供じゃないんだから」
そう言いつつもいばらは自分から離れようとはしない。
「そうだね。でも本当に無事でよかった」
黒仁は最後にいばらの頭を一撫でし、頭から手を離す。そして次に黒仁は真の方を向く。
「真も無事でよかった。いばらを守ってくれてありがとう」
「俺は俺の出来ることをしただけですよ」
「君は相変わらずだな。でも、本当に無事でよかった。君の強さは知ってるけどね、家族としては心配だったんだよ」
黒仁は真の頭を撫でる。そんな黒仁の行動と言葉に真は珍しく動揺する。
「え、えっと。心配かけました」
「ふふ、良いんだよ。こうして帰ってきてくれたからね」
「はい……」
手を離し、黒仁は一歩下がって異能部隊全員を見る。
「レーショウ、ロウガ、姉川、空。君たちにも感謝を。そして早速ですまないが、次の任務について少し話をしよう」
「次の任務?」
いばらが首を傾げる中、黒仁の横に居るロボットから映像が映し出される。
「次の任務は異世界転移に巻き込まれた高校生たちの救出を考えている」
映し出されたのは真たちのクラスメイト達の情報。
「ただ情報が少なすぎる。そこで真」
「はい、こちらをどうぞ」
真は黒仁にメモリを渡す。
「異世界で収集した情報をまとめてあります」
「ありがとう。では異能部隊は次の命令まで待機。ゆっくりと休んでくれ」
「「了解!」」
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