最終回『1000年後』
1000年後。
「やれやれ……なんで僕、生きてんだ?」
ふよふよ~小さな身体でぷかぷか浮いてる1人の赤ん坊が居る。
いやさ、1000年経ったら普通死ぬよな? なんで生きてんの? ていうか何で赤ん坊のままなの? マジで謎けれど生きちゃってるんだから困ったものだよな。
「にしてもここはどこだ?」
流石に1000年も経てば地形が変わっているのだろう。この辺の地理が全然分からない。
とりあえず分かるのは……うん。
「とっことことことことこーーー!!!」
そこかしこにちっこいのが走り回ってる。
これ全部ねこのこ族……だよな?
どうやら僕には無関心な様なので、無視してぷかぷか~と飛んでゆく。
よく考えたら、こうして生きてしまってるなんて考えもしなかったから……何して生きよう。
また冒険者しよかな~とも思うし、いっそ店とか開いてみるか~とか思うが、何故かやる気が出ないんだよな~。
「とにかく、人のいるとこを探すか~」
魔力感知を最大迄広げた。
「ん?やっば!?」
超巨大な僕を余裕で超えるだろう魔力が2つ、ものっすごい勢いで……えぇ!?
逃げる間さえくれなかった。数十キロは離れてたというのに、僕が魔力感知した途端それに反応するようにもうそこまで来ている。というか、今目の前にいる。
「……にゃにゃ!!…………くーろいめんめ!!!」
「………浮いてる……人間の赤ちゃん!!」
紛れもなくというか、そのまま過ぎて見間違える訳が無い。
もれなく魔力だけは化けすぎてるけどな?
ていうか、1000年経った筈だよな?1000年だぞ?なんでこうも姿が変わってないんだ!?
先端の白い赤髪赤眼の少女、紅蓮のローブに黒いマントを羽織り元気な八重歯を覗かせ僕の方をにぱっと嬉しそうに見ている。
赤い猫耳はぴこーんと立ち、しっぽが揺れてるのだろうローブがバタバタしてる。
先端の白い水色の髪に青い瞳、水色の水潮のローブに身を包んでいる。無表情に整った顔は幼くも美人が持つ独特な雰囲気を持ち、見られてると少し緊張してしまう。
首にまく真っ白な天の羽衣で恥ずかしくなったのか顔を隠した様だ。けれど見られるのは嬉しいのか耳をぴくぴくさせてるな。
「みぅ、みぃ、お母さんとの生活はどうだ?」
まぁ1000年ぶりとはいえ、見た目が変わらない2人だが中身は変わってるだろうしな? こういきなり撫でるなんてことするのはなんかおかしい気がするからな。
1000年もの暇な時間何度も考えたことを聞いたんだ。
「……うぅ……いくとだ……」
「ご主人様……ひっく………」
わかったわ。この2人……中身変わってねぇ。
次の瞬間にはみぃとみぅ、2人は僕に飛びついて来た。
まぁ考えてみ? この2人は1000年の間にとんでもない魔力を手に入れてる……つまり、肉体的な強さも化け物になっている。
思いっきり飛びつかれた僕は2人に押し倒される。
地面にはとても大きなクレーターが完成した。……物理攻撃無効化が無ければ死んでた……ていうか、攻撃判定入る抱きつくって何なんだよ!?
とまぁ突っ込みたいことは山ほどあるけれど、今はとりあえず……この1000年経ったのに全っぜん変わらず泣きじゃくる2匹を泣き止ませることから初めないとな。
「よしよし」
「ご主人様!!どうして突然いなくなるですか!!」
「いくとのバカ!!嘘はダメなの!!嘘はダメ!!」
んー悪口の方も相変わらず幼稚だな? けど……今は言い返しても勝てる気しないので、黙って聞いてることにしよう。
こうしてまた、僕はこの2匹と異世界生活するはめとなる。
☆☆☆☆☆
おしまい。
ご愛読頂きありがとうございました。
最底辺の転生者〜赤ん坊編〜2匹の捨て子を育む異世界修行の旅 ねこのこ @Differentworldinstraycat
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