第59話
「……あ、う……」
「まさか本当に出来るなんて……でも話せないみたいですね」
恐らくラピスやコーラルと違って人と接していなかったせいだろう。
「とにかくこれでいいんだよな?」
「はい!耳石の摘出は任せてください」
「じゃあ、これでグーシュヴァンドと対等に戦えるってことだよな?」
「あ、それは違います」
「え?だって今スキルはこれで無効化出来るって言ったよな?」
「はい、スキルは無効化出来ます。でもグゥちゃんが強いのはそれだけじゃないんです。グゥちゃんは先程お話しした永遠に引き継がれ呪う罪を贖って力を得たんです」
グーシュヴァンドに力が通用しなかったのは性欲がなかったからでは無く、その力のせいってことなのか?
「ですが、その力についてはグゥちゃんしか知りません……すみません」
「結局わからないってことか……でも、ありがとう」
「いえいえ!私がグゥちゃんについてお話し出来るのはこれだけですが、他に何かありますか?」
「グリフォンについて何か知ってるか?それとグーシュヴァンドはスキルを無効化する力を持っていたりするか?」
以前褐色幼女に触れた時に起きたことがグーシュヴァンドに触れた時にも起きたことを説明した。
「すみません、グリフォンはこの子達の様に迫害される魔物ではなく優秀な部類ですからほとんど見たことはありませんね……ですが、スキルが使えなかった件はもしかしたら……」
「何か心当たりがあるのか?」
「はい、以前グゥちゃんもそんなことを言っていた様な気がします。同類だとか奪ってやるとか言って喜んでたのを覚えてますが……」
同類?奪う?
俺とグーシュヴァンドが同じだとは思えない、いや思いたくないが……
「その力は奪えるってことなのか?」
「すみません、詳しくはやっぱりグゥちゃんに聞いてみないとわからないです」
「いや、十分だ。ありがとう」
「こちらこそです!特製耳栓は2日あれば出来ますから取りに来ていただけると助かります!それとグゥちゃんのことですが……」
「わかってる、これ以上好き勝手はさせない」
「ありがとうございます、私に出来る事があれば何でもします!」
ヘレンは深く頭を下げる。
妹を思う気持ちがそれだけで十分伝わってきた。
それにしても何でもする、か……
「……本当に何でもするのか?」
「はい!私は鈍臭いので出来る事は限られてますけれど、何でも頑張ってやります!!ってふひゃぁっ!?」
俺はヘレンとヘルバウンドの少年を積まれた藁の上に押し倒す。
「ふぇっ!?あ、あの、確かに何でもするとは言いましたがここでその……エッチなことをするのは私初めてですしそれにその子も入れて3人でなんて……私も最初はベッドで好きな人としたいな、なんて……あ!別にショウさんが嫌いとかじゃくてむしろ好きと言うかむぐう!?」
「喋るな、グーシュヴァンドが近くにいる」
何故それがわかったのかはわからない、でも間違い無く近くに来ている。
「ヘレンー、ボクが来たよー……あれ?いないのかな?」
小屋に入って来た、やはりグーシュヴァンドだ。
今ここでバレてしまえば全て水の泡だ。
こちらに近づいてくる。
どうにか逃げるか隠れるしかない。
「ん?もしかして……ここかな!?」
グーシュヴァンドが俺達が倒れた隠れた藁の場所、そこに手を出して一気にかき分ける。
「あれ?何かいる気配がしたんだけど気のせいか……残念」
グーシュヴァンドは去って行く。
そして完全に気配が消えたことを確認する。
「ぷはぁ!!し、死ぬかと思いましたぁ!?」
俺とヘレンは一瞬で巻き寿司の様に藁に巻かれていた。
モテるスキルを使って一瞬で藁を集めることが出来て良かった……
「そう言えば何か言ったか?」
「ふぇっ!?いえ!何でもありませんよ!!」
「それじゃ早速1つお願いがある、ついてきてくれるか?」
何でもしてくれるというなら、お言葉に甘えよう。
『モテる』スキルで異世界最高〜物を『持てる』だけのクズスキルのはずが、実は物に『モテる』スキルらしく美少女に囲まれて暮らしています〜 耳折 @mimioreneko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。『モテる』スキルで異世界最高〜物を『持てる』だけのクズスキルのはずが、実は物に『モテる』スキルらしく美少女に囲まれて暮らしています〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます