【台湾有事】今、憲法改正をしないといけない理由

武藤勇城

本編

【台湾有事】今、憲法改正をしないといけない理由

 最近、日本周辺で最も警戒すべき事件として、「台湾有事」が叫ばれています。

 ものすごく簡単に言えば、台湾へ中華人民共和国の人民解放軍が攻め込み、武力制圧するという話です。


 細かい話は後述するとして、まずはこの件に関して、大変憂慮すべき話が「虎ノ門ニュース」にて放送されましたので、以下の文字起こし部分をご確認ください。

 動画は数週間程度、ユーチューブ上で確認できると思いますが、一定期間で削除されます。(通常は2週間ほどで削除されますが、人気動画は1年以上、視聴できる場合もあります)



【DHC】2021/11/24 (水) 長谷川幸洋×飯田泰之×原英史×居島一平【虎ノ門ニュース】

youtu.be/1VtRKJF6sPw

(ユーチューブ:1時間40分過ぎ頃から)


dhctv.jp/season/261/#top-of-tab

(DHCテレビ公式 動画一覧からも探せます)


 ~文字起こし ここから~

私、今、最も懸念していて、かつ関心を抱いているのは台湾ですよ、台湾。

中国が仮にですよ、台湾に武力侵攻した時に、更にその武力侵攻が成功して、台湾が中国のものになってしまった場合、何が起きるかと言うと、こういうこと (中露の空海軍が領空領海侵入を繰り返すという示威行動) が毎日のように起きると。

つまり日本列島が全部、中国によって、こうやって脅かされていくと。

それのいわば前哨戦のような形で、今これが起きているなと、いうふうに思っているんです。

これに関してはよっぽど、どうするのかということを真剣に考えるべきだと。

(中略)

実は台湾が攻められた時に、どうするかということについて、アメリカは何度も何度もシミュレーションをやっているんですよ、軍事シミュレーション。

ランド研究所と一緒に。

その何度も何度もやったシミュレーションの結果がどうなるか、と言うと、アメリカはボロ負けです、ボロ負け。

一回も勝ったことがない、どころか、中国人民解放軍を追い返すなんてことは一回も出来ていない。

これはもう、軍事関係者の一致した見方なんですね。

その上で、そういうシミュレーションを前提に、今アメリカで起きている議論は何かと言うと、台湾を守れるのか?

っていうことです。

軍事関係者は、守れない、だから、守るべきではない、もっと言うと、アメリカは台湾を守るという公約を撤回しろと、そこまで来ている。

これが今の議論。

もう一回言いますと、これは軍事関係者の、軍の専門家、海軍大学の教授たちが言っている議論なんですね。

これに対して、守るべきだ、と言うのは主に国務省サイドの人たちが言っているんですよ。

彼らの論拠は、もし台湾を失ったら、守らなかったら、アメリカの信頼性が傷付くでしょと、日本や韓国やヨーロッパが、アメリカは守らないのか、そんなアメリカは信頼できない、ということになってしまって、それは大変な事態だ。

同盟に対する裏切りだし、信頼を失うことがアメリカにとって大変な事態だ、だから守るべきだと、というのが国務省の議論。

これに対して、軍の海軍大学の教授が何を言っているのかというと、信頼度が傷付く?

例えば日本がアメリカを信頼しなくなる?

だから何だっていうんだよと、どうせ日本はアメリカを頼るしかないでしょ、信頼度が傷付くなんて言われたって、日本はアメリカ以外に選択肢がないでしょと。

関係ないと、そんな話は。

そこまで実は議論がもう来ているんです、アメリカの本音の議論は。

で、そうすると一番大事な問題で、最後に台湾の話をすると、果たしてアメリカは台湾を守りに海兵隊が来るか?

守りに来るのか、バチバチ人民解放軍と戦うのか?

というと、私は戦わない可能性が高いなと。

ということは即ち何かと言うと、台湾は取られちゃうってことなんです。

私はもう、日本もそのくらいのシナリオも頭に置いて、こういう問題にどうすべきか、ということを考える、もうそこまで局面が来ているというふうに私は思っています。

 ~文字起こし ここまで~



 ~要点まとめ~

・台湾有事が起きれば日本も多大な影響を受ける

・米軍が参戦しても台湾側は勝てない

・アメリカは台湾有事に軍を派遣しない可能性すらある



 この話を聞いて、血の気が引く思いをしている人も多いのではないでしょうか。

「米軍がいるから平気平気w」

「人民解放軍なんて雑魚だろ?w」

「中華人民共和国の台湾侵攻?そんなのあるわけないじゃんw」

 このような意見をネット上などで散見しますが、これは「正常性バイアス」です。

 人間は、想定外の事態や出来事に直面し、自分が考えるものと全く違った価値観や現実を目にした場合に、根拠もなくそれを否定して安心したい、また見えないフリをするといった精神構造があります。

 いわゆる「現実逃避」です。

 しかし、現実から逃避して目を背けていても、物事が解決するわけではありません。

 むしろ事態が悪化するでしょう。

 長谷川氏が最後に述べているように、こういう事態を予め想定して、日本がどうすべきかを考えておかなければいけません。


 話は少し前後しますが、そもそも論として、

・中華人民共和国が台湾へ侵攻するなどという事態が起こり得るのか?

・台湾って何なの?国なの?地域なの?

 この2点と、動画の文字起こし部分の後で飯田氏が話しているような論点、「中華人民共和国が台湾を占領した場合、国連が動くから中華人民共和国は終わりだ」というような意見についても、少し説明しておきましょう。



1、中華人民共和国が台湾へ侵攻するなどという事態が起こり得るのか?


 実はこれ、もう10年近く前から言われていた話なんです。

 日本人は平和ボケしていたり、先に述べたように正常性バイアスが働いてしまって、嫌な話は「そんなのあるわけないじゃん」で切り捨ててしまう、だから話が広まっていなかったという現実があります。

 ですが、注意深く情報を集めていた人、自分の意に沿わないような情報でもしっかり聞いてきた人の中では、もはや通説になっていました。

 情報ソースは以下など。


今後50年間で中国が戦わなければならない「6つの戦争」

wedge.ismedia.jp/articles/-/3463

2013年12月31日


豪州戦略政策研究所ASPIのブログ・サイトThe Strategistの11月26日付けに、豪州国立大学ANUのウェイド客員研究員が、中国がメディアを通して、反米感情を煽ったり、領土拡張を訴えたりしている現状を紹介して、警告を発しています。

(中略)

>今年7月には、更に問題となる領土回復主義の記事が、中国新聞網のサイトに掲載された。この記事は、「今後50年間に中国が戦わなければならない6つの戦争」という題名で、人民解放軍の一部に見られる超国粋主義の態度を示している。しかし、このような記事が中国国営通信社に掲載されるという事実から、これが指導部で認められた考えであることが想像出来る。

>6つの「不可避な」戦争は、時系列で示されている。(1)台湾統一戦争 (2020-2025年)、(2)南シナ海の様々な諸島の領土回復戦争 (2025-2030年)、(3)チベット南部の領土回復戦争 (2035-2040年)、(4)釣魚島及び琉球諸島回復戦争 (2040-2045年)、(5)外蒙古統一戦争 (2045-2050年)、(6)ロシアに奪取された領土の回復戦争 (2055-2060年)である。

>台湾に関しては、中国は、武力行使の手段を放棄したことはなく、具体的時期が示されたことも今まではなかった。偶然ではあるが、丁度、台湾軍が、中国は2020年までに台湾を併合する軍事的能力を有するだろう、と発表したばかりである。

(後略)


 中華人民共和国が、2020年から25年までの間に、台湾統一戦争を行う。

 この話を、中華人民共和国内のみならず、今では外に向かっても発信しています。

 10年前の計画では2025年までに、となっているのですが、この計画が多少変更されていたり、少し先延ばしになっているとしても、近い将来、数年~十数年以内に実行に移す可能性はある、または高いとみて良いでしょう。

 まさに喫緊の課題、今目の前にある危機なのです。



2、台湾って何なの?国なの?地域なの?


 台湾というのは、台湾島、または台湾島とその周辺の島々を含めた、地域の名称です。

 台湾国、という国が過去に存在した事実はなく、現在も当然存在しません。

 ですので、台湾に中華人民共和国が侵攻する、というのは、台湾島に人民解放軍が進出して駐留する、という話になります。


 よく「台湾が好きだ!」と声高に叫ぶ人がいますが、そういう人に限って、「台湾は立派な国だよ!」などと言っていたりします。

 台湾の事、台湾の歴史を何も知らないと分かってしまいますから、好きなのであればこそ、少しは勉強をしましょう。

 現在、台湾にある国家は「中華民国」といいます。

 1912年に建国された国で、それまでシナ大陸を支配していた清国の皇帝・ラストエンペラーが廃嫡となって、皇帝が支配する体制から全く新しい国に生まれ変わったのが始まりです。

 大東亜戦争時に日本と戦ったのも、この中華民国=中国軍でした。

 そこで疲弊した中国は、その後、共産党軍との国内内戦に敗れ、日本がポツダム宣言により放棄した台湾、及び澎湖諸島に移りました。

 首都もそれ以降、台北になっています。

(カイロ宣言の条文 満洲、台湾及澎湖島ノ如キ日本国カ清国人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民国ニ返還スルコト)


 第二次世界大戦とシナ大陸の覇権争いの後、1949年に共産党軍により中華人民共和国が建国されました。

 更に1971年のアルバニア決議で中華人民共和国が国連に加盟したのと同時に、中華民国は国連を脱退しました。

 現在、国連、及び国連に唯々諾々と従う日本政府の公式見解としては、中華民国という国は存在しない事になっています。

 従って、日本と中華民国の間に、正式な国交はありません。

 これは、同じように第二次世界大戦後に国連に加盟できず、90年代になってようやく正式加盟した北朝鮮を国として認めていない、正式な国交がないのに似ています。

 違うのは、台湾が今でも国連に加盟していないという点でしょう。

 因みにですが、日本はこのアルバニア決議の前後、中華民国の初代総統である蒋介石らと何度も会談を行い、中華民国が国連を脱退するのと同時に中華民国の旗を降ろし、台湾として国連に再加盟するべきだと助言しました。

 しかし、蒋介石はそれを拒否したそうです。

 その結果が現状なのだと、これは台湾出身の日本人、金美齢氏などが語ってくれた話です。(以下)


12時間ぶっ続け生自民党 (20)「安倍晋三元総理×金美齢さん」(1/3)

watch/sm18253271

(ニコニコ動画:14分過ぎ頃から)


 ~文字起こし ここから~

なぜ私が自民党を応援するのか、原点は50年前です。

50年前の写真を持ってきました。

この若く可愛い女の子が私です、金美齢の50年前の写真。

そしてその向かいで若い女性をじっと見詰めているのは誰でしょう?

岸信介、元首相でございます。

※安倍晋三議員の祖父

(中略)

実は、この時が、50年前が基点なんですよ。

私はあの時、非常に感動したのは、岸元首相が台湾に何回も足を運んだのは、蒋介石を説得するためなんです。

何をどう説得するかと言うと、日本もアメリカも、中華人民共和国が国連に入るのを止める事はもう出来ない。

どんどん中華人民共和国が実地支配しているわけですから、中国大陸を。

だから国連の安全保障理事国のポストを、中華民国がずっと居座っている事は不可能だと。

唯一、台湾を国際社会に残すためには、国連に中華人民共和国が入ると同時に、中華民国ではなくて台湾として議席を残しなさいと。

つまり、東西ドイツがあり、南北朝鮮があるんだと、ならば中華人民共和国と台湾が同時に国連にいてもいいだろうと。

で、唯一のチャンスというのは、中華人民共和国が加盟する時と同時に、中華民国の旗を降ろして台湾として残りなさい、というか再加入しなさいと。

岸信介元首相は50年先、100年先のことが見えるんですよ。

つまり現在のこの時点が見えるんです。

台湾が国際的な孤児になってしまったら、日本も不利なんだと。

実は台湾が台湾であるということが日本のためであるということを、岸首相はちゃんとご存知で、それを見通せる。

だから何回も何回も台湾へ足を運んで、蒋介石を説得しようとした。

蒋介石はノーと、何故ノーか、自分は死ぬまで中華民国の総統でありたいと、こう言った。

実は憲法は2期しか許さないのに、憲法を変えて、死ぬまで彼は総統をやったんです。

死ぬまで中華民国の総統であるために、台湾を売ったんですよ。

台湾が国連に入る事が出来なかった、今、国際社会で孤児になっているのは、あの時の岸信介元首相の説得を、蒋介石が聞かなかった。

それでも何回も何回も足を運んで、説得をして下さった岸信介元首相に対して、私はその場にいたわけだから、座談会でちゃんとその話を聞いて知っているわけだから、私が通訳したわけだから。

自分の眼でそれを確かめて、自分の耳で確かめて、その原点で私は自民党をずっと50年間応援しているわけです。

 ~文字起こし ここまで~


 こういう歴史を知った上で、「中華人民共和国が台湾を占領した場合、国連が動くから中華人民共和国は終わりだ」という飯田氏の話になりますが・・・

 本当に国際社会が動くと思いますか?

 そもそも、台湾にある中華民国という国家は、国連に加盟していないわけです。

 だから国連が動くわけありません。

 アメリカ軍による抑止がなく、国連も動かないとなれば、中華人民共和国の台湾侵攻を止める手立てはありません。

 もちろん、同盟どころか中華民国との正式な国交すらない日本が、自衛隊を防衛出動させる可能性なんてゼロです。


 その上、日本国憲法九条に何と書かれているか。

 もちろん、ご存知かとは思いますが、改めて確認しておきましょう。


第2章 戦争の放棄

〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


 普通に条文を読めば、日本が中華人民共和国の台湾侵攻に対して、何かできると思う方がおかしい。

「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

 誰がどう考えても、台湾を助けることなど不可能。

 中には、これを超理論で解釈して「台湾を守るために自衛隊が出動できる!」と言う人もいますが、無理ですよ、無理。

 仮に助けに行けるとしても、米軍でさえ絶対に勝てないと言っている戦争に、今の自衛隊がノコノコ出て行って、一体、何が出来るんです?


 この台湾有事は、もう喫緊の課題です。

 ハッキリ言うと、今から憲法改正の議論を始めても、恐らくもう間に合いません。

 中華人民共和国が、本当に2025年までに台湾への侵攻を始めるとすれば、どうしようもありません。

 指をくわえて見ているだけでしょう。

 台湾が好きだから助けたい、などと精神論を言ってもどうにもならないのです。

 それが現実です。

 現実逃避してもダメですよ。


 だからこそ、今すぐにでも九条改憲の話を始めて、仮に台湾が中華人民共和国のものになってしまったとしても、そのあと日本は日本自身を守れる体制を作らなければいけません。

 可能性は高くないですが、もしかしたら、まだ間に合うかも知れませんし、台湾有事に際し、米軍のみではなく、パワーアップした日本国軍が参戦することで戦況を覆せるかも知れません。


 台湾が好きだ。

 台湾を何とかしてあげたい、助けたい。


 そう思うのであれば、明日からでも始めましょう。

 日本の足枷であり、日本を縛る鎖である、憲法九条改正の手続きを。

 自民党は、結党以来の党是として、憲法改正を掲げています。

 しかし戦後一度たりとも、憲法改正が出来ていません。

 国民世論として、憲法改正の機運を高めて自民党の尻を叩かなければ、この話は全く進まないでしょう。


 台湾を取られてから慌てても遅いのです。

 大切なものを失う前に、日本は目を覚まし立ち上がって、動き始めなければいけないのではないでしょうか。

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