愛が無くても私は。

真谷大史

 

 私は父親に愛されていない。少なくとも世間一般の愛され方では無かったし、私の望むものではなかった。そして大きく傷つけられてきた。 

 そう気づいた時、いや、そうであると認めた時、父親と良い関係を気づけなかった自分には大きな欠陥があるのではないかと不安になった。良い関係を気づいた場合より大きく何かが劣っているのではないか、元々存在しなかった場合とは違い、存在するのに良い関係を気づけなかった事は大きな損失なのでは無いか。

 しかし離れて分かった。彼が今現在生きていようが死んでいようが私は生きている。彼との関係がどうであろうが私は生きている。

 私の現在の生命、そして私の価値は彼の存在ごときで揺らぐものではなかった。

 私が生を受けるきっかけこそ彼らによるものだった。それでも、現在は私のもの、私だけの物だったのだ。

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愛が無くても私は。 真谷大史 @mrz6

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