第6話
俺こと、南山真琴は、いつもと同じだった。
まあ……いつもと同じ時間に登校、いつものような時間に高校、山野辺高校に辿り着き、いつもと同じ時間に教室へと入る。
そして、自分の席へと座り、いつもと同じく教科書を机に入れたりしているのである。
変わった事と言えば、先日、テストがあった事と一通の手紙が来たぐらいなのであった。
まあ、その一通の手紙が来たせいなのか?
俺の日常は、ちょっとずつ変わっていったのも確かである。
まず変わった事その1、手紙を差し出した張本人からのアプローチが多くなった事。今までは、全く会話がなく、ただのクラスメイトな感じだったのだが、手紙を俺に出した女、汐崎美咲からのアプローチが多くなったのである。
何故、多くなったのかというと、その手紙の内容は「貴方が好きです、彼女にして下さい」だったからである。普通の男なら「よろこんで」やら「OKです!」とか言うだろう。普通ならばだが、だが俺は……普通じゃ無かった。なんせ汐崎美咲と同じ、俺とか自分とか言っているが、正真正銘俺も女なのである。だから俺は、少しというかかなり困っていたりする。
変わった事その2、その手紙が来てからか、俺の親友の栗谷美鈴と俺の妹の南山亜季が俺によく話しかけてきたのである。
親友の美玲は、俺の事を認めてもいないのに、勝手にまこと呼んでるし、妹の亜季にいたっては、俺に近づく者を誰であろうと、嫌がっていると思われる節がある。しかも亜季は美鈴の事が大嫌いらしく、昔に会ったというのに、誰ですか? とか言ったり、俺に近づくなとかそういうオーラも出している感じがする。
はっきり言って、シスコンなんだろ~か? 俺の妹は……そんな感じで、俺の日常は、ちょっとずつ変わっていった。
これから先、一体どうなるんだろな?まあ、深く考えないでおこうと……心に決めたのである……
学校がない日の休日の日、俺は、ある場所に来ていた。その場所とは……山野辺アイランドと呼ばれる。
総合レジャー施設、まあ所謂遊園地と呼ばれる場所に、遊びに来ていたのである、何故、遊びに来ているのかというとテストが終わって、休みの日になり、俺の妹の南山亜季が「休みだから、一緒に遊びに行きたい」と言ってきて、俺は、妹をかまってやる約束をしたので、それを了承、そして何所がいいか、二人で相談した所。山野辺アイランドに行きたいと妹が言ってきたので、そこに行く事になったのである、ちなみに母親は「楽しんでらっしゃい、あ、お土産忘れずにね?」と言って、家で留守番していたりする。
そんな訳で、動きやすい格好に着替えた俺は、妹の亜季を連れて、山野辺アイランドに来ていたのであった。
「お姉ちゃん、今日は楽しもう~」
「そうだね」
妹はかなりご機嫌らしく、俺の手を掴んで、そう言っている、うん、嬉しいのはわかるよ?
もう少し人の視線を感じてくれると嬉しいかな……と、俺は思っていた。
「まず、何乗る?」
「そうだね……え~と人があまりいない場所は……」
そう言って、山野辺アイランドの中を歩いていく。数分歩いて、人があまり並んでいないアトラクションに辿り着いた。
「あ、ここにしよ? お姉ちゃん」
その場所は、スプラッシュ屋敷と書かれてあっ
うん……内容が全く分からない……
「スプラッシュ屋敷……亜季、これに乗る?」
「うん、これにする」
「りょ~かい」
妹と二人で並ぶ、数分たって、俺たちの番になると、係員がこう言ってきた。
「スプラッシュ屋敷にようこそ、ひとつ注意点があります、このアトラクションは、水を使うのでお客様の衣類が濡れてしまう可能性があります、もし濡れるのが嫌でしたら、こちらに合羽を用意してありますので、使うというのでしたら、私に言ってください」
「どうする? 使う?」
「私はいいや、お姉ちゃんは?」
「自分もいいかな、別に濡れてもかまわないし、じゃあ、自分たちは使いません」
そう係員に告げると、了解しましたと言って、案内してくれた。このスプラッシュ屋敷というアトラクションは、コースターに乗って、周りの景色を見るとかいわれる。まあジェットコースターみたいな感じの乗り物みたいである。
俺と亜季は、何故か一番前の座席に案内されて、席につく、妹は「楽しみ~」とか言っていて、かなり笑顔であった。そして、係員が「グットラック」と言うと、コースターが発進、かなりのスピードで動く、これ……ジェットーコースターと同じだな……と思っていると、いきなり水の中へと数秒入った、これって、濡れてしまう可能性とかいうより、100%濡れるだろ!、携帯とか水に弱い電化製品駄目になるんじゃないか?これ……
そんな感じで、なんとかスプラッシュ屋敷が終わった。
「楽しかった~、お姉ちゃんは?」
「ま、まあまあかな……」
そう言っていた、うん、あんまりこういうスピード系は、苦手なんだよな……俺は……
「じゃあ、次の乗り物乗りに行こう?」
そう言って俺の手をとる、なんでいちいち俺の手を掴むのが謎だが、まあ、俺は気にしない事にした。次に俺達が向かったのは、フリーフォールと呼ばれる座席をベルトで固定して、垂直に上昇、頂上から一直線に落下をする絶叫系アトラクションだった。
「さっきのジェットコースターの次は、これに乗るの……?」
「うん、駄目……?」
そう、うるうるな顔で言ってきた、その顔は卑怯じゃないか……断りずらいんだが……
「わ、分かったよ」
「ありがと~お姉ちゃん」
そう言ってきた、うん、なるべく下を見ないようにしようと、決めて……数分後。
「……」
「だ、大丈夫!? お姉ちゃん」
「だ、大丈夫……」
危うく意識が飛びそうになった、さすがに絶叫系は苦手だな……と、意識した瞬間でもある。
「亜季……次は、絶叫系じゃなくて、もっと軽いものにしてね……」
「う、うん、お姉ちゃんがそう言うなら、そうするね?」
ふ~、これで何とか絶叫系には乗らなくて済むだろう……そう、俺は思っていた。
そして、次に向かったのが、どこの遊園地にもある、メリーゴーランドだった。
うん、こういうゆっくりな回転の動く乗り物で、心を落ち着かせようと、俺は、思ったのである。人があまり並んでなかったので、俺と亜季はメリーゴーランドの中の機械に乗った。
亜季が馬車の中に入り、俺が白馬をイメージした乗り物に跨る。そして、数分が過ぎ、メリーゴーランドの回転が終わると、お腹がすいてきたので、食事場所に向かう事にした。
そこで、出会ったの人物はと言うと……
「あれ? まこ~!」
「まこ、まさか、ここで会えるなんて……嬉しいです……」
そう、何故かそこにいたのは、俺の親友の栗谷美玲と俺に手紙を送った人物、汐崎美咲がいた。
「まこ~、まさか会えるなんて思わなかったなあ」
そう言ってきたのは、俺の親友の美玲、うん、何でいるんだ? こいつ
「まこ……会えてうれしいです……」
そう言ったのが、俺に手紙を送り、クラスの中でも大人気で、ファンクラブまである、汐崎美咲だった。
「え~と……何でいるの?」
俺は、そう聞いてみた。
「私はね? この山野辺アイランドで開催される、天空カイザーショーを見に来たんだ」
ちなみに、天空カイザーと言うのは、美玲がはまっているアニメである。前に、そのキャラのコスプレを俺もやったから、覚えているのである。
「私は、何も用事がなかったので、母がくれたチケットをもらったので、そのチケットで遊びに来たんです、そしたら同じクラスメイトの栗谷さんを見つけて、話しかけていた所、まこがやってきたと言う訳です」
そう美咲が言ってきた、なるほど……そう言う事だったのか……
「お姉ちゃん……この人は?」
そう妹の亜季が美咲を指さして言う。そっか、美玲は家で会ったけど、美咲は会ってなかったっけ?俺は、とりあえず紹介する事にした
「えっと、この人は、同じクラスの汐崎美咲さんだよ、亜季」
「ふ~ん……えっと、妹の亜季です」
そう亜季が言うと
「貴方が妹さん? 随分とまこの事にしがみついてるけど、それはいつもなの?」
いつの間にか、亜季は手を繋ぐというより、腕を組む形を取っていたりする、あの~……別に逃げたりしないから、がっちりとつかまないでほしいんだが……俺は、そう思った。
「もしかして……前に電話してきたのって、貴方ですか?」
「そうよ?」
「貴方に言っとく事があります!お姉ちゃんに二度と近づかないで下さい!お姉ちゃんは渡しません!」
……妹が何気に凄いこと言ってない!? 周りの視線が痛いよ!?なんか会話も「あれって、三角関係?しかも妹と彼女?百合百合だな~?」とか聞こえるし!?
「……それは許可できないです、必ずまこは、私のモノにしますから!」
美咲も大胆な事言ってない!?って、いつの間にか美玲がその場にいなくなってるし!?
美鈴の事を探してみると、遠くの方にいて、天空カイザーのショーがやってる所にいるのを発見した。
「お姉ちゃん、行こ!」
「あ、うん……じゃあ、また、美咲さん」
「あ、待って下さい!私も一緒に……」
美咲がそう言っていたが、追いかけて来なかった。何故かと言うと、他の男性数人に声をかけられていたからである。しかも途切れ途切れに「ファンです」とか聞こえるので、恐らく美咲ファンクラブ、通称、MKFC(美咲ファンクラブ)だと思われた。まあ、そんな訳で色々とあったが、食事をとって、しばらく遊んで、夕方になった頃、さすがに疲れたので、夜にやる「ヤマノベパレード」は見ず、家路につく事にしたのである。家路に帰る途中。
「お姉ちゃん」
「何? 亜季」
「あの美咲って人の事、す、好きなの……?」
……どう答えればいいんだ? いや、確かにラブレターらしきものはもらったが、返事してないし、なるべく関わらないようにしてるから、好きか嫌いかで言われると、微妙なんだが……
「ん~……好きでもないし、嫌いでもないかな、まあ同じクラスだしね」
「そう……お姉ちゃん、私、あの人にはお姉ちゃん、取られたくないから、あの人と仲良くしちゃ駄目!分かった!?」
「……う、うん」
俺は、そう答えていたのであった。
こうして、俺のまたまた変わった休日が終わった。
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