泡沫の軛

東雲よすが

序、人魚姫

 むかしむかし、あるところに人魚姫(ひめ)がいました。

 歌もうまくてきれいな姫は、海の世界がだいすきでした。

 

 ある日、姫は人間の少年を助けました。

 そのとき、人魚は生まれてはじめて、陸の世界をすてきだと思いました。そして、友だちのいる陸の世界へ行きたいと思うようになったのです。

 

 少年も、とてもきれいな人魚のことが大好きになりました。

 

 でも人魚と少年は、お姉さんと弟くらいに年がはなれていました。

 

 だから少年は、18さいのたんじょう日に人魚に自分のきもちを言おうと思いました。

 

 

 

 なぜなら、人魚はずっと年を取らない

 

 

 “ふろうふし” の存在

 

 

  だからです。

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泡沫の軛 東雲よすが @yosuga__tsukuyomi

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