第2話「仕事仲間」の補足
【運び屋/運び屋の旦那】について
冒険者たちを目的の場所まで道案内する仕事を担っている。冒険者組合専従のようでもあるが、有り体に言えば下請けの自営業者に過ぎない。彼らは冒険者たちの移動拠点として諸活動を支えている。
冒険者たちが街道を移動する主な手段として馬車が使われている。案内人は長距離移動に耐える自前の馬車を保有している。急ぎの仕事であれば主要都市を結ぶ早馬を手配するだろう。金に糸目をつけない冒険者の依頼ならば、彼ら運び屋は魔物である地龍や走鳥すら移動手段として提供する。それだけの人的な繋がりを中央大陸全体で作り上げている。
人々の生活基盤を支える物流は主に行商人や豪商の商会の仕事で、運び屋が関わることは稀だ。危険地帯を経由するなどの特殊な事情がない限り彼ら運び屋が“商品”を運ぶことはない。
そもそも中央王国内では船舶が物流の柱を担っている。これは、魔素の影響により、王国内の森林の増殖速度が早すぎるためだ。限られた国家予算では維持できる街道も限られる。更に治安も良好とは言えない。また雨季や冬季には通行が困難になる箇所も多い。河川や運河、それに沿岸航路が重要な交通線として都市を結ぶため、恒常的に帆船が運行されている。帆船の形状や寸法などは大航海時代のキャラック船を思い浮かべて欲しい。
【財宝探索/財宝探索者】について
字面通りの存在。盗掘者とも言う。迷宮や遺跡の魔物とは戦わない。先史時代の遺物を盗み出してくるような冒険者。尊敬されることはほとんどない。迷宮によっては、時間の流れが異なるため、体感で僅か数日だけ迷宮に潜っていたにも関わらず、外に戻ってくると数十年経過していた、ということは珍しく無い。カネヒラと言う男は、実年齢三十代半ばであるが、迷宮探索の影響で生まれてから数百年の時間のズレを経験している。
【D.E.】について
外見は妖精族の少女で、カネヒラの伴侶。魔女の娘の一人。真名は虚空の娘。人界においては、ドロシア=エレノアという二つ続きの名前を名乗っている。カネヒラが省略して
D.E.は大抵の男の目を奪うような美貌の持ち主である。確かに美しいのだが、色味の好みで好悪が分かれるような極端な存在だ。真紅の髪に銀色の瞳それに千代古令糖色の艶やかで木目細かな肌。加えて爪の色が研磨された真紅の鋼玉のようであることも目を惹く。
カネヒラに言わせるなら、男たちが彼女の見栄えに惹き寄せられているわけではなく、魔女の娘が生来備えている魅了の権能によって、篝火に引き寄せられて身を焦がす夜中の羽虫の如く、惑わされるらしい。
【神殺し】について
物騒な通り名だ。神殺しと呼ばれるD.E.が何処かの神を撃ち倒したという事実はない。D.E.が使う広域焼尽魔法の通称が“神殺し”と呼ばれているに過ぎない。この魔法の威力は凄まじく、神代である先史時代に失われた魔法文明の産物であるといわれている。ぶっちゃけ核撃(テ○ルトウェイト)というか核攻撃そのもの。
【触れてはならない存在】について
アデレイドのこと。彼女の庇護下にある人々を傷つけた者たちにとっての災厄。昔のことではあるが、南方の都市国家連合の数千人の不正規兵を一瞬で葬り、敵国だけではなく中央王国の人々の心胆を寒からしめた。
『
時々、アデレイドが口遊んでいる。
【ジェフリーの馬車】について
コネストーガ幌馬を思い浮かべて欲しい。大きな川を渡るときには船ように浮かぶ。この世界では珍しい形状だ。足回りは固定車軸式で鋼を加工した板を重ねて作った板バネで車体に固定されている。車輪の踏面は広く、不整地に強い。なお本物のコネストーガ幌馬車にはリーフ式サスペンションは装備されていなかった筈。
【余計なこと】について
群狼団が南方都市国家連合だけではなく西方域の新興貴族たちから支援を受けているという当て推量。集団を維持するには大量の物資が必要になる。むくつけき男どもの集団だけに“慰安”は必須であろう。野盗の活動で得られるものなど僅かである。王国内での物資略奪が容易でないことと群狼団の規模を鑑みるに彼らは隣国あるいは国内の反辺境伯勢力から支援を受けている筈である。
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本編の第2話 仕事仲間 に戻ります。
https://kakuyomu.jp/works/16816700429103720529/episodes/16816700429106065700
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