第1話「仕事の依頼」の未定義用語解説

【冒険者】について


 そのほとんどがならず者。目立った技能を持たずとも体力や腕力があれば冒険者になれる。数合わせの傭兵や用心棒(護衛)などが彼らの主な仕事と言える。

 一般的には職業・身分制度の外、所謂、ならず者と呼ばれる人間たちが冒険者を名乗っている。刑期の開けた鉱夫の中から冒険者になる者も多い。迷宮の探索や魔物の巣穴など調査にも鉱夫としての経験を活かすことができよう。また兵士や傭兵から冒険者になることも珍しくない。単に武器の扱いや戦いに慣れていることが理由だ。

 飛び抜けた剣技や魔術を駆使する冒険者もいるが、大抵は、騎士を含めた貴族階級出身か、あるいは正教会の聖職者である。誰もが技量の熟達まで繰り返し訓練を受けられるわけもない。平民出身ではまずありえない。

 特別な冒険者は、国王や司教からの依頼で先史時代の遺物を探したり、魔物を討伐したり、と華々しい。しかも公務員のように身分保障された存在だ。



【刑期の明けた鉱夫】について

 

 危険を伴う仕事であるため、採掘業務は犯罪者や捕虜などが担っている。鉱山技術者とは別な存在。



【冒険者組合】について


 大陸の主要都市に存在する。職業訓練のような社会的な役割を担う。冒険者たちへの仕事の斡旋所。大酒や食事を提供し寝泊りの場所となっている。なお総本部は中央王国の王都にある。

 冒険者組合の建物は、冒険者たちだけに限らず辺境の住人たちにとっても利用価値のある場所となっている。丁度、アメリカ開拓時代の『フロンティア』のサルーンのような役割を果たしている。例えば、町住人たちの集会所や行商人の物品販売所、あるいは四季折々の祭の時節であれば、旅の興行師たちが演じる華やかな舞台となる。拙作では、辺境の開拓地のイメージはアメリカ西部開拓時代に近い。



【冒険者組合長】について


 手配師あるいは口入屋の親玉。その土地の有力者が兼務することが多い。当然、その一帯の顔役となっている。横暴な者もすくなくない。



【迷宮遭難救助(サルベージ)/迷宮救助人(サルベージャー)】について


 迷宮で消息を絶った冒険者の遺品や遺体を回収する仕事を担っている。負傷して動けなくなった冒険者を救助できることも稀ではあるが無くは無い。魔物が跳梁する迷宮で動きが取れなければ、当然の帰結として、死は避けようがない。

 厄介なことに遭難した冒険者が生きていたとしても、迷宮に取り込まれて、その一部となった生存者は、迷宮から無理に連れ戻すと灰のように崩れ去る。正教会の祝福によって、助かる場合もあるので、一種の呪いのようなモノとして、サルベージャーズ世界の住人たちは、そのように認識している。

 そういう理由からレスキューではなくサルベージと呼ばれている。他の冒険者たちからは皮肉を込めてそう呼ばれている。



【キースの髪型がミディアムスタイル(笑)】について


 この髪型が拙い。キースが女性に見える原因のひとつ。冒険者組合長のアデレイドの指定というか、アデレイドがキースの髪の毛を切り揃えている。

 アデレイドは古参の冒険者たちを自分の子供たちと呼んで大切にしている。仕事が絡まなければ過保護なバカ親に過ぎない。彼女は趣味全開で子供たちを構う。その所為で、ゆるふわヒロイン系ヘアスタイルの主人公キースが出来上がるという味わい深い状況になっている。仕事仲間たちは「まあ、いいんじゃない。キースだから」と言って彼の髪型については流している。



【勇者】について


 ジャパニーズファンタジーは勇者の存在を抜きにしては語れない。魔王は世界の敵対者であり根源的な悪の体現者だ。諸悪の根源を討伐する存在が勇者である。

 なろう的世界観が成立する以前、勇者といえばドラゴンクエスト(DQ)の勇者であった。決して村人Aに「ざまぁ」される存在ではなかった。村人の家に不法侵入しては、物を壊し、金貨や薬草や装備をかっさらっていく。それは魔王を倒すための致し方ない犠牲(コラテラルダメージ)として村人Aを含む一般人に忍従を強いる存在であった。

 DQ世界を律する法の外側の存在どころか世の中の理からもはみ出しているのが勇者だ。実際、何度死んでも蘇るところを見ると魔王を超えるようなヤバい存在ではないだろうか?

 このサルベージャーズ世界においても、勇者は魔王を討伐する存在として喧伝されているが、異世界から召喚されるわけでもない。正教会から認定を受けて、国王から勇者の地位を下賜される臨時の政府職員にすぎない。



【DQの勇者の原型】について


 桃太郎だと思う。



【迷宮】について


 大半が地下に埋もれた先史時代の遺跡。この世界では何やらふわっとした【超すーぱーな存在】によって生み出されたアトラクション施設とも言える。

 楽しいだけではなく実利も生み出す。貴金属や先史時代の遺物を発見・取得することができる。迷宮からそれらを持ち帰ることができれば、王都や領都で競売に掛けて高値で売り払うことができる。 

 冒険者たちにとっての迷宮探索は、一攫千金の夢を叶える場所であり、常に死と隣り合わせの場所である。実際、探索中に恐ろしい魔物が暗闇や物陰から突如として湧き出て、冒険者たちの不意をついて襲ってくる。



【正教会】について


 中央大陸の国家間にまたがる宗教組織のこと。この組織が崇め奉る神は、至高神と呼ばれており、この世界の秩序を保つ存在とされている。

 かつては様々な信仰対象を有する小集団や部族が無数に存在していた。それらが合衆し、領土国家が誕生する中で、統治機構の一端を担うような権力と権威を兼ね備えたシステムが正教会として形作られた。

 中央大陸の人族の統合の象徴が『至高神』であるが、土着信仰や自然信仰あるいは祖霊信仰なども消えることなく、至高神の従神として、伝統的な神々の存在が許されている。

 この世界では、いかなる神であっても超自然的な力を振るうモノであり、神力を発揮することで現世利益を人々に与える存在である。それらの存在を否定することは難しい。


 

【妖精族】について


 ここではハイエルフのこと。尚、妖精や精霊は神の御使いと呼ばれている。



【始原の魔女の娘/大魔女の娘/魔女の娘】について


 外なる神が気まぐれで生み出した存在。このサルベージャズ世界の秩序と混沌。正義と悪。いずれの側にも、彼女らは従うことも与することも無い。この世界の神々から祝福され得ぬものであり、邪神も正神も含めて神々の恩寵や奇跡を授かってはいない。外見は、人や獣人や魔人や妖精族と様々である。

 外なる神々の眷属であるので、先史時代の神術と呼ばれる強大な魔法を行使できる。正確には神術ですらない。その膨大で出鱈目な魔力はこのサルベージャーズ世界の神々をも凌ぎ、人の世に比するもの無しと恐れられている。


 

【祀ろわぬ者/まつろわぬ者】について


 正教会によって定められた神々のいずれかの一柱すら信仰していない不信心者たちのことであるが、信仰心の有無というよりは、神々から祝福を授けられなかった者たちのことである。

 邪神を崇める混沌に与する民ですら正教会にとっては信者として扱われるが、まつろわぬ者たちは、教会というシステムの外なる存在、忌むべき存在である。

 現代日本に住う読者諸兄姉の価値観に従うなら、まつろわぬ者たち自身には何ら咎はない。しかし、この世界では、祝福を受けられないことが即ち咎なのである。



【三筋の滝/三条の滝/三糸の滝】について


 滝が三つに分かれて糸のように流れ落ちている様からその名が付けられた。魔女の森の中では珍しく、樹木が適度に間引かれており、日中は光が差し込んでくる穏やかな場所だ。魔物も少なく、通常の野生動物が水を求めて、集まってくる。ピクニックあるいはには最適の場所。



【迷宮主】について


 強力な魔物。迷宮の格付けは迷宮主の強さによってきめられている。迷宮最奥で迷宮核と迷宮核が生み出す宝を守っている存在。時々、格付け以上の迷宮主が待ち構えている場合がある。



【猫耳の獣人/猫人族】について


 Jファンタジーでは欠かせない存在。エルフと双璧をなす。奴隷属性が付与されていることも屡々。このサルベージャーズ世界では、世界観の演出のため、作者によって安易に登場させられた種族。ちなみに作者は猫好きだけど猫アレルギーである。

 残念なことに出会って3秒で即合体という都合の良いことは起こらない。勿論、登場人物同士が、目と目が合う瞬間に、だと気付くこともない。



【超すーぱーな存在】について


 マァナ=ユウド=スウシャイとかヨグ=ソトースとか色々。



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迷宮遭難救助隊の本編の 第1話 仕事の依頼 に戻ります。


https://kakuyomu.jp/works/16816700429103720529/episodes/16816700429103756702

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