暗家
暗家の茶室には2人の仙氏が談笑をしていた。
1人は天賦の才をもち、先代は『この子は無限の可能性をもつだろう』と感嘆の声をあげた、暗家当主の1番弟子、
もう1人は先代の弟、とても厳粛で白髪の頭に長い髭をたらした、暗家当主、
「当主…………
と師兄に拝借します。」
明夜の弟子、
「当主、ただいま戻りました。」
「燐、おかえり。遠路遥々、偵察ご苦労じゃった。」
燐がちらっと、夜明の方をみた。
夜明は、きょとんとした顔で燐をみていた。
「構わん、続けなさい。」
「ごほん。
当主が読んだとおり、あれは
所作、身なりは星の若様そっくりで、星家の象徴、紅の蓮花が額に咲いてありましたが、言動にすごく違和感を感じました。」
神妙な面持ちで燐が言った。
「うん、そうか……とても信じ難いが、変幻の術を使えるようじゃのう。しかも、そこまで似せるとなるとかなり強力な者じゃ。」
「『怨死の事件は暗家のせいだ』という噂を信じている仙氏たちがいて、注意しようとしたところ、星蘭威がでてきました。星蘭威は何がしたいのか……。」
「ふむ。
その流れだと暗家を庇ったんじゃろう。」
「何か裏に意図があるかもしれませんね。」
「ふむ……。」
「変幻の術……?
2人はなんの話をしているのですか?」
2人の話を黙ってきいていた夜明が、問う。
その場に不釣り合いな明るい声は、2人を笑顔にするには充分だった。
「師兄!そのことも覚えていないのですか!!伝書鳩で師兄の容態を当主から聞いておりましたが、はぁ。」
燐は、"ありえない"と言った顔で、師兄をみた。
夜明は相変らず、きょとんとしている。
笑いながら暗光は言う。
「ははっ!燐、やめなさい。
夜明よく覚えておくんじゃ。
変幻の術は、今では滅びてしまった#邪家__・__#の能力じゃ。
邪家は、『虫、鳥、獣、人間』などの生き物に自由自在に変幻できる能力をもっている。」
「虫や鳥になれるなんてすごいですね!その能力なら稽古を抜け出してもバレない!うん!最こ……ごもごも。」
「なっ!師兄!!!」
燐が慌てて、夜明の口を手で塞いだ。
「ごほん。
とにかくじゃ、滅んだはずの邪家の能力。そして、怨死の事件。特に星蘭威が何者か分からない以上、暗家の者は、これ以上絶対に関わらないように。
燐、今言った言葉を一門一句違わぬよう、皆に伝えるのじゃ。行きなさい。」
「承知しました。」
燐は、去り際にちらっと夜明の方をみる。
目が合った夜明はこてんっと頭をかしげて、燐に微笑みかけた。
夜明の性格は、穏やかで生来から笑顔が取り柄の明るくて人懐っこい子。
どんなに悲しい時も辛い時も笑顔を絶やさないような子なのである。
燐は満足したのか、夜明に聞こえない小さな声で言った。
「またね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
燐が去った後、夜明も忍び足で一緒に去ろうとしたが暗光に捕まった。
「夜明、待つんじゃ。
稽古を抜け出してもバレない……とは?」
「いやぁ、当主違うんです。あれは言葉のあやと言いますか……」
「家訓を1から1000まで書き写さんかい!!」
「はいぃぃぃぃぃぃぃ!」
夜明は、字が下手くそなため書き写すのに1週間かかりました(´>∀<`)ゝてへぺろ
天界六神 翡翠 @Hisui_no_haka
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