主人公の生まれは、貧しいところだった。しかし主人公は人々の嫉妬や僻みをものともせず、舞台女優の階段を駆け上っていく。そして水曜日には決まって、故郷にやってくるのだ。主人公の幼馴染の男女が、主人公の親の介護をしていたからだ。水曜日は、幼馴染の男の機嫌が悪く、幼馴染の女の機嫌がいい日だった。
舞台女優である主人公には、パトロンの子爵が一人いた。主人公はその子爵を伴って、水曜日に結婚の報告を行った。貧しかった主人公は、ついに子爵と結婚することになったのだ。ところが、この水曜日を境に、事態は暗転する。
主人公に想いを寄せていたのは、子爵だけではなかったのだ。そして主人公の心も子爵のものではなかった。
それぞれの思惑が交錯する中、舞台の幕は上がる。
物語のヒロインとして、舞台で喝采を浴びる主人公。
その舞台の裏で、いくつかの影が蠢いていた。
賞賛や嫉妬。愛や羨望。想いや裏切り。
人々の一筋縄ではいかない感情が、見事に表現され、魅了される作品でした。
また、舞台演出と同様に、人の心の変化が物語に反映され、物語そのものを回していくので、とても読みやすかったです。
是非、是非、御一読下さい。