出力さんと入力さん<シンデレラは25時に目が覚める>
食連星
第1話
夢見るお姫様は,
王子様を探す.
永遠に…
いや,
永遠に王子様なんて
探してられないでしょ.
眠り姫じゃないのよ.
眠ってばかりはいられないから.
甲斐甲斐しく
儚げに振舞って,
努力もしつくした所で,
魔法が解けたら?
夢見ていられないでしょうねぇ.
奇病というのか,
運命病というのか,
手のひらに凸凹する人が出た.
それも,
あらゆる形に…
ハートである人もいれば,
三角である人もいれば,
バッテンである人もいれば…
出っ張ってる形が出力.
へこんでる形が入力.
両手に出る人もいるという…
なぜ都市伝説的に話されるかというと,
この話はタブーなのだ.
あらゆるところで,
書き込みやお尋ねは消され,
無かった事にされてしまう.
だから,
周りの語れる者だけで
語られる話.
身近で話す分には,
姿を消されたりなどはない.
出力と入力の形がピタッと合えば,
運命の人だという.
まことしやかに噂されている.
そもそも,
全ての人には現れない印.
だから,混乱しないためにも,
抑えられているのかもしれない.
父が,
四角の出力を持っている.
母は凸凹無しだ.
大恋愛の末に結婚したらしい.
そして,
私がうまれた.
今でもラブラブしている.
だから,
あまり運命とか無いのかもしれない.
私は…
バッテンの入力だ.
遺伝なのかと思うが,
同級生でも遺伝か単発か分からない
感じの割合だったので,
何とも言えない.
この凸凹のために,
フォークダンスが消え去った.
手を繋ぐと,
どうしても分かるからだ.
混乱を避けるためという名目上だった.
ここに凸凹無しが噛みついた.
「凸凹がいるから,
こんなチャンスが無くなるんだ!
凸凹のせいだ!」
私ら凸凹のせいではない.
そこに危機感を持った大人のせいだ.
面倒だった.
「凸凹出て来いよ!」
正直に出るか悩んだ.
「やめろよ.」
出て行った男の子がいた.
明らかに,
凸凹無しの男の子が怯んだ.
出る訳ないと思っていたんでしょうね…
いないからって結論にして,
フォークダンスありきの方向で
持って行きたかったのかもしれない.
凸凹無しの男の子が
「触らして.」
と言って,その子の手のひらを触っていた.
「バッテン?出っ張ってる?」
「正解.」
進み出た男の子はニカッと笑ってた.
凸凹無しの男の子は,
少し満足げだった.
「色々と大変なんだよ.
フォークダンス出来ずに悪かったな.」
バッテン出力の男の子が,
言うべき事でも無いのに謝ってた.
「いや…
何だか悪かったな.」
凸凹無しの男の子も引き下がってた.
友情?
芽生えたか芽生えなかったのかなんて
私にとって,
どうでも良くて…
私もバッテン入力持ちだから,
形が合うのかどうかが気になって堪らなかった.
出力さんと入力さん<シンデレラは25時に目が覚める> 食連星 @kakumi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。出力さんと入力さん<シンデレラは25時に目が覚める>の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます