最終話 魔王討伐、のち帰還

1年後。


「これで終わりだ、魔王」

「俺たちの事情に付き合わせてすまないな」


雹の策に嵌って、身動きが取れなくなった魔王に光は剣を向ける。


勇者の剣、と呼ばれる、勇者にしか振るえない純白の剣が、誇らしげに刃を煌めかせた。






「終わったか……はー、疲れた……」

「お疲れ様、光。あ、魔法陣出たよ」

「はは、雹も剣の改造、ありがとな。さて、ウィアに知らせて……」


魔王が倒れた後。

2人の前に、きらきらと輝く魔法陣――光と雹を異世界に運んだそれと同じ形の魔法陣が現れ、2人はほっと安堵の息を吐いた。


「これでやっと帰れるな」

「だね」


「ヒョウ様! ヒカル様!」

「ウィア。この通り、帰れるようになったからね。ここでお別れだ」

「は、い……っ! どうか、お元気で!」

「ああ。ウィアも元気で。また召喚された時、ウィアが生きていたらまた会おう」


光が魔法で連絡を入れて直ぐに、飛んできた……文字通り、魔法で飛んできたウィアに、雹が言葉を投げかける。

泣きだしてしまった彼女を抱きしめて、光が精一杯の笑顔を見せる。


「また、お会いできる日を、楽しみにしています……っ」


ウィアの泣き笑いに見送られて、光と雹は、魔法陣に足を踏み入れた。


その瞬間、強く魔法陣が輝いて。

ウィアが反射的に目を瞑って、次に目を開いた時には、もう2人の姿はこの世界から消えていた。









その後。


無事に地球に帰った光と雹は、高校、大学を無事に卒業し、そのまま結婚。

結婚してから2年が経つ頃には長女・風香が生まれ、その後も長男、次女と3人の子宝に恵まれ、幸せな人生を送った。



「お母さんは、なんでお父さんとケッコンしたの?」

「ははは。お父さんのこと、好きになっちゃったからなあ」

「時奈ー、お母さんに好きに『なっちゃった』って言われちゃったよー」

「うー?」

「おとーさん、ときながこまってるよ」




END




――――――――――

補足コーナー

・日本に帰った直後の周りの反応

異世界とは時間の流れが違うとかそういうなんやかんや(雑)で、2人が帰った時地球では一晩明けたところでした。

数日姿が見えないぐらいは心配だけど慣れっこな光の家族は「今回は早かったね」なんて言いながら出迎えてくれますし、ハラハラしていた雹の家族も光の家族に宥められ、雹はそれほど怒られないで済みました。

あと、同じようなご都合主義であちらで過ごした年月はリセットされ、体は召喚された時の状態にましたが、光も雹も、異世界で使えた魔法はこちらの世界でも使える設定です。不思議だね!




子世代、孫世代編のお話もなろうには投稿されていますが、この話のコピーだけで力尽きたので、他の話はそのうち……ということで……。

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