中で眠っていたのは、夕暮れの空をとじこめた洋墨壜だった
あの日と同じおだやかな星あかりが瞬いていた。真紅のリボンを解くと、黒い小箱が現れる。中で眠っていたのは、夕暮れの空をとじこめた洋墨壜だった。
「今日は、君の誕生日でしょう」
「知っていたのか」
青年が満足げに口端をあげる。
「ずっと、“兄さん”のお祝いをしたかったんだ。誕生日、おめでとう」
2022/8/16
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