莫迦にしているのか。もう、子どもじゃない
「こうしていれば、あたたかい」
凍てついた風を遮るように、青年の指先が"弟"の手をとらえる。最後に冬の夜天を眺めたのはいつのことだろう。あの頃よりも、ひとまわり大きな手が漆黒の髪を撫でた。
「あとで珈琲を淹れよう」
「飲めるようになったの」
「……莫迦にしているのか。もう、子どもじゃない」
2022/7/25
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