ただ彼のぬくもりだけが、傍にある

苦い珈琲を飲めるようになった。目線を合わせれば、触れるだけのくちづけがふってくる。あれから何年も経っているのに、もどかしい。

「もう、こどもじゃない」

「……そうだね」

ふたつの影が寝台に沈み込む。星のささやきはきこえない。青い螺旋を描く蝶もいない。ただ彼のぬくもりだけが、傍にある。


2022/6/10

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る