手になじむそれは、世界でたったひとつ、僕のためにつくられた特注品だ

琥珀のカップに口をつける。手になじむそれは、世界でたったひとつ、僕のためにつくられた特注品だ。そそがれたミルクは、ほんのりと甘く、香る。母の顔は知らない。父は滅多に家に帰らない。兄は背を向けてばかりいる。身体の弱い僕は、寝台から出られない。窓の外で流れる星をつかまえてみたかった。


2022/2/20

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