第二十四話

「綾瀬さーん! お昼一緒にどう?」

「えっと……」


 昼休みが始まった直後。

 今日はお昼どうしようかなぁと考えていると、小久保さんが笑顔で話しかけてきた。

 ちなみにいつもはクラスのそれなりに話すグループに混ぜてもらうか、咲良と食べるかがほとんどだ。当てがないときは一人で食べたりもするけど、それほど抵抗はない。そういう人もクラスにはちらほらいるし。


 だけどこれは初めてのパターン。

 確か小久保さんは佑太くんたちいつもの六人組で食べていたはずだ。

 その中に入れと……?


 私がどう答えたものかと思案していると、小久保さんが突然「あーっ!」と声をあげた。


「ひょっとして緊張してる? あんまり普段絡みないメンツだし気まずいかー。うんうん、わかるなぁ、その気持ち」


 ちっともわかってなさそうな顔でうんうん頷きながら小久保さんは、私の返事を待たずに続ける。


「でも大丈夫、みんないい人だから! ささ、こっちおいで!」


 私は戸惑いながらもお弁当を片手に小久保さんたちのところへ近づいていく。

 なんというか、圧が強い。周りを巻き込んでどんどん先へ先へと進んでいく感じ。でも不快じゃない。すごい。


「男子連中は何か買いに購買まで行ってるから、今は綾瀬さん入れて四人だけだよ。綾瀬さん初めてだし、あいつらはそのうち帰ってくるだろうから、先に食べてよーよ」


 小久保さんの周りには二人の女子がいる。

 派手な印象の牧田さんに、清楚な印象の鈴見さんだ。


「えっと……いいのかな? よろしくお願い……します?」


 私が挨拶すると、牧田さんと鈴見さんの二人は気さくな様子で「よろしくーっ!」「よろしくね」と返してくれた。

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