第4話「お婆ちゃん」

 小さな村の小さな神社に赤いきつねと緑のたぬきが住んでいました。



「お揚げのお婆ちゃん来た!」

 ランドセルの女の子に化けて遊んでいた赤いきつねは慌ててきつねの姿に戻り神社の床下に潜り込みます。


「きつねさん、天ぷらあった?」

 すでに床下に隠れていた緑のたぬきはいつもお皿にお揚げと天ぷらをのせてお参りに来るお婆ちゃんを楽しみにしていました。


「どうか孫が大学に受かりますように、お願いいします」

 お婆ちゃんは一生懸命一生懸命神社にお祈りをささげます。



「たぬきくん、お孫さん受かるかな?」


「本人の頑張り次第だよ、きつねさん」


 その神社には村の人々がお参りにやって来ます、願いをかける者かけない者、願いがかなう者かなわない者、赤いきつねと緑のたぬきはお賽銭箱の前におかれたお揚げと天ぷらを食べながら全ては自分達しだいだと人の世を思いました。

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