第3話「イケメンたぬき」

 小さな村の小さな神社に赤いきつねと緑のたぬきが住んでいました。



「ねえねえたぬきくん、たぬきくんは人に化けたりしないの?」

 赤いきつねはいつか合格祈願にやって来た女の子が着ていたキャメル色のブレザー姿の人に化け、長い赤毛を二つの三つ編みに結い始めながら言いました。


「めんどうだからからやめておくよ、きつねさん」

 緑のたぬきは賽銭箱の横の縁側に飛び乗りその床を「トントン」って叩きます。


「えー、たぬきくんイケメンなのにーー」

 赤いきつねは三つ編みに結い終わると、緑のたぬきを抱き抱え膝の上に「ちょこん」と座らせました。


「ボクはね、きつねさんの膝の上が大好きなのさ」

 緑のたぬきは赤いきつねの顔を見上げ少し照れて笑いました、赤いきつねは顔が真っ赤になって慌てて青空を見上げました。

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