4.あたしに良い考えがある!
ヒューマノイドが、そんな動作も自動制御パターンにあるのか、可愛らしく小首をかしげた。
「……レンってさ。頭が良くて、優しいよね」
「気味が悪いぞ」
「なによー。さっき言われたから、今度は素直にほめたんじゃないの」
「そんなの、生身の女に言われたことないけどな」
「わかりにくいのよ。
病院から駅に向かう遊歩道は、
おまけにヒューマノイドの両肩で、白色LEDが前を照らしている。
「相手のこと、ちゃんと見て、わからないところはわかったふりしないで……
良い人、というのは、恋愛対象評価においてマイナスだ。センサーに引っかかるところがまるでない、という意味だ。
友情であれ恋愛であれ、良い関係を持ちたいと思うなら、良い関係を望んでいる良い存在だと、相手に示す。そして、意思の
わかりにくいから、センサーにも引っかからない。評価としての良い人とは、共通理論の、逆の帰結だ。
「そういうもんか……確かに、な。
「え、なに?
「だいぶ違うよ。おまえのプロファイリングごっこの通り、さみしい独り身だからな。反省して、将来のためにがんばろうって話だよ」
ヒューマノイドの頭部モニターが、横にいる
「ふーん……まあ、あとちょっとで新年だし、そういう
「自分の
「あたしに良い考えがある!」
「レトロアニメで、それ聞いて、良い考えだった試しがないぞ」
「将来のためって言うか、
「そんな公開処刑、誰がやるか!
とんでもない提案に、
「
「あれ? あたし、彼氏のことなんて話してたっけ?」
「さんざん下ネタ連発しておいて、今さらだな。
ついでに当て馬にされそうになったことは、黙っておく。
「んー、と、半分だけ正解。実は……来年、ちゃんと卒業できたら、日本に帰ろうと思っててさ」
「帰省じゃなくて、帰国ってことか? 卒業するのは学士だろ。せっかく本場なんだから、
「あたしのこと、どれだけ頭が良いと思ってるのよ」
「アメリカも良い国でさ。パパの心配は置いといて、あたしも相当、影響されちゃってるけど……なんか、
「ほとんど、
「あははは! あれもあれで、楽しかったよねえ」
ヒューマノイドが、少し先に歩いて、
「あれから、
「
「まあ、ぶっちゃけ、近くで親孝行したいって思ったのよ! このリモート帰省だって、多分、レンが思ってるより本気で反省してる! もっと
「大げさだな。
「そうだけどさ。ほら、あたしって今、ちょうど可愛い時期じゃん! メンドくさいお年頃のパパキモい女子を抜けて、手もかからなくなって、ピチピチでさ。こんな娘に、ちょいちょい世話を焼かれたら、
「自分で可愛いって言うな。それから、殺すな」
肩をすくめてから、
「じゃあ、彼氏の方が日本国籍になるのか。よく説得できたな」
「んー、そっちがもう半分の不正解。ちょいちょい浮気されてた感じもあってさ、別れちゃった」
「え……?」
「『あなたはタフで素敵だったけど、優しさが足りなかったわ』『ベッドの上で、かい?』『あたしの下で、よ!』なんてね! あははははははっ! ロサンゼルス・ジョークよ!」
今度は
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