6.これも縁あっての道行きです
「なによ、レンってば
「……そういうノリが苦手なんすよ。アメリカじゃ普通かも知れないけど、勝手に呼び名をつけるって、相当なれなれしいですからね?」
「カタい! カタいなあ! デカいばかりでフニャフニャよりはイイけどさ! あははははははっ! ぶっちゃけ同じ屋根の下で、一夜を共にした仲じゃないの!」
「そうだよ、レンくん! 私たち、もう友達じゃん!」
「本気で距離感メンドくさいです、あんたら」
「まあ、パパや
「父さんと呼べ。だが、まあ……それも
「向こうは向こうで、なんか考えがあるみたいだし。しばらくしたら、今よりマシな情報がそろうわよ。どーんと構えて、待ってたら良いじゃないの」
「おっしゃることは、わかります」
「景色が見られるわけでなし、コーヒーも
「こうなると、チームミーティングみたいなものか。
「
「そういう気もなくはないが、あれだけ下品なジョークを聞かされると、国際結婚なんてされた日にはどうなるか恐ろしくてな」
「ガチのネタ振りは
結局、冗談みたいな本気で、ソファのまん中に
「こうして拝見していると、
「そうなんですよ! こんな人、職場にいたら絶対笑っちゃいますけど、画面の中だとカッコいいんですよねー。
「
「だからカタいってば、レンは! ねえ、
「ええ。やぶさかではありません」
「大丈夫ですよー。
「俺の呼び方、帰ったら戻してくださいね? 日本は距離感とか空気とか、大事ですからね?」
「おやあ? レンの彼女って、そういうの気にするタイプ? 職場でうっかり聞かれたらまずいとか?」
「え? レンくん、病院の誰かとつき合ってるの? 誰、誰? 聞きたい!」
「誰ともつき合ってませんよ! 無責任に話を広げないで、アニメ観ましょう、アニメ!」
まあ、好き勝手に騒ぎながら観るのが、アメリカンスタイルではある。
FBI捜査官、アシュリーが説明したスケジュールが順調なら、今日の夕方には目的地に着くらしい。
昼食は冷凍ピザとフライドチキンとアイスクリームで、これまた極小レベルのアメリカを
運転席との仕切りが開いて、昨日とまったく同じ格好のアシュリーが現れた。
「やあ、皆さん。長旅に
オートロックはもう解除したのか、のんきなヘラヘラ笑いで、キャビンの扉を勢い良く開ける。ちょっと驚くくらいの、寒い空気が吹き込んできた。
********************
建物を囲む
黒いスーツに、落ち着いたモスグリーンのネクタイをきっちりしめて、
「ここまでお越しいただき、ありがとうございます。私はナバル=ティンバーレイク、中央情報管理室の職員です」
やはり
「ウサギはいないCIA、だな」
「なんかもう、全部、レンくんのせいみたいな気が……」
「とんでもない理不尽です、それ」
「そのジョークは私も好きですよ。実に、言い得て
「では最後に、大統領も御登場されるのでしょうか?」
「中に御案内します。こちらへどうぞ」
ナバルが軽く手を上げると、正門が静かに開いた。
ナバルを先頭に、
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