第2話 あの時、知ったこと
僕は彼女の家に向かった。そこなら居ると思って向かった。彼女の家に着いた。僕はインターホンを押した。少ししてからドアが開く音が聞こえた。
[あら、樹君。どうしたの?]
[結菜に用があって居ますか?]
[あの子ならまだ帰って来ていないよ。もう暗いって言うのに]
[ありがとうございました]
僕はその場から走って行った。彼女が居そうな場所を手当り次第行った。でも居なかった。僕は疲れ諦めかけていた。近くから2人の男女の会話が聞こえた。
[そう言えば明日の花火大会どうする?]
[どうするて何が?][見に行くの?見に行かないの?]
[見に行くよ。お前と初めての花火だからな]
2人の男女は歩き出した。その時ある事を思い出した。
[(来年の花火大会ここで見よ。約束だよ)]
そうだ。彼女はそこに居る。去年見つけた街全体を見渡せる所。そこなら彼女は居るはず。僕は最後の力で走った。坂を上り階段も上り僕は最後の段を上った時目の前には結菜が居た。僕は近づいた。そして彼女に話しかけた。
[結菜]
彼女はこっちを向いて言った。
[どうしたの?]
[分かったよ。好きな理由が]
[そうなの。良かったね]
彼女は冷たく答えた。そのあと後ろを向いた。それでも僕はそのまま続けて言った。
[君が好きな理由は優しさ。僕は君と過ごした日々は少ないけど君の優しさを知った。それ以外の君のことを知らないけど僕は君の優しさ以外を知りたい。その感情が君を好きと思わせてくれた。だから君を好きと思えた]
僕は彼女にそう答えた。背を向けながら彼女は言った。
[本当にそれだけ]
[そうだよ。あれが僕が君を好きになった理由。]
[答えるのが遅いよ。もっと早く答えてよ]
彼女はこっちを向いて言った。それも泣いていた。
[ごめん。遅くなって]
[良いよ。その代わり私の言うこと聞いて]
[良いよ。どんな事でも]
彼女は少し深呼吸をして言った。
[私の傍にずっと居てね。約束だよ]
[分かった。君の傍にいつまでも居るよ]
彼女は僕の返事でにっこりと笑った。
君が好きだけど、理由が分からない 有海 @kamui0323
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