第6話    怪物と秘密(2)

かれん?「あアアァああ、あァあ、、」


俺たちが見たのは、かれんなどではなかった! その顔は赤い血がべっとり、とついていて、制服には返り血が斜めに飛び散ったことがわかるように付着していた。


森「おい、」


亮子「ん!!ンンンん!」


飛鳥は、亮子が叫びそうな声を片手で抑えた。亮子が叫びそうになった途端、風のような、車が横を通る時の風圧のようなものを感じた。

 さらに、俺たちの精神はすり鉢の中のごまのようにだんだんと削れていた。声が押し殺される重圧と、空気。それでも俺は声を出し、


森「(おい、二人とも!ここから逃げるぞ!)」


二人は声に気づいてくれたが、血みどろの化け物はゆっくり、とこちらに近づいて来る。

 俺たちは教室を飛び出した!追って来てるか、来てないか、そんな事を気を回せない程―


森「走れ!はしれ!」


俺達は気づくと、最初に入って来た多目的教室の前にいた。


亮子「早く逃げよ!早く!」


 逃げようと思った。だが、俺の足は動かなかった。

それは恐怖心という重みが足にまとわりつくように、足が動かなかった。

そして、言葉も出なかった。その時、後ろに液体を掛けられた、のような感覚が身体全体で感じた。

同時に鳥肌も立った。精神的な苦痛もあった。恐怖心も口から吐きそうなほど味わっただろう。だが、そんなことより別の最悪な”考え”を頭で思い浮かべたからだ。

「そんなこと、あってほしくない!」と頭の中で考えた。


森「うわぁ!、、いっててて~。う、動ける、、おい、あすk、」


 自分の感覚というのは良い面もあれば、嫌悪感を感じることがある。その嫌な方が今、俺の眼前で起こっていた。人の死体は見たことはあったが、五体不満足で倒れているのは流石に見たことはない。これを平気な顔で見れるのは、もうすでに心が壊れているのではないか。”自分”に問わなければわからない。そうしければ、自分を保てない。


森「あA、あ、飛鳥、、」


亮子「なに、、これ、、?」


 俺たちの目の前には一見「人」が倒れているように見えるが、それは胴体と四肢を人の形に置いているだけ、四肢がバラバラの“死体”であった。ただそれを見ながらぼーーっとしていた。だが、学校を徘徊していたそいつから囁かれた。


???「屋上で待っている。」











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喰らい少女 @AoiM83

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