終結 ①
間もなく救急車が到着し、救急隊員が処置を始める。警察車両も続々と到着し、白滝城公園は、けたたましいサイレンの音と赤色灯が辺りを照らしていた。
桜井さんは俺が救急車に乗ることを、強く救急隊員に勧めてくれた。ずっと京香さんの胸部に手を当てて、無言で集中している俺を、隊員の人たちは不信がったが、救急車内では適切な処置が
俺は、まだ大六と重なっている状態でいた。彼の眼を通して周りの状況が見える。
新之介と後藤は、彼女の返り血を浴び、全身が血まみれになっていたが、怪我はしていない。「激しい疲労が見られる」と桜井刑事が
それは桜井さんの
それを尻目に、俺と京香さんを乗せた救急車、新之介、後藤を乗せた警察車両が、他の数台の車両と
救急隊の輸液のおかげで、病院に着くころには京香さんの顔色が、
京香さんの魂は、無表情のまま自分の肉体を見ている。俺は彼女に、心の声を伝える。
(京香さん……生きてください…。俺はまた京香さんと話しがしたいです。この世に京香さんがいないのは
≪………≫
彼女はこちらを見ずに、ずっとうつむいて黙っている。幽体の指を自分の顔にそっと
(……。出てきたら、俺も、後藤も、新之介も、怒りますからね……)
―――
救急車が病院に着いた。俺は京香さんの胸部から手を放し、救急隊員が操るストレッチャーの二歩後方からそれについていく。
病院の救急処置室に入ると、見覚えのある顔を発見する。それは一番最初に悪霊を捕獲したときお世話になった、亀山先生だった。
亀山先生もこちらを発見し、俺を二度見する。そして京香さんに目をやって、救急隊員の説明を聞いていた。
遅れて新之介と後藤が血まみれの
「あー、彼らはここに残してください。詳しい情報が必要になるかもしれませんので。
――――
京子さんを乗せたストレッチャーが、処置室を出て、集中治療室へと運ばれる。俺たちはその様子を見送った。あとは亀山先生や、病院の人たちにお任せするしかない。
新之助が俺の肩をたたき、廊下に置いてあったベンチに‶ドカッ〟と腰を下ろす。俺も後藤もそれに続いてベンチに腰を下ろした。3人とも疲れきっていて言葉が出ない。そのうち俺は、また眠るように意識を失ったらしい。
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