警察署にて ー事情聴取ー
〝ドンッ、ガサガサ、ガッチャン〟
「待たせて悪いね」
と言いながら部屋に入ってくる。更に、後ろから見知らぬスーツ姿の男性が、二人入ってきた。当然、警察官…いや刑事なのだろうと思った。
持ってきたファイルやパソコンを整理しながら、俺の対面に桜井刑事、その左側に
紹介されていない見知らぬ二人の刑事が桜井さんの後方に、自分たちでパイプ椅子を開いて座った。
桜井さんと村井さんは、ここに来るまで柔らかな物言いだったが、
『ちょっと聞きたいことがある』程度の質問ではないのが、何となく想像できた。
桜井刑事が口笛を切る。
「まずはこれを見てほしい」
一枚の写真を取り出した。その写真は、上半身の
「これは……」
「誰だかわかる?」
「これは俺ですよね、あの時とった写真じゃないですか?」
「そう、これは
そう言うと、もう一枚の写真を桜井刑事は机に置いた。
「これは…、俺の写真じゃないです…。けど……」
二枚目の写真も、男性の上半身を写したものだった。何かの事件に
その男性の体にも、全身の
「葦原君は嘘をつくような人間ではないと思ってるよ。君が若月京香の家から、救急車で運ばれた時も、君が体験したことを正直に話してくれたと考えてる。現実的な証拠が無くても、それはそれで一つの証言だ。」
桜井刑事は写真のファイルを〝パタン〟と閉じた。
「ここからは殺人事件の捜査になる」
「………」
「これから事件に関する質問をしていく。答えにくいこともあるかもしれないが、
桜井刑事と村井刑事は頭を下げた。初めて会う後ろの刑事二人は、こちらをじっと見ているだけだ。
「分かりました。信じてもらえるかどうかわかりませんが、正直にお答えします」
――――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます