警察署にて ー容疑者ー
――――。
若月先輩の家で起きたことを、もう一度最初から説明し、自分の体に
その他、薬物関係の変わった匂いがしなかったかとか、
俺が若月先輩にどんな気持ちを持っているかとか、
どこまでの関係性なのかとか……。
事件当日の一日の行動を、起床後から教えろだとか、
写真の男と面識はないかだとか……。
「スマホの若月京香とのやり取りを見せてもらえるかな?」
と言われ、隠すようなことも無かったから全てを見せ、その内容をカメラで取られた。
完全に先輩が容疑者として取り扱われているんだと思った。そして俺も重要参考人といったところではないだろうか?
細かく聞かれているのは、共犯の可能性を否定するための、証拠集めでもある気がした。俺と同じような
桜井刑事から死んだ男の人の名前を教えてもらった。
その人が、石田先輩が街で見かけた、イケメンの人だったんだろうか?全く知らない人だった。でも、先輩には、やっぱり彼氏がいたんだと、ちょっとショックを受けた。
桜井刑事が写真をもう一枚机の上に置いた。
「えっ……?」
そこに移っていたのは、さっきとは違う若い男性だった。
「この人は見たことある?」
「いえ……」
桜井刑事は、俺の表情を確認するようにしながら、話を続ける。
「この男性とも、若月京香は、現在も交際中だと思われる……。本当に見覚えは無い?」
「…はい…」
「ではこっちの男性は?」
また写真が机に置かれる。今度は40歳くらいの男性だった。
「……いえ、知りません。」
更にもう一枚。
「この人は?」
「…知りません…」
次々に見知らぬ男性の写真が机の上に並べられていく。
「よく見てほしい、本当に葦原君と
「………」
これも捜査の
15枚の写真……、桜井さんに
「見覚えはありませんし、面識もありません。」
「そうか……」
桜井刑事は、現在の若月先輩の生活状況を説明してくれた。
3年程前から、父親は
身辺調査の結果、生活は
市役所の職員が現状を知り、生活保護の支給を検討していたが、職員が自宅に訪問すると、そこまで差し
「どのように生活を維持しているか」と質問すると、
「アルバイトをしてるから、何とかそれでやっていけます。大丈夫です。」という返事だったという。
市側は〝今のところは大丈夫だ〟という認識でいたらしい。しかし、その実態は……。
桜井さんは言う。
「張り込みを続けているこの一ヶ月程度で、夜間はほとんど外出をしていたよ。待ち合わせ場所で車に乗せられ、行き先はホテルだったり、個人の自宅だったり。おそらくは金銭のやり取りもあるだろう。」
「………」
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